【質問】

「正精進(しょうしょうじん)」の正しい意味を教えて下さい。

【回答】

「正精進」とは、言い換えますと、四正断(ししょうだん)であり、「四正勤(ししょうごん)」とも言われます。
 
四正断とは、八正道の中の、
「正精進)」を「詳しく四つに開いた教え」を言います。
 
仏道修行の基本科目の一番目が、四正断(四正勤)です。
 
ちなみに四正断(四正勤)の言葉のいわれですが、
「四つのするべきでないこと、するべきこと(断ずべきこと、勤めるべきこと)」という意味から、このような言葉が生まれました。
 
「断」とは、煩悩を断ずる、ということで、この文字が使われたようです。
 
仏教の総合修行科目の中で「精進」と訳されたものが、八正道の「正精進」で、これが四正断(四正勤)のことです。
 
ブッダは、私達がどうすれば、本当の幸せになれるのか、その方法を明らかに説かれました。
 
その方法が、八聖道です。
これを、八正道とも言います。
八つの聖なる道・八つの正しい道を進むことが、真の幸福への道程なのです。
 
私達の日々の日常で、努力するべき実践的な行動であります。
 
四正断を原文で書くと、以下のようになります。
【未生悪令不生・已生悪令滅・未生善令生・已生善令増長】
 
1.断断(だんだん)
 
🔶未だ生じていない悪を生じさせないように努力する。新しい悪業が生じないように意志を起こして、努力して、心を励まして立ち向かう。
 
🔷「新たな悪業は作らない」と決意して、それを熱心に注意深く実行していく。
【未生悪令不生】
 
2.律儀断(りつぎだん)
 
🔶既に生じた悪を断滅するように努力する。既にある悪業を断滅するように意志を起こして、努力して、心を励まして立ち向かう。
 
🔷既に生じている悪業をなくそうと決意して、それを熱心に注意深く実行していく。
【已生悪令滅】
 
3.随護断(ずいごだん)
 
🔶未だ生じていない善を生じさせるように努力する。新しい善業が生じるように意志を起こして、努力して、心を励まして立ち向かう。
 
🔷新たな善業をなそうと決意して、それを熱心に注意深く実行してゆく。
【未生善令生】
 
4.修断(しゅだん)
 
🔶既に生じた善を更に増長させるように努力する。既にある善業を安定させ、持続させるように意志を起こして、努力して、心を励まして立ち向かう。
 
🔷既に生じている善業を更に増長させようと決意して、それを熱心に注意深く実行して行く。
【已生善令増長】
 
ここでいう「精進」とは、通常の「精進する」(努力する)というような意味だけではなく、
「四正断(ししょうだん)を意識して行動する」という意味になります。
 
「四正断」は、具体的な実践的行動であり、やみくもに仏道に精進する(努力する・頑張る)という抽象的な意味ではありません。
 
「四正断」は、一人だけでは、中々、出来るような修行ではありません。
 
日常生活の人との関わりの中で、はじめて実践することが可能です。
「四正断」を実行することで、幸せな世界へ生まれる因を作ることが出来ます。
 
「四正断」を実行することの出来る人は、死後、少なくとも、天上界か人間界に生まれ変わることが出来る、と教えられます。
 
「四正断」により、私達は「善を増大させて、修行の環境を調えて、修行がしやすくなっていく」と仏教では教えられます。
 
「四正断」では、善業を増大させ、悪業を減少させることを目指しています。
 
では「何が善であり、何が悪であるか」ということですが、解脱という視点から考えますと、
「解脱を助けるものが善であり、
 解脱を妨げるものが悪である」
と言えます。
 
「心を平安にし、執着(煩悩)を減少させる事柄」が善であり、
「心の平安を乱し、執着(煩悩)を増大させる事柄」が悪と言えます。

🟨③資糧位【四正勤とは正精進〖断断・律義断・随護断・修断〗】【令和5年1月15日】
🟦YouTube で見る
🟥https://youtu.be/9r0T16MRBgc
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