よく「ベストを尽くせ」という言葉をかけられることがあると思いますが、そんな時ってどんな感じを受けますか? 「精一杯頑張っているのに、まだ足りないのか」と怒りにも似た気持ちを抱く人がいるかもしれません。気分障害のある人に対してこのような言葉をかけるというのは、むしろ逆効果だとも言われていますよね。相手に対する配慮が全くできていないということで、〇〇ハラなんて言われてしまうことでしょう。精一杯の努力って、ヒトによってその度合いは違ってきます。また、同じ人でもその時の気分や体調などによっても変わってきます。一概に上から目線で「もっと頑張れ」と声をかけるのは控えた方がよいでしょう。相手がさぼっている場合は別ですよ。
最大限の努力やベストを尽くすことは大切ですが、それよりも、その時の状況に応じた方法を考える方がより現実的な場合もあると思います。ベストを尽くそうにも気持ちが乗らないことだってあるでしょう。どうしても必要な機材や資料が手に入らなくて前に進めない時もあると思います。そういった相手の状況を考慮したうえで声をかけるなら、また違った言葉になってくるのではないでしょうか、「困っているなら、相談に乗るよ」というように。ただ、全部一括りにして「頑張れ」は相手にとって単なる迷惑に過ぎません。
では、こんな時にはどうすればよいでしょうか。他にもタスクがあるならば、いったん手を止めてみてはどうでしょうか。気分転換を兼ねて別のタスクに取り組んでみるんです。そんな事をして何になるんだという声も出て来そうですが、これって結構効果があるようです。勉強をしているときなど、長時間同じ科目に取り組んでいると次第に煮詰まってくるのか、四面楚歌のような状態になる事はありませんか。そんな時に、取り組んでいる科目をいったんストップして、別の科目に切り替えてみるという方法がありましたよね。これって、科目が違うと脳の使う場所が別の場所に移動するのか、いい休憩になるようなんです。数学で煮詰まってきたらいったん手を止めて英語に切り替えて勉強を続けるというような方法ですね。脳の中の煮詰まった場所をクールダウンさせて別の場所を使うので、一休みを兼ねていながら勉強の方は継続できるという方法です。結構推奨されることが多いようですよ。
さて、それでも自分のモチベーションがどうしても上がらない事もあるでしょう。そんなときにどうするか、いっそ全部放り出してしまうという手がありますが、これはどうでしょうか。全部放り出すわけですから、その日の残り時間はすべて、あるいは一定時間に限ってかも知れませんが、仕事や勉強から離れるという方法です。気持ちの切替えは出来ると思いますが、その間に遊んでしまうとちょっと厄介な事になるかもしれません。
誰だって楽しいことは継続したいし、イヤな事や面倒な事はしたくありません。遊んで楽しいと感じてしまったとすると、今度はそれを継続しようと夢中になってしまう可能性が出て来ます。「今日はもういいや」と割り切ってしまえる人ならば、これも一つの方法ですね。しかし、遊んでしまったことを引きずって後悔する傾向がある人にとっては、あまりお勧めできる方法ではありません。この時の後悔の気持ちを引きずってしまって、後で何らかの失敗があったときに「あの時、遊んでしまったからだ」とヘンに紐づけてしまいかねないことにもなって、むしろ逆効果になりそうですね。もしその傾向がある人ならば、時間を決めてタイマーをかけて、それまでボーッと何もしない方が好いでしょう。
そんな事も踏まえたうえで、どうすれば仕事や勉強に納得のいく状態で取り組めるでしょうか。私は「その時のベストを尽くそう」と思うようにしています。これが誰にでも出来る方法かと訊かれても判断出来ませんが、こんな考え方もあるというくらいにしておいてください。
自分が努力していることは他人からは判断できないかもしれませんが、自分なら一番良く分かっているでしょう。そして、今はどうしてもモチベーションが上がらない状態だとか、何故か分からないけれども気分がハイの状態になっているとか、自分で分かりますよね。そんな自分の判断でよいので、その時の気持ちでベストを尽くそうというくらいに考えておけばよいのではないかと思うのです。
常に全力で取り組めと言われても、そんな事をしていたら一日も経たないうちにくたびれてしまいます。次の日になったら「もう嫌だ」となってしまうかもしれません。それでも次の日になったらまた頑張れる人はその方法で突き進めばよいのですが、誰に対してもそれを強要してはいけないと思います。気分が乗らないときは、それなりの方法で乗り切らなければなりません。もしもスランプのような状態になっていたとすれば、なるべく早くその状態から脱することが最優先になると思います。
その日の、その時のベストを尽くすという姿勢は、「何とかしよう」という前向きな気持ちの表れではないでしょうか。とにかく、いくらかでも前に進もうという意欲があるわけですから。まだ気持ちの糸は切れずに繋がっています。全部を放り出して「もう知らない、、諦めた」とはならないはずです。出来る範囲の事だけでもよいので、もうちょっと自分のペースで継続させてみてはいかがでしょう。このような行動を続けていけば、次第にそれがメンタルの上で自信として蓄積されていくでしょう。自分自身の成長にもつながります。
「何もしないよりはマシ」、そう言ってしまえば身も蓋もありませんが、誰もが常に体調万全、気分良好でやる気十分なんて事はありません。誰にも相談することなく、その時の調子で自分を騙し騙し頑張っているのが現状でしょう。出来る範囲で取り組んでみる、そんな日があっても構わないのではないでしょうか。


