【質問】
 
仏教で、ブラックホールについて教えている経典があれば、ご教示ください。
 
【回答】
 
ブッダは、宇宙のブラックホールという存在があることを知っておられました。
 
『比丘たちよ、宇宙(星雲)と宇宙(星雲)の間に、底知れぬ暗黒の密度が濃い暗闇の閉鎖系の空穴があります。これほど威力のある太陽と月の光でさえも、この空穴を照らすことは出来ない』
 
釈尊に、そう語られて、ある比丘が、このように述べました。
 
『尊師、最大の暗黒でしょう。それよりも、密度の深い暗黒があるのでしょうか』と。
 
釈尊は、答えました。
『比丘よ、それよりも密度の濃い危険な暗黒があります。それは、苦集滅道の真理(四聖諦)をありのままに知らない生命の無知なのです。
無知のせいで、生命が存在に執着する。他のあらゆるものにも執着する。それによって、生老病死の輪廻に、無限に苦しみ続ける。
無知の人には、苦しみの超越はありません』(サンユッタ・ニカーヤ・5‐454)
 
当時の人間が、これを理解したか否かは分かりませんが、釈尊は大宇宙に見られるブラックホールの存在をご存知だったのです。
 
ブッダは、宇宙の構成については、考えることも禁止されているのですから、わざわざ宇宙の偉大さを説法しようとしたのではありません。
 
「生命の無明は、ブラックホールの引力よりも酷いものだ」と強調されているのです。
 
真理をありのままに知らない人々は「好き勝手に他のことを判断して、自分こそ何でも知っているのだ!」という態度で生活しているのです。
 
その結果、人類に一度も平和が訪れたことはないのです。
目まぐるしい速さで科学が発展しているけれども、人間の苦しみは増すばかりです。
 
肉体的にも精神的にも、人は混乱と苦難のどん底に落ちているのです。
 
人類は何とか良くなろうと、もがいていますが、無明を破らない限り、如何なる努力をしても、新たな苦難が生まれるだけです。
 
心の中に無知を宿している限り、人が苦しみから脱出することは、残念ながら、出来ません。
 
社会にある一切の問題を、ブッダが『無明』という一言に、まとめているのです。
 
欲、怒り、憎しみ、嫉妬、傲慢、落ち込み、などの煩悩について、初期仏教では、1500にのぼる心の汚れ・煩悩が説かれていますが、その煩悩の根本が無明であり、煩悩は無明から、現れる副産物なのです。
 
仏教を深く理解出来るように、聞法精進に励み、無明が破れるところまで、真剣に求め抜かせて頂きたいものです。
 
🟨①【唯識と浄土真宗】十根本煩悩【疑後三見.唯分別起〖成唯識論〗】【令和4年3月25日】
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