前回は「過剰な自信」の話をしましたので、今回はその反対の「自信を持てない」話をしようと思います。どうでもいいことかもしれませんが、最初に「自信がない」と「自信を持てない」の違いについて確認しておきます。
「自信がない」「自信を持てない」、この二つの言葉はどちらも聞く機会は多くないように感じます。どちらもその人にとっては不利になりそうな言葉ですね。ただ、「自信がない」という時はその人のメンタルの状態を表しているようですね。また、「何に対して自信がないのか」という事があいまいな気がします。なので、おそらく「何事に対しても自信がない」という状態なのでしょう。それに対して「自信を持てない」といった場合は、対象になる行為(多くはその人がしなければならない行動)が明確になっているようです。ちゃんとやり遂げることが出来るかどうかが分からない、そんな意味のようですね、中には謙虚さを装っているだけの人がいるかもしれませんが。
大人がこんな言葉を吐くことは滅多に無いと思います。先に挙げたように「自分が不利になる」可能性が高くなるかもしれませんから。ある仕事を誰に任せるかの話になっている時にこんな言葉を口に出してしまうと、「君に自信がないなら別の人に任せよう」なんてことになりかねません。そんなことになったら、せっかく掴みかけたチャンスを逃してしまうことになります。また、任せてもらえたとしても、評価の面に多少の影響を及ぼすかもしれません。
もし「自信が持てない」がホンネの言葉だったとすれば、その人は何が原因でこう考えたのでしょうか。先ず考えられることは、その人は自分の事を過小評価しているという事でしょう。ひょっとしたら、その逆の場合もあるかもしれません。完璧に仕上げないと気が済まないので「(そのレベルで仕上げるだけの)自信が持てない」かもしれませんが・・・。ただ、実際には過小評価の方が多いでしょうね。
その他にも、優柔不断で自分ではなかなか決断できないような場合も、それが理由で自信が持てないのかもしれません。決める事が出来なければ仕事はそこで停止してしまいます。決めてもその結果に責任が持てないという理由かもしれませんが、それはまた別の話。前に進めなければそれだけで失敗と判断されるかもしれませんので、なんとかしてでも仕事を前に進ませる努力をしましょう。
人付き合いが苦手だから一人でやりたいと言う人もいます。それならば一人でやってもよいのですが、それだとどこかで漏れがあった場合に困りますが、自分一人だけだと確かめようがないので「自信が持てない」という場合もあるでしょう。過去に何らかの失敗があった場合、気持ちの中でそれをずっと掴んで引き摺っている人もいます。あんなことは起きて欲しくないから頑張ろうと思うけれども「自信が持てない」場合だって、あるかもしれません。
中には「インポスター症候群」という例もあります。インポスター症候群とは、客観的に成功している事実があるのにもかかわらず、自分に自信がもてないと感じてしまう心理的な特性のことをいいます。周囲からの評価が高いのに、自分ではそれを否定してしまうんですね。これはツラいと思いますが、こんな場合はカウンセリングなどの治療やケアを受けた方が良いでしょうね。
いろいろなケースがあるでしょうし、そんな背景は人によって異なります。そうなると、それに応じて対処の方法も違ってきます。一括りにすることは出来ませんが、いくつかの対処方法も挙げておこうと思います。
例えば過去の失敗を引きずっている場合なら、そこに成功の事実を上書きして消してしまう方法が良さそうですね。そのためには小さくて良いので成功体験を何度も積み重ねていくようにする方法が考えられます。「うまく出来た」と実感できればよいでしょう。何でも構いませんし、簡単な事の方が取り組みやすいでしょう。とは言っても、いくら成功体験であっても一度や二度ではなかなか気持ちが切り替わることは難しいと思います。しかし、小さくても回数を重ねていくことで「ひょっとしたら自分は成功しやすい体質かも・・・」なんて気持ちに少しずつでも変化させる事が出来たら、それ自体が成功ですよね。気持ちが変われば「自信が持てない」気持ちも、次第に薄くなっていくでしょう。
また、過去の失敗だったり出来事だったりの見方や捉え方、切り口を変えてみるという方法もあります。失敗したことに対して「ああすればよかった」とか、「こうすればまだマシだった」とか考えるよりも、失敗から学んだことを振返ってみませんか。それが役に立った経験が無いか思い出してみるという方法もあります。自分の見方の枠組みを変えてしまう方法です。捉え方が変われば、失敗も失敗でなくなるかもしれません。むしろ、必要な経験だったと気づけば、なお良いでしょう。
案外、自分の思考のクセで自信が持てないのかもしれません。ちょっとずつでも、そのクセを直す工夫をしてみてはどうでしょうか。何よりも、自分を信じましょう。


