言い換える能力を借りる | サポートライター みけ の独り言

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電子書籍のはなし、文章のはなし、ことばのはなし、書く事、話すこと、ゆめのたねで喋っていることなど、言葉にまつわるいろいろなことを中心に、書いてみたいと思っています。

 

この話題は取り上げる機会が多くないようです。ただ、何かを表現する時に言葉を言い換えて話したり伝えたりする場合、語彙が不足していては何もできない、私はそう思っていたのですが、どうやらそうとも言い切れないようです。自分にその能力が不足気味だと感じたら、どこかからその能力かそれに該当する技術か、それとも適切な言葉を既に提示しているサイトから借りてくる、そういった考え方を導入すれば良いみたいです。なにも、すべてを自分ひとりで片付けようなんて、思わない方がいいみたい・・・。

足りなければ努力して身につけるか、それともどこかから借りてくるか、選択肢が二つあったんですね。言い換えることも「能力、スキル」として捉えれば、そんな考え方が成り立つということでした。これを利用しない手はありません。もっとも、言葉だけ参考にしてお終いというのでは、能力は身につきませんよ。

ベートーベンは若い頃に作曲の勉強をしていた時、出来た楽譜を見て指導していたハイドンが言った言葉が象徴的なものだったと記録に残っています。何といったかというと「人前に出す時は、もう少し化粧をしてから出しなさい」という言葉だったそうです。語尾が「出しなさい」だったか、それとも「出すものだ」だったか、その辺りは私も記憶が曖昧ですが、少なくとも「そのままでは出さない方が良い」という意味だったことは間違いないようです。

文章を書いたり話をして何かを伝えたりすることで取り上げている「言い換えること」なので、このエピソードはちょっと当てはまらない話に聞こえるかもしれませんが、こんなことを感じた経験はありませんか。

「たしかにその通りだけど、そんな言い方は無いんじゃない?」

言う言葉を選べ、受け取る相手の気持ちにもなってみろ、そんな意味が込められていますよね。つまり、言葉の化粧が無かったので、受け手はずいぶん手厳しいと感じたのでしょう。これでは反発心しか起きません。一時的には従ってくれたとしても、それ以後はギクシャクした関係になってしまうんじゃないかと心配になってきます。どちらの側にとっても損なことですね。

最近SNS上で(SNSに限らないことかもしれませんが)よく話題になる「炎上」という出来事も、言葉の化粧をせずにアップしてしまうことが原因の一つにあるんじゃないでしょうか。ちょっと冷静になることが出来れば、頭を冷やす時間を取ることが出来れば、そこまでの炎上騒ぎにはならずに済むんじゃないかと思う例も見受けられます。最初から炎上を狙っている場合は別ですが。

どの様に捉えて、どんな表現をすれば、スムーズにこちらの意図を理解してもらえるか、同時に、必要ならこちらの指示に従ってもらえるか、考えたうえで言葉にするという気遣いは必要でしょう。これくらい言わないと響かないというような相手なら別です。しかし、そんな例はあまり多くないと思います。

言い換える能力をどこかから借りてくるとすれば、類語や同義語を用いることが無難です。先ほどの例の様に「化粧」と言われてピンと来るかどうか、相手がどの様に捉えてくれそうか、そういったことも考えたうえでの言葉選びが求められます、なかなか難しい話ですが。

インターネット上ではさまざまなサイトが閲覧できます。言い換えの場合でも、類語や同義語として別の言葉を探すうえで、とても有用です。先ほどの「化粧」の様な凝った表現は難しいかもしれませんが(ハイドンは上流階級の人々とも交流があったからこそ、あんな表現ができたのでしょう)、そこまでしなくても分かりいやすい表現なら見つかるんじゃないでしょうか。

いろいろなサイトや記事をチェックするクセを身につけておくと、言い換えの幅が次第に広がっていきます。受け手がスンナリと、何も引っかかることなく耳を傾けてくれる、そんな言葉を選ぶのも、技術の一つとして考えておきましょう。