感動の家族愛★重松清「とんび」を読んで | yukikoのブログ

yukikoのブログ

毎日のお料理や、日常のことを、綴りながら、その時に感じたことや、感動したことも忘れないように書き留めておきたい。
大切な家族や友人達との思い出も、綴っていこうと思います。


重松清さんの「とんび」を読みました。


以前、ドラマ化されていたのを、先に見たんだけど、毎回毎回 涙なしでは見られないほど 号泣した感動のドラマ。


以前から 重松清の本は好きだったのですが、この「とんび」は まだ読んでいず、早く 読みたいと前々から思っていました。


予想通り、本を読み進めていると、何度となく 涙が・・・。

ドラマのシーンを思い出しながら、読む本は 感動もひとしお。

その時々のシーンを思い出しては 涙、涙・・・となっていくのです。


昭和の時代を思い出させる背景。

そんな中、不器用だけど 情にもろく、表現することが 下手だけど、心から家族を愛したヤスさん。その独特な彼の魅力は この本を読んだ人なら 誰でも 好きになることでしょう。


決して 恵まれない環境に生まれてきた子供でも こんなに回りの大人から 愛情たっぷりに 育てられ、大人になっていったアキラは まぎれもなく 幸せな男の子だったと思います。


この本は 単なる 親子の愛情物語というのではなく、あらゆる角度から いろんな人の立場、いろんな人の想い、そういうのが たくさん交差しているのです。



まずは 親の立場から見る子供。ここは 私も同じ親とする立場から、何度も何度も ヤスさんの気持ちに同調し、共感し、自分の子供への想いと交差させながら、切なかったり、嬉しかったり、何度も何度も 泣く場面がありました。



そして、子供の立場から見る親。

幼少時代に 不幸にして、実母を亡くし、まだ幼いころの その寂しさは どれほどのものだったでしょう。

それでも 父親であるヤスさんに 愛情いっぱいに育てられ、さびしい思いなんかしたことがなかったというアキラの優しさ、そして、すくすくと素直に育っていくアキラの姿に 幾度となく 心打たれたました。



そして、そのまわりを囲む 大人たちの それぞれの立場での 思いや行動。

その一つ一つにも その立場でないと わからない 複雑な心境が 織り込まれています。


子供のいないヤスさんの親友の照雲。

彼の胸のうちも 心にしみる場面が何度もありました。


そして、その父親である 海雲和尚の存在。和尚の数々の名言は、どれも 心に響く 温かいものばかり。

中でも 寒い海岸の前で、しみじみと ヤスさんに放つ「おまえは海になれ」という言葉。

この言葉、とても重いんだけど、どこか 温かく、ヤスさんの冷えた身体や心を、大きく包んでこんでくれたにちがいありません。

そんな 和尚は 命をとじてからもなお、アキラに しっかりと教えをの残していきます。


成人の日を迎えたアキラが、手渡された和尚の手紙。それによって、 父親ヤスさんの愛情の深さを知る事にもなるのです。

そしてさらに そこに絡んで、数年後、その手紙によって、アキラがどう思ったのか、という作文を 父であるヤスさんが こっそり読むことになる日。

その時の シーンは 私の感動の極みのシーンでした。


この本一冊には 数えきれないほど たくさんの 感動や、いろんなことを 再認識させられることが 詰まっています。


登場人物は みんなそれぞれ、どこか不器用で 言葉も 投げやり口調だったり、喧嘩口調だったりと、ぶっきらぼうな人たちが 絡んでいるんだけど、それでいて、みんなどの人も 心の優しい、情にあふれる人たちばかり。


こんな人々に囲まれて育ったアキラは ほんとうに幸せものだと思います。


                 本   本   本   本   本


著者が あとがきにも書かれているように、この本は 確かに つくりもののお話なんだけど、そうとはわかっていながらも、どこか 懐かしく 自分に 似たような人を 思い出させてくれたり、似たような場面を思い出させてくれたりします。


やはり 私もそうでした。性別は違えど、自分の娘のことを思い、両親のことを 思い、あらためて、いろんな想いを馳せた一冊。


どれだけのたくさんの人が この本を読み、そうして、それぞれの 誰かを思い浮かべながら 涙された人がたくさんいることでしょう。


ほんとうに 素晴らしい本。

また いつか 再読したいと思える お勧めの本です。






にほんブログ村 主婦日記ブログ アラフィフ主婦へ
にほんブログ村


にほんブログ村 旅行ブログ ぶらり旅へ
にほんブログ村