毎年1月1日に行われるウィーン・フィル ニューイヤーコンサート
クラシック音楽の中でも最も有名で、ウィーンの誇る黄金のムジークフェラインザールからTVとラジオを通じて世界80カ国以上に放送され、4億人が視聴するという超ビッグイベント
1939年に始まる79年以上の歴史を誇るこのコンサートでは、音楽の都ウィーンを象徴するシュトラウス一家のワルツやポルカが演奏され、その高額のチケットは 世界一入手困難 とまで言われています
2018年の今年はイタリアの巨匠、リッカルド・ムーティが再登場
ウィーン・フィルから名誉団員の称号を得た数少ない指揮者の一人
ムーティはもう何十年にも渡りウィーン・フィルと緊密な音楽関係にあり1993年、1997年、2000年、2004年に続き、今回で5回目の指揮台です
演奏曲目は、定番の「美しく青きドナウ」 「ラデツキー行進曲」などに加えて、2018年のさまざまなアニヴァーサリーなどテーマ性を織り込んだ多彩な作品で構成されており、NYC初登場作品も8曲含まれ、新鮮味十分
ムーティが1990年のNYCで取り上げた「短いことづて」とアンコール曲を除いて、全て初めて指揮する作品で構成されていたそうです
イタリアの作曲家ロッシーニとヴェルディの歌劇の名旋律を取り入れた「ウィリアム・テル・ギャロップ」と「仮面舞踏会のカドリーユ」や、ヨハン2世の「十大ワルツ」の1曲とも称されるほど人気が高く、イタリアを想起させる「南国のバラ」が取り上げられているのも、むろんムーティの故国イタリアを慮ってのことでしょう
オーストリア帝国の最後の皇帝となったフランツ・ヨーゼフ1世の息子、ルドルフ皇太子の生誕160年を記念して、皇太子の結婚に際してハンガリーの作曲家ツィブルカが作曲した「シュテファニーのガヴォット」が取り上げられているのも珍しいところだと思いました
鮮明な映像と音声は、たくさんの花で美しく彩られたウィーン・ムジークフェラインの黄金のホールで繰り広げられる音楽の饗宴を、生々しく楽しむ贅沢を与えてくれました
【プログラム】
第1部
・オペレッタ《ジプシー男》から〈入場行進曲〉(ヨハン・シュトラウス2世)
・ワルツ〈ウィーンのフレスコ画〉op.249(ヨーゼフ・シュトラウス)
・ポルカ〈花嫁さがし〉(ヨハン・シュトラウス2世)op.417
・ポルカ・シュネル〈心うきうき〉(ヨハン・シュトラウス2世)op.319
・〈マリアのワルツ〉(ヨハン・シュトラウス1世)op.212
・〈ヴィルヘルム・テル・ギャロップ〉(ヨハン・シュトラウス1世)op.29b
・オペレッタ《ボッカチオ》序曲(フランツ・フォン・スッペ)
・ワルツ〈ミルテの花〉(ヨハン・シュトラウス2世)op.395
・〈ステファニー・ガヴォット〉(アルフォンス・ツィブルカ)op.312
・ポルカ・シュネル〈百発百中〉(ヨハン・シュトラウス2世)op.326
・ワルツ〈ウィーンの森の物語〉(ヨハン・シュトラウス2世)op.325
・〈祝典行進曲〉(ヨハン・シュトラウス2世)op.452
・ポルカ・マズルカ〈町と田舎〉(ヨハン・シュトラウス2世)op.322
・カドリーユ〈仮面舞踏会〉(ヨハン・シュトラウス2世)op.272
・ワルツ〈南国のばら〉(ヨハン・シュトラウス2世)op.388
・ポルカ・シュネル〈投書欄〉(ヨーゼフ・シュトラウス)op.240
アンコール
・ポルカ・シュネル〈雷鳴と稲妻〉(ヨハン・シュトラウス2世)op.324
・ワルツ〈美しく青きドナウ〉(ヨハン・シュトラウス2世)op.314
・〈ラデツキー行進曲〉(ヨハン・シュトラウス1世)op.228
新年を祝うコンサートですので、観客は正装をし、とても華やかな雰囲気
一昨年秋に実際に楽友協会に行ってきたばかりですので、その雰囲気はこれまでTVで観ていた時よりもかなりリアルに感じられました
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前述の通り、ニューイヤーコンサートはチケットの入手が困難のため、最もプレミアが付く演奏会としても有名です
いつか・・いつかウィーンで年末年始を過ごして、
一生に一回で良いので、お着物を着てニューイヤーコンサートを聴きに行ってみたいなと思っています
ちなみに高額チケットは一番お安い立見席で¥35,000~、
前列のお席ですと¥644,000~のようです
本当に、夢のコンサートといった感じですね
またウィーンを再訪出来たら、必ずや楽友協会にも行ってきたいと思います
◆リッカルド・ムーティ
1941年7月28日、イタリア・ナポリ生まれの指揮者。
ナポリ音楽院からミラノ音楽院へ移り、ヴォットーに指揮法を学ぶ。67年、グィード・カンテッリ国際指揮者コンクールに優勝。翌年、イタリア放送響を指揮してデビュー。69年にはフィレンツェ5月祭音楽祭、ニュー・フィルハーモニア管を経て、80年からフィラデルフィア管の音楽監督、86年からミラノ・スカラ座の音楽監督(のちに総監督)に就任。2010年5月、シカゴ交響楽団音楽監督に就任。オペラにオーケストラにと現代の指揮者界のリーダー的存在として知られている。
巨匠リッカルド・ムーティ
颯爽たる進行を見せる曲あり、入念かつ繊細な表情を見せる曲あり・・
楽しくも、実に味わい深いコンサートとなりました
ムーティは、なんだか学校の先生みたいな雰囲気でした
NHKの生中継では、スウェーデン人の父と日本人の母をもつウィーン・フィルのチェロ奏者ヘーデンボルク直樹さんと、ウィーン国立歌劇場のバレエダンサー橋本清香さんの解説も、現役団員ならではの率直な印象や体験談がとても興味深いものでした
放送の最後では、来年のニューイヤーコンサートの指揮者が初登場のクリスティアン・ティーレマンであることも発表されました
これもファンにとっては大ニュースでしょう
クラシック愛好家の1年は、ウィーン・フィルとともに始まることが改めて実感された一夜でありました
大変に優雅な元日の夜でありました