【質問】 聴聞とは『摂大乗論』の中の「最清浄法海等流(さいしょうじょう-ほっかいとうる)」の正法を聴聞することだと横山紘一先生は言われていたと聞きますが、浄土真宗の偉いお坊さんで、この言葉を仰有っているところがあれば、教えて下さい。 【回答】 平成2年2月の得度習礼での梯實圓和上の講義で、以下のような説法があったようですので、紹介します。 「お聖教」は、言葉を超えた聖智の世界から言葉となって、我々に届いてきた、ということを無著菩薩は『摂大乗論』に「最清浄法界等流(さいしょうじょう-ほっかいとうる)」という言葉で表されています。 浄土真宗の七高僧の一人に天親(世親)菩薩と言う方がいらっしゃいますが、その方のお兄さんが無著菩薩です。 この兄弟は、瑜伽行派と呼ばれる大乗仏教を大成された方々でして「インドの大乗仏教の代表者を三人挙げろ」といわれたら、龍樹と無著と世親でしょう。 その無著が『摂大乗論』という名著を書いている、これは素晴らしい書物です。 私など読んでもよく分かりませんが、その『摂大乗論』の中に「最清浄法界等流(さいしょうじょう-ほっかいとうる)」と説かれています。 この言葉を、弟の世親菩薩が註釈をされまして『摂大乗論釈』という、これまた名著をお書きになっています。 この『摂大乗論釈』の中に、これが「お聖教」なのだ、という事をおっしゃっています。 🟨「最清浄法界等流」「最も清らかな真理の領域から流れ出てきた言葉、それが「お聖教」である」という風におっしゃっているのですね。「清らか」というのは煩悩の手垢が付いていないということです。 〖乃至〗 そういうものを突き抜けた領域を「最も清らかな法界」というわけです。それは人間の煩悩の手垢が全く付かない、ものの在るが侭(まま)のあり様が顕現している世界ですから、最も清らかな真理の領域という訳です。 そこから流れ出てきた言葉を「聖教」と言うのだと天親菩薩がおっしゃっている訳ですね。 そういう言葉が、私どもの心にしみ通ることを「聞薫習(もんくんじゅう)」といわれています。 私達はその教えを幾たびも幾たびも聞き、聞薫習を受けて、呼び覚まされ、自分の虚構に気づかされ清浄法界に導かれて行く訳です。それを仏道というのです。 🟨②聞薫習について【有漏性と無漏性】〖正聞薫習と無漏の種子〗最清浄法界等流の正法を聞く【令和5年7月03日】🟦YouTube で見る🟥https://youtu.be/vRrpNV2ZilI     【終了】