建設残土に混入したコンクリートくずは産業廃棄物? 下関市のごまかし回答の裏の不法行為 | ニッコリ会・下関

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第4回公開質問状への回答について2月15日、金山三郎さんと池上弁護士、そして三名の市議と市民らが市環境部廃棄物対策課を訪れてのやり取りについてようやくテープ起こしを終え、ご報告が遅くなりました。なお、この件につきまして明治学院大学の熊本一規名誉教授のブログに詳しくご紹介をいただきましたので併せてお読みください。

www.kumamoto84.sakura.ne.jp/Kuroi/Kuroi.html

 

市の回答は前の当ブログ(2023-2-16)(第4回公開質問状回答)のとおりで大変なごまかしが浮き彫りとなりました。

1. 質問1にあるように

「本件残土に混入したコンクリートくず等は廃掃法上の「産業廃棄物」に当たるのではないか」に対して

「令和4年5月25日付下廃第882号でお答えしたとおり、本件残土に混入しているコンクリートくず等については、それらが廃棄されたものであるならば、廃掃法上の廃棄物となる可能性がありますが、本件残土を廃棄物とは判断できないということは、これまでも繰り返しお伝えしているところです。したがいまして、本件残土については廃掃法に基づく対応はできないものと考えております。」と回答しています。

 

①     質問1は「コンクリートくず等が廃掃法上の産業廃棄物に該当するかどうか」を聞いているにもかかわらず、答えは「本件残土を廃棄物とは判断できない」と回答しているのであって、質問にまともに答えていません。

また「それらが廃棄されたものであるならば、廃掃法上の廃棄物となる可能性があります」とありますがコンクリートくずは廃棄されなくても廃棄物であることは廃掃法施行令第2条第7号からも明らかで、下関市廃棄物対策課に置いてある「建設現場従事者のための産業廃棄物等取扱いルール」(公益財団法人 産業廃棄物処理事業振興財団 大成出版社)のp7にも明示されています。

 

②    次に「廃棄されたものなら廃棄物となる可能性がある」とありますが、これは廃掃法における廃棄物の定義には全く規定されていません。

廃棄物の定義は「この法律において「廃棄物」とは、ごみ、粗大ごみ、燃え殻、(中略)汚泥その他の汚物又は不要物であつて、固形状又は液状のものをいう。」(廃掃法第2条要約)とされ、「廃棄されたら」という要件はどこにもありません。市は法律にないことを定義づけ公文書回答しています。これは法の逸脱であり、職権濫用に当たるのではないでしょうか。

 

2. 下関市は質問の2~5(前ブログ参照)まですべて1の答えにならぬ回答を根拠にしており、すべて不適正な回答となります。

①    もしもコンクリートくず等が産業廃棄物ならば、その処分や保管について廃掃法12条1項、2項、同法施行令6条、同法施行規則8条(産業廃棄物保管基準)等に基づき、また一般廃棄物であれば廃掃法施行令第3条1のリ、(1)(2)に基づいた対応が必要となります。ところが市はこれらについて全く答えておらず、廃棄物を所管する行政庁として廃掃法に基づかない極めて不適正な対応を被害者・市民に示しています。

 

3. 下関市は被害者の金山さんの被害の訴えを受けて平成21(2009)年5月15日に黒井の現地を訪れた時の報告を同月20日付の業務日誌に記していますが、そこには「建設残土及び廃棄物が確認できたが残土部分を廃棄物と認定することは難しいと思う。」とあり(別紙の下から4行目~3行目)、市は当初から廃棄物があることは把握していたことは明らかです。

平成21年5月15日に下関市が撮影したコンクリートくず等

 

4. そうであるならば下関市はその法的権限に基づき廃棄物を持ち込んだ者を調査し、その責任のある者に撤去させるため、警察とも連携して適正に処分、保管するよう改善命令(廃掃法19条の3)や措置命令(同法19条の4)をすべきだったのです。ところが下関市は被害者に対して放置されたものに廃掃法の適用はできないとして放置したものです。

 

 

公園にテープデッキ等の不法投棄が行われ、報せを受けて市廃棄物対策課の処置

 

5. 「何人もみだりに廃棄物を捨ててはならない」(廃掃法16条)のであって産業廃棄物も一般廃棄物もその処理、保管基準が定められており、それに反する不法投棄については「5年以下の懲役、1千万円以下の罰金」が科せられます。(廃掃法25条)

 

6.金山氏はU氏との賃貸契約期限の切れる前の平成21年4月2日に最寄りの小串警察署に不法投棄になることを訴え、下関市にも訴えました。しかし小串警察署は現地を見に来たもののその後、被害者が訪問しても対応を拒否し、下関警察署も結局、下関市の態度を理由に事件として受理しませんでした。

 

7.当時、金山氏を騙して資材置き場の半年契約をして逃亡したU氏は実はその1年前の平成19年4月に下関市に土地の借り受けを申し出、契約書も交わさないまま、同年5月から産業廃棄物を含む建築資材を搬入して放置したため、市より資材の撤去を指示され問題となっていた時期でもありました。市は同一人物による悪質な連続不法投棄事件と知りながら、黒井不法投棄事件をもみ消したのでした。

 

8.下関市が被害を受けた事件はようやく市が平成22年8月25日にこの実体のない㈲膳家(既に平成21年12月に解散)に対して資材の撤去、本件土地部分の原状回復を求め提訴し、同年9月1日、山口地裁下関支部は市勝訴としましたが、U氏夫婦への訴えを取り下げましたので、全面的に市が原状回復責任を負い当該市有地を3000万円で売却し、時価額から約4000万円の損害を受けたのでした。

なお、U氏は同じ頃、市内清末町でも同様の手口で残土等の不法投棄を起こしていました。

 

9.下関市は黒井の事件に関して金山氏の被害の訴えから当然にU氏と残土等を運び込こんだI社、元請けS社等を調べ、運び込まれた残土等が金山氏の土地を侵奪(不動産侵奪罪第235条の2)し全面的に使えず、土砂崩れを起こして事務所を損壊させたことや混入した廃棄物が保管基準(法12条3項)に反して放置されていること(法16条違反)から廃棄物の不法投棄事件として警察とも連携して原状回復させるべく適正な処理や必要な措置を講ずるよう努めなければならなかった。(「改善命令」法19条の3)、(「措置命令」法19条の5等)

また同時に犯罪行為が行われていることを知った公務員の告発義務を定めた刑訴法239条第2項も履行していません。

 

10. 廃棄物を管理監督する権限を有する下関市はこのように不法投棄被害者の訴えを握りつぶしています。住民の福祉の増進のために法に基づいて仕事をすべき行政が産業廃棄物の不法投棄や不動産侵奪、詐欺という犯罪行為が行われていることが明らかでありながら改善命令も措置命令も出さず告発も行わずに被害者の苦しみを14年間も放置しているのです。

 

そうしてこの日の回答のように被害者市民に対して

「建設残土に混入したコンクリートくず等は産業廃棄物ではないのか」にすらまともに答えられず、「廃棄物は廃棄されたら廃棄物になる可能性がある」と法的根拠のない根拠でごまかそうという公開公文書回答を行っています。

犯罪行為に苦しめられている一人の黒井不法投棄被害者の問題を引き続き市への公開質問状で問いただし広く全国に知らせて行きたいと思います。

よろしくお願いいたします。

 

【関連】

民事訴訟結果:金山三郎氏はこの間二つの裁判を闘いました。一つは契約者U氏、持ち込んできた業者、元請け業者、もう一つは発注者等に対する原状回復訴訟でした。その結果、本「産業廃棄物不法投棄事件」の被害者であること、騙したU氏が責任を取るようにとの確定判決を受けています。しかし、U氏は行方不明(計画的犯罪)で問題解決することができていません。また発注者や下関市等を刑事告訴し、下関警察署は不受理でしたが、検察庁下関支部が受理し、現在事情聴取が行われています。

 

2023-3-28