前回の続きです。今回は「3つの力」の2番目と3番目に挙がっている「考え抜く力」「チームで働く力」についてです。
2. 考え抜く力(シンキング)
ここでの「考え抜く力」には定義が定められています。それによると「考え抜く力」とは、「疑問を持ち、主体的に深く考え、解決のシナリオを描く力」となっています。ただ考えればよいという事ではなくて、解決に向けてどのような手順で実行すればよいかの流れを自分の中でイメージができるというところがポイントのようですね。また、何か問題が起きたので解決しようというだけでなく、自分から進んで課題を発見し、納得するまで自律的に思考を深める姿勢が求められるという事です。
仕事の内容を論理的に考えて知るだけに留まらず、疑問が出たら「なぜ?」と自分で問いを立ててその理由を考えながら、どんどんと深掘りしていく力です。「なぜ、このような処理をするのか?」、「なぜ、この流れになっているのか?」などなど、入職した頃は色々と感じたであろう疑問を解決するだけでなく、より効率的に改善するところにまで考える事が出来るか、そこまで見ているという事でしょうか。
仕事を始めた頃に出てきた最初の疑問の数々も、仕事をしているうちにいつの間にか出て来なくなっていませんか。考え抜く力って、最初から試されているのかもしれませんよ。
ただ、キチンと理解出来たので疑問が解決した、ではないかもしれません。例えば先輩に尋ねて教えてもらったのであれば、「理解した」のではなくて「知った」に過ぎないかもしれません。自分が引き継ぐ前段階のところに課題がある場合、これも自分の仕事に関わってくる要因になりますので、この辺りをしっかりと突き詰めて考えていくとより一層仕事への深い理解に至るんじゃないかな。そのためにも、ちょっとした違和感を感じることがあれば、それを大切にしていただきたいと思います。
さて、考え抜くわけですから何か起きてから「どのようにして解決しようか」と考え始めるのでは、何事も後手にまわってしまいます。ちょっとした違和感でもよいので、疑問を持った時にその現状を見て分析し、どうなっていればよいかの状態を考えたうえで、その解決のために何をすればよいか課題を見つけなければなりません。そのためにも「考える、考え抜く力」が必要です。
解決させるためには、そこに至る手順も必要です。どの順序で進めるかも考えておく必要がありませんか。臨機応変にその場で出来る対応で済めば良いのですが、いつもそう出来るとは限りません。なので、手順や道筋を見通しておく必要があります。また、それが分かると、どの時点で何が必要かも分かってきます。道具の手配など、事前の準備にも対応できるんじゃないかな。
ただ、頻繁に(?)起きていたトラブルなどの場合、過去にもいろいろと対処してきたことかもしれません。ただ、それが単に「その場凌ぎ」ばかりだったとすれば、根本的な解決になっていませんね。そうすると別の方法で試みた方が良いことだって出て来るでしょう。同じ対処をしたのでは、いずれまた同じことが起きると思います。既存の枠で考えず、視野を広げて視点を変えてみたりして、新たな創意工夫を凝らすことで解決に至るかも知れませんよ。
今は、AIに尋ねたら答えを出せる時代です。しかし、新たな何かを考えるという事は「事務処理能力」がいかに優れていたとしても、それだけで出来るわけではありません。「そもそも何が問題なのか?」といった質問を立てる力は、今後ますます求められていくと思いますよ。
3. チームで働く力(チームワーク)
これは「多様な人々とともに、目標に向けて協力する力」です。仕事は自分一人で完結するものなんて、さほど多くはありません。たいていの場合、誰かと協力し合いながら進めていかないと、どうしても立ちいかなくなることが出て来ます。ですから、自分とは異なる価値観を持つ人と協力しあう事が大事ですね。こうすることで互いにカバーしあう事が出来ますので、全体として穴のない仕事が出来るようになります。
一人の単独ではなくてチームで動くわけですから、それぞれが互いに尊重し合う姿勢が無いとチームが成り立たなくなりませんか。互いにギスギスして好き勝手な事をしていれば、それは単なる烏合の衆ですよね。そうならないためにも、先ず自分の思いや考えてそれをキチンと周囲の人に伝えることが必要です。これが出来いないと「あの人は何を考えているのか分からない」と言われてしまいます。
また、自分だけが伝える側ではありません。他の人の意見や話にもきちんと耳を傾ける事も必要です。双方向でコミュニケーションが取れなければ、話し合いで解決を目指すなど出来ない相談になりますから。ただ「とりあえず聞いた」、それだけでは不十分です。その話を理解する必要があります。そのうえで、視点の違いや考え方の違いを乗り越えて、譲歩できるところで妥協点を探るなどの調整も必要ですね。
そのように考えれば、他の人と自分との関係性、人間関係なども考慮する必要がありそうです。いくら反りが合わない人であっても、目的は同じはずじゃないですか。顔を合わせれば必ずケンカ、そんな事にならないようにしましょう。
そして、決めたことは守る姿勢が大切です。当たり前のことじゃないかと思われるかもしれませんが、決めたことを守らない、忘れたという事にして面倒な事はしない、本当は参加して重要人物だという事にしたいだけなので「やろうと思ったが誰かのせいで出来なかった」とする、こうやっていろいろと言い訳をした挙句に実行だけは絶対にしない、こんな人って本当に居るんですよ。私も実際にこのような人を何人か見て来ましたから。
こんな人がいたら、周囲はストレスだらけになりますよね。ただでさえ仕事としてのプレッシャーがあるでしょう、そこにこんなストレスが加わったら、本当に大変です。だからというわけではありませんが、ストレスを上手く受け流したりかわしたりするような工夫も今の時代には不可欠なものになっています。中にはアンガーマネジメントが必要な場面だって、出て来るかもしれませんよ。
チームで仕事をする場合、全員がお互いに仲が良ければそれに越したことはありません。しかし、仲良くすることは仕事を進めるうえでの必要な条件の一つとして捉える方が良いでしょう。また、時には意見が対立する事が出て来ると思いますが、本来の目的は同じはずです。相手の人格や人間性まで否定してでも自説を通そうとするのは行き過ぎですね。それよりも「異なる意見を出し合い、場合によってはぶつけ合うことがあっても、より良い結論を導き出そう」という、建設的なコラボレーション能力が求められています。
こう考えると、「3つの力」もそう軽々しくは考える事が出来ませんね。まるで自分にない物ばかりって感じる人だって居るかもしれませんが、最初から全部できる人なんて、居る方が珍しいと思います。徐々に自分で自分を育てていけばいいんじゃないか、そう思うのですが、どうでしょう。


