洋菓子の道具たち⑤ | 散策日記Ⅰ

散策日記Ⅰ

美術館&博物館で開催された展覧会の記録、それにまつわる散策記です。

 洋菓子の型から話が膨らみ、長くなりました。最終回は砂糖菓子。ドラジェとベルランゴ飴の話です。

 

ドラジェ

 ドラジェとはアーモンドに砂糖のペーストでコーティングしたお菓子のことで、発祥はアーモンドの栽培が盛んなイタリアのシチリア島だとされています。

 

 

 紀元前177年に古代ローマの貴族ファビウス家の料理人ジュリアス・ドラジェが、アーモンドを蜂蜜に浸けたのが、ドラジェのもとになったと考えられています。

 

 

 アーモンドは実をたくさんつけることから多産や繁栄を意味し、ローマ貴族の間では結婚式などの内祝いとして、蜂蜜をコーティングしたものが配られていました。

 

 

 1220年頃、仏ヴェルダンのとある薬剤師が、アーモンドに砂糖と蜂蜜をかけて作ったものが、現在のドラジェ(ハードコーティングのドラジェ)の原型となったと言われています。

 

 

 現在もイタリアの結婚式では、幸福、健康、富、子孫繁栄、長寿を意味する5粒のドラジェをひとまとめにして配る習慣があり、日本でも結婚式の招待客に配られることがあります。

 

 

ベルランゴ飴

 ベルランゴ飴とは、ミントの香りとカラフルな色をつけた四方体の飴のことです。

 

 

 17世紀の仏カンパントラで、とある夫人が作った飴に、リング状のケーキ「ベルリンゴッツォ」の名をそのまま用いたのが、ベルランゴ飴の名前の由来だと言われています。

 

 

 当時のベルランゴ飴はカラメル状で、薬用に用いられてきました。1844年、アヴィニオンの初代教皇クレメンス5世の料理人が、薬用のベルランゴ飴をフルーツ漬けのシロップから作ったのが、現在のベルランゴ飴の始まりだと言われています。

 

 

 ベルランゴ飴の製法は、ミントで香り付けをした飴を棒状にして、色の違う飴の棒を交互にしながら伸ばして、四方体の形にカットするのが一般的です。

 

 

 1851年以降、ベルランゴ飴の成型道具(ベルランゴティエール)を使うようになりましたが、機械を用いるのは最後に折り目をつける時だけで、それ以外は全て手作業で行っているそうです。