2020年8月4日。

今日は話を進めます!



さっそく昨日の続きです→→→




台風に伴う悪天候の中、当日臨時便がアサインされたことでしょっぱなからキレ気味のY氏ですが、天候の回復待ちなどで出発時間が少し遅れたため、出発前に日が暮れてしまうという悪条件が加わりました無気力



航空機の運航では、レーダーで雲くもりの状態を確認しますが目視での確認もとても有効です。

でも夜間だとレーダーからの情報しか使えないので、揺れの予測などが立てにくくなります。

レーダーを含め、航空機の性能は日々進化していますので、今はレーダーだけでもかなり細かな情報が得られるようになっていると思いますが



また、揺れの予測や航路の判断は、機長のセンスにものすごく左右されます。



どの判断も『間違い』ということはないのですが、

(機長だけでなくコパイやディスパッチャーも一緒に判断しますので、『間違った判断』はありませんが、『楽観的な予測に基づく判断』か『悲観的な予測に基づく判断』のどちらを選ぶかは機長によるところが大きいのです)

Y氏は悲観的な判断の更に上をいく『慎重すぎて無駄が多い判断』をすることが多々あり、この日も台風の影響を避けるため通常ルートとは大きく違う迂回ルートを飛行するとのことで、那覇⇒中部国際空港まで通常2時間前後の区間が2時間30分はかかる、と言います。



そしてその間ベルトサインはオフにできない、と。

2時間30分(離陸前・到着後を考えると3時間近く)ベルトをしたままずっと座っていろ、と言うのです。



他の機長なら、揺れの少ないと思われる航路に変更するから時間はかかるけど、ゆっくりサービスできるよ、とか、揺れるエリアを通るけどできるだけ早く目的地に着くよ、とかお客様の立場になって、どちらが良いかを考え航路を決めます。



もちろん短い路線で悪天候の場合、迂回もできないし高度も変えられないのでベルトサインも消せないということはあります。



ですが、2時間30分もの飛行時間の中、しかも台風は九州あたりなのに全くベルトサインをオフにできない、というのはなかなかないことです。



でも、機長の判断は『安全を重視した判断』なので、絶対です。

CAは機長の判断に合わせて動くしかありません。



出発前にはロビーであらかじめ『台風を避けるため飛行時間が長くなること』『揺れるのでベルトサインは消えないこと』『上空ではサービスもできないし、トイレにもいけないので搭乗前に済ましておくこと』などをアナウンスし、お客様搭乗時も子供連れなどにはトイレの使用を促す声掛けをするなどしました。




で、実際飛行機が離陸すると飛行機・・・



確かに離陸後すぐは風の影響を感じるような揺れがありましたが、いつもある揺れと大きく変わらず、5分も続きませんでした。



その後はほとんど揺れません…かお



ただ外はもう真っ暗なので雲の様子などはCABIN側からは見えません。

お客様も大人しく座っています。



ですが、離陸して30分経ってもほとんど揺れの無い状況が続くので、お客様がザワザワしてきました。

時折立とうとするお客様もいて、その都度アナウンスを入れるのですが、そこにYキャプテンの大音量のアナウンスがかぶせられます。



実は、Y氏の大声アナウンスは離陸後から何度も入ってました。

眠っていたお客様が起きてしまうようなアナウンスに、『台風だからしかたがない』という風に思っていてくださっていたであろうお客様たちがだんだんイライラしはじめましたプンプン



当日のCAの編成は、前方に私と新人CA、後方に私の1年後輩のベテランCAでした。



離陸して40分ぐらいが経った時、とうとう後ろのお客様がお手洗いに入ろうと機内を後ろに向かって歩きだしました。

その時揺れはありませんでしたが、マニュアル上はお客様を止め、機長に報告をしなければなりません。



後方に座っていた後輩CAのCさんがインターフォンでY氏に連絡をしました。

私は前方でインターフォンを取って、会話をモニターします。



C「Yキャプテン、後方のお客様がどうしてもお手洗いをしようしたい、と後ろまで歩いてこられました。今は最後方の空席に座って待っていただいています。お手洗いの使用を許可願えますか?」



Y氏はすぐには反応せず、Cさんが何度か

「キャプテン?キャプテン、聞こえますか?」

と問いかけたところにいきなり

「無理です!!

と一言。



Cさんは冷静に

「では使用できるタイミングがあれば教えてください。今CABINでは揺れは感じません。お客様は我慢できなさそうです。」

と食い下がりますが、何の反応もありません。



はい、最低チーン



他の機長なら、必ず『今後の見通し』をCAに伝えます。

貨物機の機長じゃないんだから、安全だけではなくお客様の利便性にも配慮するのが旅客機の機長です。



インターフォンでのやり取りをモニターしていた私は、CABINの責任者としてCさんに指示を与えないといけません。

インターフォンでのCAの会話はコックピット内でも聞こえます。



私はY氏が聞いていることを前提であえてCさんに向けて

「見通しが立たないのは困りますね。後ろのお客様はまだ大丈夫そうですか?

CABINは全く揺れていないのにベルトサインが消えないのはどうしてかな、まだ揺れる可能性があるのかな…?

あと5分しても機長から何の連絡もなければこちらからまた連絡しますね。お客様にはとりあえず5分待っていただいて」

と伝えました。



すると4分後くらいに何の連絡もなく、ベルトサインが消えました。

お客様は一斉に立ち上がり、前と後ろのお手洗いに殺到します。



私としては、このベルトサインがどれくらいの時間オフなのかがわからないとサービスプランが立てられません。



Y氏がまともに会話してくれるとは思えませんでしたが、コックピットのインターフォン呼び出しコールボタンを押しました。

するとその瞬間、Y氏の大音量アナウンスが入りました。


「お手洗い使用のためベルトサインを切りましたが、揺れます!危険です!必要ない人は座っててください!

 

ほぼ怒鳴るような感じのアナウンスに、前方のお手洗いが空くのを待っていたお客様から

「おい!!機長はキチ〇イか!?さっきからなんなんだよ、大声で怒鳴りやがって!!!!

と盛大なクレームが入りました。

 


そりゃそうですよね、私も思います。


心の中でお客様に賛同しながら丁寧にお詫びし、Y氏に再び連絡を試みます。



インターフォンに出たY氏は私が話す前に

「ベルトサイン切ったけど、揺れるかもしれないからな!」

と怒鳴りました。



私はできるだけ落ち着いた口調で優しく丁寧に

「了解しました。大変申し訳ありませんが、アナウンスの音量が少々大きいようで、お客様から指摘を受けました。もし可能でしたらもう少しボリュームを落としていただけますか?」

と伝えました。



返事は案の定「無理です!」



機長が「無理」と言ったらしかたありません。

「了解しました」とだけ伝えてインターフォンを切りました。



このやり取りを他のCAに、インターフォンを使わず口頭で伝えました。

「今日のYさんからは今後の見通しを確認することが難しいので、こちらでできる限りの対応をしましょう。」←Cさんお察し、新人CAさんビックリ



そしてギャレーで他のCA2人にサービスプランなどを伝えている時に、頭上でかすかにつぶやく声が聞こえましたうーん



たまたまスピーカーの下に立っていたので聞こえるレベルの声です。


「さきほど乗務員にアナウンスがうるさいとクレームをしたお客様がいたようですが、コックピットのアナウンスは安全上最も重要なものなので、ボリュームの調整はできません。(←できます汗)なので今はマイクから口を話して声を出すことで小さくしています。今後も台風の影響で揺れます!機長の指示に従ってください!」


と、Y氏がぼそぼそアナウンスをしていました。。。



さっき、アナウンスのボリュームを下げるのは「無理です」と私にはキレたけど、ノミの心臓のY氏はお客様からのクレームも気になってしかたなかったのでしょう。



「安全上ボリューム調整ができない」という嘘までついて弁解していましたが、アナウンスで「クレームをしたお客様がいた」とか言うってどんな神経…!?滝汗

 


しかも声が小さすぎて、お客様には聞こえてないよ!

ほんともう

なんなん?

無理ならいらんことせんとって!!



あまりにもテンパったY氏の言動に振り回されながらも、どうにか最低限のサービスやお客様ケアをおこなった頃、Y氏から連絡が入りました。

 

「揺れが少ないルートを選んでフライトしていたから揺れないで済んだけど、あと10分くらいでベルトサインを点灯するから。そこからは着陸まで、絶対立たないように。」

 

「それからさ、さっき客からクレームあったってたま(私の名字呼び捨て)が言ったけど、あれ

お前の意見だろ?


ここからまたY氏の暴言が始まりますえーん




続きます→→→




たまひよこヒヨコ

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