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足首の条件が悪くて、どんなに頑張っても「ルルベの臨界点(造語)」以下、「ルルベ角(造語)90°以下」のルルベしかできない場合、地球の重力が容赦なく踵を引き下げようとしてきます。
ルルベから落ちないためには、ずーーーーっと、ずっと、腓腹筋・ヒラメ筋に力を入れて、踵を引っ張り上げていなければなりません。
ルルベの臨界点以下であっても、ルルベ角が大きく、ルルベが高ければ高いほど腓腹筋・ヒラメ筋の力は要らなくなります。
反対に、ルルベ角が小さくルルベが低ければ低いほど腓腹筋・ヒラメ筋の力がたくさん必要になります。
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では、どれくらいのルルベの低さ(笑)で、どれくらいの筋力が必要になるのか、計算してみました。
まずどうやって計算するかですが、
〜 繰り返しのつま先立ち動作は、底屈筋群の機能評価としてよく用いられる動作である。
図14.52に示すように、身体を最大限上に引き上げるためには、距腿関節と中足趾節関節の2つの内的な底屈筋トルクの相互作用を必要とする。腓腹筋に代表される底屈筋群は、距腿関節窩内の距骨と距骨に連なる踵骨を回転させて、距腿関節を底屈させる。
しかしながら、身体を上に引き上げるトルクの発揮に最も重要な要件は、中足趾節関節の伸展である。
足趾の内外軸に対して腓腹筋は、体重という外的モーメントアームよりも、さらに大きな内的モーメントアームを有している(図14.52のパネルBとCを比較)。
このような機械的優位性は、全筋骨格系の中でも非常にまれである。
腓腹筋は、重い荷物が乗った手押し車を持ち上げるように、中足趾節関節を支点とする第2の“てこ”を使って身体をもち上げる。たとえば、腓腹筋の機能的優位性が3:1(内的モーメントアーム:外的モーメントアーム、または図14.52のB:C)である場合、身体を持ち上げつつ底屈位を保つために必要な力は体重のわずか1/4または25%ですむ。
全身体機能のなかで、筋が発揮する力が、支える負荷より少ない例は非常にまれである。しかしながら、この優位性を得る代わりに、理論的に腓腹筋は、重心移動距離の3倍以上短縮する必要がある(第1章)(より詳細な重心移動距離を見積もるためには、すべての底屈筋の羽状角を知る必要がある)。しかしながら、この取引のおかげで、われわれは比較的簡単につま先立ちをすることができる。
図14.52に中足趾節関節の伸展の重要性を示す。中足趾節関節の伸展は、底屈筋群の内的モーメントアームを増加させるのみならず、前述の通り、ウィンドラス効果を発揮し、足底筋膜を伸長させる。伸長された足底筋膜は内側縦アーチを支える内在筋を助け、前足部を硬くすることで、足部が体重の負荷を効率的に受け止められるように働く。〜
〜「筋骨格系のキネシオロジー」 D.Neumann 著 〜 より引用
なんか、難しいこと書いてありますね。
要は、テコの原理です。図の左上のような手押し車(一輪車)に何10kgも重たい煉瓦を乗せていても、ハンドル部分を持ち上げて、荷物を浮かせることは簡単にできます。
この手押し車パターンのテコの原理を 「第2のテコの原理」と言います。
重心線がMP関節に近いところを通って、かつMP関節から踵までの距離が長ければ長いほど力学的に有利になります。
単純に考えれば、足が大きい方が有利ですし、特に踵が長い方が有利です。しかし一般的に足が大きいと身長も高くなり、重量は長さの3乗に比例しますので足の大きさのメリットよりも身体の重さのデメリットの方が増えてしまうため、身長が低い人の方がこの点は有利ですね。だから子供の方が有利。しかも足が大きくなってから身長が伸びると言われているので、成長期直前あたりの子供が力学的に一番有利なんじゃないでしょうかね。
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なるほど、体重50kgとすれば、MF = 50 x C/B。簡単です。
では、ルルベしている足のモデル
を使って計算してみましょう。
(計算は簡単でもその作図が大変なんだよ)
するとこうなりました。
んんー?! 変!
変ですね。なんでこうなるんでしょう?
ルルベは高い方が楽ですよね?
え?それとも低い方が楽ですか?
どうしてこうなった? それはですね、これは、日常の爪先立ちであって、
バレエのルルベじゃないからです。
この前のエントリーのバロック・ダンスの時代だったら良かったんですけどね。
ということで作図と計算のやり直しです。