奇跡の星の植物館190809① | 散策日記Ⅰ

散策日記Ⅰ

美術館&博物館で開催された展覧会の記録、それにまつわる散策記です。

 お盆休み初日の話。明石海峡公園を3時間ほど歩いた後、奇跡の星の植物館に入りました。

 

 

 夏のテーマは東南アジア。今年はバリです。

 

 

 熱中症寸前の状態でここに入り、冷房に救われました。やはり真夏のお出かけは室内がいいです滝汗

 

 

 今回は特別展示がありました。テーマは「神々と生きる服飾文化」。全国民の90%近くがイスラム教を信仰するインドネシア共和国にあって、バリ島は島民の大半が、バリ・ヒンズー教を信仰しているとの事。

 

 

 日本は明治以降、欧米化が進み、自然との共生が生んだ美意識や伝統文化を継承するのが困難な状況にありますが、ヒンズー教を信仰するバリの人々の生活は、今も生を受けてから死まで、その宗教儀礼と共に営まれます。

 

 

 結婚式や葬儀などの通過儀礼に加え、バリ独特の暦であるウク暦(1ヶ月が35日)とサカ暦(太陰暦)に基づいた年中行事が巡ってきて、儀礼に臨む時、老若男女誰もが長方形の布を体に巻き付け、頭巾や髪飾りをつけるという伝統的な衣装スタイルをとります。

 

 

 儀式を受けることは、神の面前に立つことであり、正装で臨まなければならないと考えているためです。布や衣装が神と人を繋ぐものになっているのです。

 

 

 ショーケースに入っているこの衣装、生後3ヶ月(ウク暦で105日目)の赤ちゃんが「招魂式」という儀式で身に着ける伝統衣装です。祖先の魂を赤ちゃんの体内に招いて再生させる儀式で、首飾りに自身のへその緒を入れてお守りにします。

 

 

 この儀式で、赤ちゃんは僧侶によって浄められ、初めて大地に足をつけることを許され、人間界に入るとされています。赤ちゃんの健やかな成長を願って乳児用の正装衣装と装身具、豪華な供物が用意されます。

 

 

 ウク暦の誕生日を「オトナン」といいます。誕生したその日ではなく、子供に魂が入った日。つまり、招魂式の翌日を指します。ウク暦は1年が210日であるため、210日に一度オトナンが巡ってくると、各家庭の儀式小屋で供物が用意され、祈りが捧げられます。

 

 

 バリ島では成人式に「ポトンギギ」という削歯儀礼が行われます。歯をやすりで削り、生まれつき持っている穢れを落とすという儀礼です。この儀式は、魂をいったん体から離してもう一度蘇らせるという危険を伴う行為であるため、霊力を持つ聖職者によって行われます。

 

 

 ポトンギギは、男女ともにそれぞれの階級にふさわしい婚礼衣装を着て臨みます。バリの婚礼衣装には3つのランク(アグン=最上級、マディア=中流、ニスタ=下層)があり、ランクごとに織物と装飾品が異なります。

 

 

 バリにはカーストがあるため、衣装のランクもカーストの階級によって決められます。そして新婦には、新郎の階級に合わせた婚礼衣装が用意されます。

 

 

 そして結婚式。挙式で重要な事は、祖霊として祀られている先祖に結婚の報告をし、今後の人生を見守ってくれるように願うことです。挙式の日取りは僧侶に見立ててもらい、式は新郎の本家で行われます。

 

 

 新婦は自分の実家の寺(サンガ)で先祖に別れの儀式をした後、新郎の実家に入ります。様々な儀礼を経て、二人は新しい家族として村に迎え入れられるのです。

 

 

 人生の最期。人は死ぬと、魂が肉体から出ていくが、火葬といくつもの儀礼を重ねることでその魂は浄化され、個人ではなく神に近い存在としての祖霊に転換されるといいます。

 

 

 通夜→火葬式→灰を海に渡す→火葬式の42日後に魂の浄化という順番で儀式が行われます。祭のような豪華絢爛な火葬式がよく知られていますが、このような式が行えるのは王族や貴族階級の家に限られます。

 

 

 展示室から植物温室に入りました。まず始めに上から全体を見れるようになっています。

 

 

 メインのフラワーショースペースはバリの庭園。

 

 

 反対側は日本庭園。

 

 

 最後に階段を降りて、プランツギャラリーに着きました。