黒井産業廃棄物不法投棄対応=まれにみるひどい下関市行政 熊本一規名誉教授きびしい批判。 | ニッコリ会・下関

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24-2-24 下関市市民活動センター

黒井産業廃棄物不法投棄の撤去のために  熊本一規明治学院大学名誉教授 

 

みなさん、こんにちは明治学院大学の熊本です。先ほどご紹介にありましたように、上関原発には1985年からかかわっています。埋立問題には1976年、志布志湾の埋立コンビナートにかかわってから約50年弱、ずっと研究しておりまして、埋立問題では上関原発問題で何遍も山口県に来ていますが、実はもう一つの柱がゴミ問題でして、ゴミ問題も1981年から約40数年研究にかかわっています。

約10年前に知己の当時の坂本下関市立大学学長とのつながりで下関市環境部で金山さんが闘っておられる相手の下関市環境部の主催で「循環型社会の形成のために」という講演をしたことがあります。今回金山さんが闘っておられる下関市のことで講演することになって奇縁にとっても驚いています。

ゴミ問題も40数年研究しています。今日はこれからP.P.を用いて二つの点を重点的にお話をしたいと思います。

1.      この事件が不法投棄か否か、をはっきりさせたいと思います。大変重要であり、60分の報告のなかでそれを明らかにさせたい。

2.      不法投棄と分かっていかに下関市に追及していくか。これは後の60分の質疑応答で説明したい。

先ず、この事件が不法投棄なのかどうかについてお話していきます。一つ目のスライドに移ります。レジュメと同じですから、レジュメをごらんになってもパワーポイントを見られても結構です。

 

画2

 

1.廃棄物とは何か、法律の条文に定義はされているんです。「廃棄物」とはごみ、粗大ごみ、汚泥、・・・、その他の汚物又は不要物であって、固形状又は液状のものをいう。廃棄物処理法上に定義されています。ただこれは定義というよりも例を挙げている。もう一つのポイントは汚物又は不要物ということで,不要物というのはそれを持っている人の主観によりますよね。

 例えば私がアンパン買って、ちょっと床に落とした。床に落としたアンパンを廃棄物にするかどうかは私が決められますよね。清潔好きな人や健康を考える人は廃棄物として捨てちゃう。

 しかし、それをはたけば大丈夫と思ってる人にはそのアンパンは廃棄物にはなりませんよね。

だから客観的に廃棄物かどうかが決まるんじゃなくて、持っている人の主観によって廃棄物になったり、ならなかったりするわけです。だから「不要物」が廃棄物になるということですね。その場合に持っている人を占有者といいますけど、じゃ所有者と占有者はどう違うのかといいますと、実際にそれを支配している者、持っている者、それが占有者なのです。

 ここに私が時計を持ってますよね。ですから私はこの時計の占有者なのです。しかし、これの所有者かどうか分かりませんね。私が買った物かどうか、誰も分からない。盗んだものかも知れないし、拾ったものかも知れない。だけど事実上支配していることは間違いない。だから占有者なんです。占有者であって所有者であるかどうか分からないということです。

ゴミにするかどうかを決められるのは所有者じゃなく、占有者なのです。

事実上それを支配している者が決められる。占有者の意思によるとはそういうことなのです。

はい、次に行きます。

 

画3

 

次に廃棄物の分類です。廃棄物は一般廃棄物と産業廃棄物に分かれます。ところが一般廃棄物は通常は家庭系だと思われてますが、事業系の一般廃棄物もあるんです。一廃は家庭系廃棄物と事業系一廃という二つの種類があります。産廃はこれは事業系なんです。しかも20種類に限定されている。事業系で20種類に該当する物は産廃です。それ以外のものは事業系でも事業系の一般廃棄物です。次に行きます。

 

 これを図に示したものです。一般廃棄物は事業系と家庭系に分かれる。産業廃棄物はまた別で20種類あると。ではいちいちその事業系の廃棄物が来たときに、それが20種類に当たるかどうかを調べなければ判断できないのかが問題になりますね。大体の目安でこういう基準で判断すれば良いと書いておきました。注のところで主として生産過程から出るものが産廃。主として消費家庭から出るものが事業系の一廃。一番良い例が紙くず、紙くずは産業廃棄物に挙げられていますが、排出事業がどういう事業かで一廃になったり、産廃になったりする。産廃になる紙くずは印刷業、新聞業とか、生産過程から出る紙くずは産廃なんです。それに対してオフィスから出る紙くず、オフィスでコピー用紙使いますね。ノート使いますね、いろんな紙を使いますね。それは事業系でも一廃になるんですよ。オフィスでコピー用紙を使うのは家庭でコピー用紙使うのと同じです。ノート使うのも同じことですよね。消費過程として使ってるわけですよね。消費過程から出るものは事業所から出ても事業系一廃になる、という風に理解していただいて結構です。次行きます。

 

画4

 

これが産廃の種類20種をすべて挙げたものです。一番最後は上記19種類の産廃を処分するために処理したものですから、種類として挙げている物は19種類です。そのうち黄色のマーカーで示しているもの、これは安定五品目と呼ばれるものです。これは安定型処分場に処分して良いとされているものです。なぜ安定五品目なのかというと、これは汚染をもたらす恐れが少ないもの、地下水汚染ですね。処分場からの汚染で一番多くて心配されるのは地下水汚染です。地下水汚染をもたらすおそれの少ないものが安定五品目ということですね。

 でコンクリートくずがありますね。黄色のマーカーの4番目。それからがれき類というのもありますね。この黒井事件に伴うコンクリートはコンクリートくずと呼ばれてますけども、コンクリートくずなのか、がれき類なのか正確にはよく分からない。というのはがれき類というのは建設または解体に伴って出るコンクリートががれき類になる。それ以外のものはコンクリートくずです。

 コンクリートくずは主として生産過程から出るもの。コンクリート製品をつくるところから出るのがコンクリートくずです。だから正確にはがれき類かも知れないけれど、そこはあまりこだわらずに、どっちも安定五品目ですから、コンクリートくずでもがれき類でも同じことです。そこは気にしないでください。次に行きます。

 

画5

 

 廃棄物の処理がどうなっているかってことですが、先ず排出がありますね。排出されたものを収集し運搬する。そして中間処理を経る場合も経ない場合もありますけど、中間処理を行う、ということになっています。そして中間処理の後、最終処分するということになってます。

 中間処理は焼却、破砕、中和、乾燥等があるんですが、通常の家庭系の一般廃棄物は一番多いのは焼却ですね。可燃物は焼却、不燃物は破砕という、細かく砕くのが多いんです。で最終処分は主として埋立処分。まれに海洋投入されることがあります。海洋投入されるのは酸とかアルカリで大体は陸上で埋立処分されると思われて結構です。

 埋立処分には三種類あります。一つは安定型処分場、これは安定五品目を処分します。二つ目に管理型の処分場、これは地下水汚染の恐れのある産廃及び一般廃棄物。一般廃棄物はすべて安定型でなく管理型か遮断型処分場に含まれます。だいたいは管理型です。なぜかというと一般廃棄物というのは有機物を含みますね。生ごみなんか有機物ですね。有機物というのは汚染につながるんです。だから安定型ではありません、管理型です。それから遮断型処分場は有害産廃を入れる処分場です。次に行きます。

 

画6

 

廃棄物の処理のプロセスを縦に並べたものです。先ずは廃棄物の排出があり、一廃の場合は家庭あるいは事業者、産廃の場合は事業者から。それから排出されたものを収集する。一廃の場合は市町村なり一廃の業者、産業廃棄物の場合は産廃業者が収集する。そして中間処理を経て、最終処分をする。今まで話したことを縦に並べたものとご理解下さい。次に行きます。

 

画7

 

これは有害産廃の判定基準、遮断処分場とは有害産廃を入れるところですから、有害産廃をどうやって判定するかってことを説明した表です。本件では全部安定五品目の中に入っていますから、ここで詳しく説明する必要はありませんが簡単に説明すると、種類が燃えがら、ばいじん、汚泥、鉱さい、廃油、廃酸、廃アルカリのうち廃油、廃酸、廃アルカリは海洋投入ですから、遮断型ではなく、陸上処分場とは関係ないわけですし、種類は四種類に限定されます。

 それから特定施設といっても燃えがら、ばいじん、汚泥に関しては施設が特定されていて、特定施設以外の所から出たものは有害産廃から外されます。

 それから溶出試験というものを行う。どれ位有害物質が溶け出すかということをpH(ペーハー)という酸性度を一定の値に調整した溶液に漬けておいて、それで6時間位振って溶け出した有害物質の量で判定します。ということで溶質試験を通して合格になったら管理型処分場、それからいったん不合格になってもコンクリートで固めて、もう一回溶質試験で不合格になったら、遮断型処分場に、こういう分類になっています。次行きます。

 

画8

 

これは最終処分場の構造基準ということでそれぞれの処分場には次のような設備を整えてつくっておかねばいけないという必要な設備が決められている。それから受け入れられる廃棄物の種類が決まっているのです。安定五品目は安定型ですね。安定型の場合には囲いを設ける、立札をもうける、それから擁壁をもうける。まあ主としてこういう設備が必要です。

 管理型の場合は地下水汚染のおそれがありますから、ポイントは地下水汚染を防ぐ設備をつくらなければならない。一つのポイントは汚水の処理施設、汚水処理施設まで汚水を集める集水管ですね。それから遮水工といって、遮水シートを敷いといて、汚水が地下に漏れないように遮水シートで覆っておくということですね。遮水工と集水管と汚水処理施設がポイントです。

 遮断型の場合は簡単に言うと、コンクリートの箱の中にコンクリートで固めた有害廃棄物を入れるということです。それを図で示したものが次からです。

 

画9

 

 一つは廃棄物処分場、管理型の処分場、それから右側が海面処分場。

 海面処分場は海洋投棄ではなくて、管理型なんですけれど、陸上でなくて海に捨てるものです。海洋投棄というのはもっと沖に、船で運んで沈めるような処分です。

 

 

画10

 

 安定型は雨水の地下への浸透を防ぐ遮水シートは全くないですね。浸透水採取設備というのは浸透水を採取はするけれども、浸透水を防ぐ遮水シートは全くないわけです。雨水等の排出設備として処分場周辺に溝みたいなものを掘ってはいますが、地下水汚染を防ぐための設備は全くない。管理型はそれがあるんです。これが管理型です。

 

画11

 

 管理型は遮水工というのが右の方にありますね。保有水等集排水設備、これが集水管ですね。それでもって浸出液処理設備、これが汚水処理設備、そこに汚水を集めて処理して放流すると。これが管理型です。

 

画12

 

 これが遮断型、コンクリートの箱の中にコンクリートで固めた有害産廃を入れる。雨水が中に入るのを防ぐために屋根を設けている。

 以上が三種の処分場です。

 

 これからテーマの「不法投棄かどうか」という問題に入っていきます。

 先ず不法投棄にはどういうケースがあるかと。主な不法投棄のケースはですね。

 

画13

 

 ケースAと記してますが、処分場でない土地、山林とか河川敷とか処分場でない所に廃棄物を投棄したら不法投棄です。それからケースBは20種類の産廃それぞれに応じた処分がなされていない場合、つまり管理型処分しなければならない廃棄物を安定型に持って行ったような場合は不法投棄です。

 不法投棄には常套手段があるんです。どういう常套手段かといいますと、「これは廃棄物じゃない、資源だ」と言い張る占有者。「これは廃棄物じゃないか」と聞かれても「いや、これはわれわれには資源なんだ」と「あんた方には廃棄物に見えるかも知れないが自分たちはこれを資源として使うんだ」と言い張るわけですね。占有者がそう言い張ったらなかなかそれ以上突っ込めない。以前はそういうこともあったんです。

 典型的な事例が豊島(テシマ)事件です。瀬戸内海の島、豊島、そこにドンドンドンドン産廃を積み上げていったんですね。土地の所有者、廃棄物処理業者が。どうみても不法投棄なんだけども、いやこれはエサだ、ミミズの養殖をこれでやるんだと言い張ってズーッと積み上がっているうちに、もう環境汚染につながって大変な事件につながったのが豊島事件です。

 こんなとんでもない事件なのです。これはさっきの占有者の意思によってというのが一つの判断基準ですから。それを廃棄物の処理業者が利用したわけです。それが一つ、もう一つは有価物の偽装というものもある。それは有価物、有償でお金を払って買ったように見せかけるということですね。そういう契約書を交わしておく。これをいくらで、100万円で買ったんだという契約書をつくっておくわけです。そうするとそれを買ったわけですからそれは廃棄物ではない、ということになる。

 廃棄物というのはここに図を書いておきましたけれども、普通の財というのはお金を払った人のところに物が来るでしょう。食べ物だって服だってみなそうですよね。お金の流れと物の流れが反対方向を向いているわけです。普通の財はみなそうです。それに対し廃棄物は同じ方向を向いている。廃棄物を渡す人がお金を払うでしょう。そうすると、お金を払って廃棄物を買ったようにして、ホラ、廃棄物ではないと有価物と偽装して廃棄物を資源であるかのようにゴマカス。こういうことはしばしば行われています。これが常套手段です。ということで豊島事件とか有価物偽装事件とかいっぱい行われたものですから、廃棄物として定義をきちんとしておかなくてはいけないということになって、それで環境省が総合判断説というものを出しました。これが廃棄物の定義らしきもので今でも使われている。廃棄物の定義です。

 

画14

 

 でそれによると、廃棄物とは占有者が自ら利用し、または他人に有償で売却することができないために不要になったものをいい、これらに該当するか否かは占有者の意思、その性状等を総合的に勘案して定める。つまりポイントは占有者の意思だけじゃあダメですよ。占有者がいくらこれは資源である、これは有償で買ったものであるから廃棄物じゃないと言い張っても、その性状から見て、どう見ても廃棄物であれば総合的に勘案して廃棄物と判断するということです。だから占有者の意思だけじゃあダメですよ。ということで総合判断説と呼ばれています。最高裁もこの総合判断説を採用して、オカラ事件判決というものを出しました。そのポイントは性状のところをもうちょっと詳しく説明しているということですね。その物の性状、排出の状況、通常の取扱い形態、取引価値の有無及び事業者の意思、事業者の意思は占有者の意思です。これも総合判断説に属するわけです。

 今、廃棄物とは何かということについては、総合判断説が行政でも裁判所でも使われます。次に行きます。

 

画15

 

 廃棄物の不法投棄とは、その3ですけれども、産廃の埋立処分基準と保管基準。産廃の埋立処分基準については埋立処分基準というのがあるんです。先ほど安定型、管理型、遮断型にはこういう設備をつくらなければいけませんよという表を示しましたね。あれが埋立処分基準で決められていることなんです。それは当たり前ですよね、埋立処分場とするにはそれなりの設備をつくっておかなければいけません。その基準を定めたものが埋立処分基準です。

 それからもう一つ、埋立処分場に持って行く前に、排出事業者の所で保管しますよね。保管の時に環境汚染につながるような保管をしては意味ないじゃあないですか。だから保管についても基準があるわけですよね。

 事業所に保管している時は保管基準が適用になる。そして処分場に持って行く時には埋立処分基準が適用になる。こういう風になってるわけです。

 ということは産廃がそのいずれの基準も満たさずに放置されている場合にはこれは不法投棄に当たるということなんです。

 どっちかの基準を満たしておかなければ不法投棄に当たるということなんです。で不法投棄というのは廃棄物処理法(廃掃法)でどういう風に規定されているかというと。廃掃法16条に「何人(ナンピト)もみだりに産廃を捨ててはならない」これが不法投棄を規定した条文です。埋立処分基準、保管基準を守らず放置してはならない、ということです。で不法投棄すると「五年以下の懲役、1千万円以下の罰金」が科せられます。

 それから保管基準に違反すると改善命令の対象になって、命令に従わなかった場合には「3年以下の懲役、300万円以下の罰金」またはその両方が科せられるということです。

 だから埋立処分基準を満たして処分場で処分するか、又は保管基準を満たした保管をしなければいけない。その二つ以外の場合は不法投棄に当たるということです。

 

図16

 

 ということで本件にもどります。本件が不法投棄かどうかと。その前に産廃の保管基準について補足説明しておきます。産廃の保管基準とは結構きびしいんです。ちょっと見にくいかも知れませんが、高さが制限されてたりとか、積み方、図に書いているような積み方ですね。それから擁壁があるかないかによって積み方も違ってくる。基準は非常にきびしく決められているんですね。こういう保管基準を満たした保管をしなくてはいけないということなんです。

 それじゃあいよいよこの事件が不法投棄に当たるかどうか、金山さんがこれをこれから問うていきたいといわれていた、そのポイントになることについての話になります。

 

画17

 

 下関市にはもう信じがたいような、もうあきれるというか、もう失笑するような廃掃法のいくつもの知見、もうびっくりしました。もう廃棄物を勉強したことのある者ならビックリするような、のけぞるような回答をしています。その一つ目。

 下関市の見解1、「コンクリートくず混りの残土は産廃ではない」、本件はコンクリートくずが混じった残土がここにつみ重なっている。それが産廃かどうか、それが産廃ではないと言ってるのです。この回答に永年苦しめられてきたわけです。だけどそれはコンクリート混りの残土が産廃か否かを問うているものではないんです。

 今問うているのはコンクリートくずを残土に入れていること自体が不法投棄でないかと問うているのです。分かりますね。残土の不法投棄かどうかでなく、「コンクリートくずの不法投棄に当たるんじゃないか」と聞いても、いや「コンクリートくず混りの残土は廃棄物ではありません」と答えているのです。「コンクリートくずは産廃じゃあありませんか」と聞いているのに「いや、残土は廃棄物ではありません」と答えているのです。全然回答になっていないわけです。子供だましの回答といいますが、子どもだって騙されませんよ、こんな回答。

 こんなひどい回答には笑っちゃうというかあきれるだけです。こういう回答をズーッとしてるんですよ。今までこれをくり返しているだけなんです。それが一つ。

 それから二つ目は「廃棄物の排出者が明らかでないため」誰が排出したかよく分からないから、不法投棄かどうかはよく分かりませんと。本当ですかね。排出者が特定されなければ不法投棄にならないですかね。変ですよね、これ。有名な産廃Gメンといわれた千葉県庁の石渡さんという人がいるんですよ。その人とっても有名になったんです。画期的な行政をやって。それは産廃Gメンというのをつくって、県庁の中に、そして不法投棄されたものを誰が不法投棄したのかを徹底的に調べた。徹底的に調べたら分かってくることが多いわけですよね。そうやって摘発していったんです。だから産廃Gメンとして素晴らしい仕事をしたということで大変な評判になったんです。本も出来ました。不法投棄は違法犯罪だから誰がやったかを調べて行ったわけでしょう。当たり前のことですよ。

 例えばひき逃げが起こったとする。誰がひき逃げしたか分からないから犯罪じゃないと、そんなことはありえませんよね。殺人が起こったって誰が殺したかよく分からないから犯罪じゃないなんて言いませんよね。殺人にしろ、ひき逃げにしろ、もうそれだけで犯罪なんです。

 犯罪かどうか、ということと誰が犯人かということは別の問題なんですよ。犯罪が確定したうえで犯人を捜していくわけでしょう。あるいは犯人を捜さなければいけないわけですよ。それを犯人がよく分からないから不法投棄じゃありませんと、そういう回答をしているんですよ。

 どう考えてもおかしい話でしょう。産廃行政を所管しているのは普通は都道府県ですよ。しかし下関市は保健所設置市ですから、市が県に代わって産廃行政を所管しているわけです。だから産廃行政を所管する責任、不法投棄を取り締まる責任は下関市にあるんです。自分の責任をほったらかして、犯人がよく分かりませんから、これ不法投棄かどうか分かりませんと。とんでもない回答ですね。それが二つ目。

 それから三つ目。

 

 「生活環境保全上の支障が生じる恐れがない。」と答えている。だけど生活環境保全上の支障が生じるか否かということは不法投棄か否かとは関係ないんです。生活環境保全上の支障が生じなくったって不法投棄は不法投棄なんです。でなければ安定五品目の不法投棄はありえないでしょ。安定五品目は地下水汚染のおそれがないから生活環境保全上の支障が生じるおそれがないんですよ。だけど安定五品目を保管基準も埋立処分基準を満たさず放置すれば不法投棄なんです。だから生活環境保全上の支障が生じるかどうかとは全く関係ないんです。

 

 とても参考になる例を挙げますと伊万里の射撃場の問題があります。この問題に私もかかわったんですけれども、伊万里射撃場は鉛銃弾を打ちっ放しにしていたのでいっぱいたまっていたのです。20トン位かな、そこから鉛が 溶け出し川に流れ出して、生き物が住めない所になってしまったのです。その下流で田んぼをやっていた人が胃がんになったりして3人ほどなくなっています。そういう鉛汚染が生じたんですね。鉛の銃弾だけでなくトレイといって、廃プラスチックも溜まるんです。射撃すると廃プラスチックも鉛の銃弾もこれ金属くずです。金属くずも廃プラスチックも安定五品目に入っています。つまり撃ちっ放しにして、その結果、安定五品目の金属くずと廃プラスチックが溜まっていったんですね。ところで地元の市会議員の方も取り組んでいたんですけれども、佐賀大の研究者と提携して取り組んでいたんですが、それを汚染の問題としてとらえていたもんだから、そこから流れてくる汚水を集めて分析して、水質基準をこえているかどうかを問題にしていたんですよ。そうすると晴れた日には基準値を超えても雨の日は薄まって基準値を下回り、なかなか追及できなかったんですよね。

 それの相談を受けて、それを汚染で攻めるから悪いんだと、それは廃棄物の不法投棄だと教えたんです。それで一気に解決し、全部取り除かなくてはならなくなったんです。トレイは廃プラスチックですぐさま除去、ただし鉛の方は溶けていってますから取り出すのもなかなかむずかしかったんですけど。だから土壌汚染として解決していかなければならなかったんですが、それも解決しました。つまり汚染の問題として攻めるとなかなか攻められないけど、廃棄物の不法投棄で攻めたらいっぺんで解決したんです。

 つまり安定五品目であろうとも不法投棄だから事業者が処理しなければいけなかったわけでしょ。つまり生活環境保全上の支障があるか否かと不法投棄とは関係ないということ。良い例ですね。

 それから四つ目、四つ目は「廃棄されたものなら廃棄物になる可能性がある」これも面白いですね。聞いてビックリしましたけれど、廃棄物の定義で占有者の意思で不要物となったら基本的にそこで廃棄物となるわけです。だから家でも不要物と思ったらゴミ箱の中に入れるでしょう。もうその時点で廃棄物になっているんですよ。別に家庭から市の収集に排出しなければ廃棄物にならないということではないでしょ。排出される前に占有者の意思で廃棄物になっている訳でしょう。で下関市の回答がおかしいことをいくつかの言葉で証明しますけれど。

 産廃の保管基準というのがあったでしょう。「保管基準に適合した保管をしなければならない」という保管基準があったでしょう。

 ということは事業所の所に保管されるものですから、処理業者に排出される前に産廃になっているということじゃないですか。産廃の保管基準があるということは排出する前にもう産廃になっているということじゃないですか。分かりますね。

 それから二つ目、ゴミの分別排出というじゃないですか。分別排出しなきゃいけませんよ、と。ゴミは廃棄物だから分別排出しましょうと、呼びかけているじゃあないですか。つまり排出する前にゴミになってるってことじゃないですか。

 それから三つ目、ゴミ屋敷というのがありますね。家の中にゴミが積み上がってそれでゴミ屋敷と呼ばれますね。当然排出される前に部屋に溜まってるわけでしょう。でもそれゴミじゃない?

 もし排出されなければ、廃棄されなければ廃棄物にならないなら、ゴミ屋敷というのはこの世に存在しないことになっちゃう。

 これら三つの言葉だけからも「排出されたら廃棄物」という地方の下関市の言い訳は全くおかしいと。下関市の見解1,2,3,4上げましたけども、どれもあまりにもお粗末すぎる。

 ゴミを研究している者から見れば学習レベル10段階の1段階にも達していないお粗末なそういう回答なんです。そんなお粗末な対応を下関市民はされてるってことですよ。

 金山さんはもう15,6年もそれに苦労されてるってことですよ。もうまれにみるひどい行政です。

 

 結論に移ります。

 

画18

 

結論の1、コンクリートくずというのはコンクリートくずであるだけで産廃なんですよ。コンクリートくずはもうそれだけで産廃なんです。紙くずの場合は業種が限定されています。さっきいいましたように印刷業とか新聞業とかね。業種が限定されているけれど、コンクリートくずは業種限定は何もないんです。コンクリートくずであればすべて産廃です。それから占有者の意思にもとづいても、これはくずですから占有者が資源として利用されているといえるわけがないんです。

 それから性状から見ても、どう見ても産廃。産廃じゃないという論拠は何もない。

 二つ目、じゃあコンクリートくずが産廃であるならばその産廃が埋立基準も保管基準も満たさず放置されていることは明らかですから、これは不法投棄に当たります。黒井の事件というのはどう見ても不法投棄に当たります。これが結論です。 

はい、以上です。

 

なお、熊本名誉教授の最初の問題提起は

動画の詳細 - YouTube Studio

で見ることができます。

 

引き続き質疑応答を行い、先生のご報告に対する質問、応答が行われました。

黒井不法投棄問題は関連企業、業者の違法行為が多々見られ、また市もいろいろと虚偽内容の公文書回答を行っていることも明らかにされた。市はこれら犯罪となる不法行為を知りながらすべて容認し、産業廃棄物の保管基準、処分基準違反の不法投棄を不法投棄と取扱うことなく、関連業者に「改善命令」も行わず放置してきたことは解決を求める犯罪被害者の金山さんにとって十分に国家賠償訴訟に該当すると次のような案を提示されました。

 

 

 今後、基本的に国賠訴訟を闘う必要があります。下関市の廃掃法理解のデタラメ、規制権限不行使、虚偽公文書、公務員の告発義務違反等、多くの違法行為を追及していくことになります。黒井産業廃棄物不法投棄撤去のたたかいは15年目にして大きな転機を迎えます。下関市の不法行為を明らかにして損害賠償訴訟を勝ち抜きましょう。