今日はカリウムについて

 

ミネラル① ~カルシウム~

ミネラル② ~マグネシウム~

ミネラル③ ~カリウム~

 

 

~おしながき~

カリウムとは

体に必要な「ミネラル」ってなんだろう?

カリウムを下げる食事療法で知っておきたい3つの基礎知識

カリウムとナトリウム

カリウムを食べ物から効率的に摂取する方法

 

 

カリウムとは

人体に必要なミネラルの一種で、浸透圧の調整などの働きをする。
ナトリウムを排出する作用があるため、塩分の摂り過ぎを調節する上で重要。

人体に必要なミネラルの一種で、成人の体内には約120gから200gが含まれています。遊離イオンやリン酸塩、たんぱく質との結合体としてそのほとんどが細胞内にありますが、ごく一部は血液やリンパなどの体液(細胞外液)や骨にも含まれています。

カリウムは、細胞内液の浸透圧を調節して一定に保つ働きがあります。また、神経の興奮性や筋肉の収縮に関わっており、体液のpHバランスを保つ役割も果たしています。ナトリウムを身体の外に出しやすくする作用があるため、塩分の摂り過ぎを調節するのに役立ちます。一方、不足するとこれらの働きに影響することはもちろん、脱力感・食欲不振・筋無力症・精神障害・不整脈などの症状がみられることがあります。なお、大量に摂取した場合でも体内の調節機構が働くので、通常、カリウムが過剰になることはまれであると言われています。

「日本人の食事摂取基準(2020年版)」では、生活習慣病の予防を目的とした成人1人1日当たりのカリウム摂取の目標量を、男性3,000mg以上、女性2,600mg以上としています。また、2012年に公表されたWHOのガイドラインでは、男女とも3,510mg/日を推奨しています。

 

 

 

体に必要な「ミネラル」ってなんだろう?
体のどこに?
カリウムはミネラルです。カリウムは私たちの体の約0.2%(体重当たり)で体内ではほとんどが細胞内液に存在しています。(細胞内液:細胞の中にある液)そして、細胞外液にはナトリウムが多く含まれていて、それぞれに一定のバランスを保っています。

働き
血圧を下げる
筋肉や心筋の活動を正常に保つ
便秘への働きかけ
老廃物の排泄の手助け
腎機能障害の方は摂取量に注意
などがあります。

カリウムはどのくらい必要?
カリウムの1日の摂取基準は成人男性2,000mg、女性1,600mgとなっています(2005年版日本人の食事摂取基準)。特に、高血圧予防の意味からは成人は1日3,500mg取るとよいと言われています。
カリウムは普通の食事をしていれば不足することはありませんが、下痢や嘔吐、また利尿剤を長く服用し、カリウム排泄量が増えると脱力感や食欲不振などといった欠乏状態になる場合があります。

カリウムの取りすぎ注意の場合

腎機能に障害がある場合、カリウムの取りすぎに注意が必要です。腎臓は体内のミネラルバランスを調節していますが、その調節機能が十分に働かず腎臓がカリウムを排出できなくなると体内のカリウム量が増え「高カリウム血症」となってしまうことがあります。腎臓病では投薬によっても高カリウム血症が引き起こされる場合があるため、医師の管理をよく守ることが大事です。
また、カリウムを取りすぎていないのに高カリウム血症になる場合があります。これは多量のカリウムが細胞から急に放出されるようなときに起こります。衝突事故や外傷による多量の筋組織破壊、重度のやけどによってカリウムが血液に急に放出されて腎臓のろ過機能が追いつかず「高カリウム血症」になってしまします。

カリウムを上手に取ろう

普通の生活をしている健康な人が健やかに過ごすためにはしっかりとカリウムを取るようにしたいものです。
カリウムは芋や野菜、果物に多く含まれますが、芋や野菜を煮たりするとその煮汁に30%ほど流失してしまいます。また、サラダなど生野菜を流水につけてもカリウムはその水に流れ出てしまいます。
煮たりする場合は、その煮汁を上手に利用してスープやみそ汁などにすると効率よく食べられます。

 

 

カリウムを下げる食事療法で知っておきたい3つの基礎知識

 

腎臓病とカリウムの3つの基礎知識
腎臓が悪いと言われた方は、カリウムを含む野菜・果物を控えましょうと主治医の先生から言われたことがあると思います。

健常な人では体内にカリウムが増えすぎると尿から排泄されますが、腎臓が悪くなると尿から不要なカリウムが出ていかず溜まってしまうためです。

実際インターネットで腎臓の食事について調べるとカリウム制限について書いてあるページをいくつか見かけると思います。

ただし、患者さんの中で一定数の方が間違った解釈をしているのをみかけるのでまず3つの基礎知識を触れたいと思います。

カリウムは腎臓を悪くしない
カリウムは少なくても身体によくない
腎臓病の中で本当にカリウム制限が必要なのは2-3割程度
 

1 カリウムは腎臓を悪くしない
インターネットの多くの記事で、「腎機能が悪い場合はカリウムを控えましょう」と書かれているため、カリウムが腎臓を悪くすると考えている患者さんが多くいらっしゃいます。

実はカリウムは腎臓そのものを障害するわけではありません。

では何故、腎機能が悪いとカリウムを制限するかというと、血液にカリウムが溜まりすぎると突然死を引き起こす心臓の不整脈が起きてしまうからです。

そのため、腎臓病の患者さんでは血液検査でカリウム値が5.5mEq/L以上を越えないようにガイドラインで推奨されています。(ガイドラインについては「日本腎臓学会のガイドライン」のページをご参照ください。)

 

2 カリウムが少なくても身体に良くない
時折、カリウムの値を下げるために一生懸命野菜・果物を制限している患者さんを見かけます。

しかし、血液中のカリウム値は低ければ低いほど良いものではありません

過去の報告でカリウムの値が3.0-4.0mEq/Lの人たちと、4.0-5.0mEq/Lの人たちだと、後者の方が治療成績が良かったという報告もありカリウムを制限しすぎるのも良くないとガイドラインにも記載されています

 
3 腎臓病の中で本当にカリウム制限が必要なのは2-3割程度
「慢性腎臓病に対する食事療法基準2014年版」ではカリウム制限を腎臓病の中でもstage3b以降の患者さんに推奨しています。

腎臓病の患者さんの多くはstage3aに相当します。

様々な報告があり答えはありませんが、筆者の主観としては本当にカリウム制限が必要なのは2-3割程度と考えています。

ただし飲んでいる薬や持病によって状況は異なるので血液検査の結果をみながら判断していくと良いでしょう。

 

腎臓病に良い食事療法とは
腎臓病に良い食事療法を求めて、年間100万人以上の方が当院ホームページの食事療法のページに訪れています。

しかし、実は腎臓病に良い食事療法はこれをやればよいというものはなく、最終的には患者さんごとに血液検査の結果をみながら専門の管理栄養士が細かく微調整をしていくのが望ましいです。

慢性腎臓病の患者さんは日本に1500万人ぐらいいると言われており、全員が同じ食事療法を行う訳ではありません。

日本腎臓学会のガイドラインでも患者さんごとに必要な食事療法は異なるため必ず個別化するように触れられています。

 

 

 

カリウムとナトリウム
私たちヒトは60兆個の細胞からできています。その細胞の一つひとつの中と外にカリウムとナトリウム、カルシウムとマグネシウムのペアが一定の割合でいてくれることが、人が生きていく上でとても大切な役割を果たしてくれています。

マグネシウムとカルシウムも「ブラザーイオン」と呼ばれるペアで、お互いに協調し合って働いています。

不定愁訴とカリウム
不定愁訴にカリウムが関係する!?

カリウムとナトリウムのバランスの崩れがさまざまな不定愁訴につながることがあります。カリウムは細胞の中にたくさんあり、ナトリウムが細胞の外にたくさんあることが情報の伝達などをスムーズに行ってくれているため、そのバランスが崩れると情報の伝達がうまくいかなくなってしまうからです。

カリウムは特に筋肉細胞の中にたくさんあるので、歩いてしびれるなど自覚の少ない症状の裏には、もしかしたらカリウムやマグネシウムなどのミネラルの過不足があるかもしれません。

カリウムの吸収と代謝
カリウムの吸収と代謝はどうなっているでしょう。

カリウムは、食べると主に小腸から吸収され、腎臓から捨てられます。カリウムは汗からも捨てられます。

こんなときにはカリウムを
高血圧、ストレス負荷時、糖尿病、薬剤服用時などはカリウムを意識して摂りましょう。

高血圧を防ぐ食事
高血圧対策の食事で、塩分を控えましょう、ということがよくいわれます。そのほかに、高血圧を防ぐ食事として、カリウムをたくさん摂ることも挙げられます。

食べた食塩やナトリウムに反応して血圧が上がることを食塩感受性が高いといいますが、日本人のうち、食塩感受性が高い人は40%くらいだといわれています。こういった塩分に反応する方々は、塩分を控える他に、カリウムを多く摂ることで血圧が下がるということが多くの研究で証明されています。

塩分感受性
口から摂った塩分により血圧が変動する人と変動が少ない人がいるということが知られています。

塩分によって血圧が変わる人は「塩分感受性」のある人、塩分によって血圧が変わらない人は「非感受性」という風に分けられます。この塩分感受性を測るには、「レニン濃度」という指標を使います。

塩分感受性には人種差があるといわれ、感受性のある人は黒人で約80%、白人は約30%、黄色人種はその中間といわれています。

また、年をとるとともにミネラルを調節してくれる腎機能が低下して、年齢が高いほうが塩分感受性は増加することがわかっています。

調理によるカリウム損失
調理によってカリウムは失われてしまいます。カリウムの損失率は調理方法によって異なりますが、煮るとその煮汁の中にカリウムの30%ほどが出ていってしまうと考えられています。

汗を大量にかく夏などは、カリウムも汗とともに出ていってしまうので、煮汁も一緒に飲めるスープなどにして召し上がるとよいでしょう。

 

カリウムを食べ物から効率的に摂取する方法

カリウムはさまざまな食べ物に含まれるミネラルですが、調理法によっては損失が多くなってしまいます。

ここでは、カリウムを効率的に摂取する方法を紹介します。

生で食べる
カリウムは水溶性のミネラルで、煮たり茹でたりすると、水に溶け出しやすい成分です。

野菜は生のままサラダにして食べたり、果物もそのまま食べたりするとよいでしょう。

カリウムは加熱では減少しませんが、加熱調理時に出る水分とともに流出するので注意が必要です。

スープに入れて食べる
生の野菜が苦手な人は、スープにして食べるのがおすすめです。

スープにすると、水に溶け出したカリウムを汁ごと無駄なく摂取できます。

加熱すると、具材のカサも減るため、サラダよりも多くのカリウムが摂取しやすくなります。

とくに、根菜はカリウム含有量が多く、スープにはおすすめの具材です。

スープは、調味料に含まれるナトリウムも摂取することになるため、薄味での調理を心がけるとよいでしょう。

加工度の少ない食べ物を選ぶ
カリウムは食材を切って、水にさらしておくだけでも流出してしまう栄養素です。

生の食材でも、パックのサラダなどでは、未加工のものよりカリウムが減少している可能性があります。

果物の缶詰は、カリウムがシロップに溶け出してしまい、実を食べるだけでは果物本来のカリウム量が十分に摂取できません。

できるだけ加工度が少ない食べ物を選ぶと、カリウム摂取量を増やせます。

 

 

 

今日も最後まで読んでいただきありがとうございました。

次回もお楽しみにパー

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