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| PCユーザー全体でのブラウザのシェア |
【グラフ:Webアプリ系サービスの利用率、ほか】
Twitterとの連携やGame Center、同時に発表されたiCloudも見逃せない。「なぜTwitterなの?」という人もいるかもしれないが、プラットフォーマーとなったFacebookとは組みにくいというのもあるだろう。“リベラルアーツとテクノロジーの交差点”を標榜するアップルには、万人向けのFacebookよりも、Twitterのほうが相性が良いというのもあるかもしれない。『Twitterはコミュニケーション革命なんかじゃない』で書いたように、ネットならではのクリエイティビティがTwitterにはある。
iCloudのほうは、iPhone、iPadがパソコンを必要としなくなったことと同時に、モバイルと非モバイルの関係を問い直させる。アップルでいえば、iOSとMac OSの関係である。そこで注目されているのが、Mac用のネイティブアプリではなく、「iOSアプリ(正確にはiPhone ApplicationとiPad Application)と「Webアプリ」の、どちらがこれからのコンピューティングの主流になるのか?」ということだろう。
今回のiOSの進化(アプリケーションのブラッシュアップに注力)は、初代iPhoneが発表された当初の、標準アプリしかなかった時代を思い出させるものがある。当時(2007年)、私は『iPhoneは「携帯とPCを同次元にする」』という記事を書いたが、この中で、iPhoneとAppleTVは「コンピューターと通信の完全なる合体」という言葉を使った。
当時の状況を振り返れば、Adobeが2007年6月、iPhoneの発売とほぼ同時にリリースした「Adobe AIR」を無視できない。HTMLやFlashなどを組み合わせて、独立したアプリケーションが作れるというAIRは、「コンピュータと通信の合体」を意味している(AIRを使った代表的なアプリケーションといえばPC用の「TweetDeck」だろう)。
その「リッチインターネットアプリケーション」というコンセプトに対するアップル流の解釈が、すなわちiPhoneだったのだ。
その証拠というのではないが、アップルがFlashに対抗するフレームワーク「Gianduia」(ジャンドゥーヤ)を開発中であることはよく知られている。ほとんど情報が出ていないので詳細は不明だが、アップル製のサービスでは、すでにGianduiaが活用されているとされる。現在のiOSアプリの開発環境は、その表現力や設計の自由度からして、これのiOS対応ができるまでの場つなぎ的なものかもしれない。
●Webの世界でアプリっぽいことが何でもできそう
ここ十数年のコンピュータ業界の地殻変動といえば、インターネットとそれに関わる技術へのシフトがある。企業も足元のネットワークから順番にオープン化が進み、SalesForce.comのようなWebベースでのソフトウェア提供や、クラウドコンピューティングが最大の注目事項となっている。
個人利用でも、Yahoo!メールやGmailのようなWebメールを使うことはごく当たり前になっており、Flickrのような写真共有サイトや、Evernoteのような優れたWebサービスが重宝されている。下図は、アスキー総研のデジタルとコンテンツに関する1万人調査『MCS 2011』で、「Webアプリ系サイトの利用状況」(2010年4~11月に利用したもの)を聞いたものだ。
Yahoo!メールやGoogleマップ、YouTubeなどは、約50%の人たちが利用している。これまでネットの世界で50%の人が使うサービスは、検索エンジンやポータルサイト以外にはなかった。そういったWebアプリの利用傾向は、今後ますますはっきりしていくことは間違いない。これらを可能にしている背景には、JavaScriptとAjax、CSSといった技術が定着してきたということがある。
Adobeが飛ばし気味に世の中に問うたAIRとは少し趣は異なるが、「Webの世界でアプリっぽいことが何でもできそう」になってきているのが、今なのだ。タブレット端末での操作を容易にするjQueryなど、この路線を追うツールもいろいろと出てきている。「HTML5」を旗印とする大きな潮流になっているといえる。
これらの動きが、iPhoneによってもたらされたiOSやAndroidのアプリの世界に、強烈にぶつかりはじめている。
どちらも「コンピュータと通信の合体」に向かっているわけだが、どちらの道に行くのがユーザーやサードパーティにとってハッピーかということが問われているのだ。そして今のところ、HTML5陣営とiOS/Androidの世界の間には、決定的な基本理念の違いが見てとれる。
アップルとグーグルは、「アプリ」「ストア」「コンテンツ配信」「広告」「決済」といった要素をひっくるめて、1つのパッケージとして提供するのがコンピュータの動作環境だと定義し直したのだ。今回のWWDC 2011でのアップルの発表は、それをいよいよ印象付ける内容だったといえる。
要するに、「コンピュータと通信が合体したら何でもできる」ということだ。スマートフォンは、当然ながらコミュニケーションツールであり、ソーシャルメディアとも連携できる。電話や手紙、新聞・テレビといったいわゆるマス4媒体を飲み込んでしまうばかりか、我々がふだん目にする広告看板や、お店やサイフの機能も取り込んでしまいかねない魔法のデバイスと言っても大げさではない。
アップルとグーグルは、この領域で目下、強烈に張りあっている。Webアプリの世界は、これらとどう対抗していくのだろうか? この2社に加えて、AmazonやFacebookなどのプラットフォーマーも交えた“怪獣大戦争”が今、起きている。Webアプリは、そうしたパワーゲームの足下で、ごそごそと動き始めたほ乳類だという見方があっても良いのかもしれない。
6月7~10日に幕張メッセで開催された「Interop Tokyo 2011」の併設イベント「InterWeb 2011」に参加させてもらうことになった。私は、6月9日のカンファレンスで「Webアプリの未来」というパネルディスカッションのモデレーターを担当した。まさに、こうした背景では最もホットな議論になるべきテーマだと思う。
PCユーザー全体でのWebブラウザのシェアは、日本ではまだまだIEの利用比率が高く、米国では大きな比率を占めつつあるFirefoxの利用者も2割以下でしかない。Google Chromeのシェアは、約7%に達している。
Mas OSユーザーにおけるブラウザのシェアについて、ここで注目すべきは、アップル標準のSafariに対して、Firefaxのシェアがほぼ拮抗していることだ。Firefoxのアドオンの豊富さや、ブックマークをPCと共有したいなどがその理由だろうか。Mac OSユーザーの48.4%が、Windowsも使っている。
●ゆりかごから墓場までのアプリの世界? ユーザーに相応のリテラシーが要求されるHTML5の世界?
利用しているブラウザ別にWeb上の利用サービスを比較すると、「SNSの利用」では、IEとSafariで約2倍の差がある。注目すべきはIEユーザーに「ソフトの入手」と答えた人が少ないことだ。IEが初心者を含めたあらゆるレベルのユーザーに使われているのに対し、FirefoxやChromeを使う人が中上級者に偏っているのだから、当たり前のことかもしれない。しかし、世の中では「ソフトをインストールして使う人」が、大雑把に言って全PCユーザー中の2割しかいないということを示しているといえる(パッケージソフトを買う人がどれくらいいるのか、という話もあるのだが)。
ここでいう「ソフト」というのは、PCを便利にするためのツールとか、DVDレコーダーで撮った動画を携帯ゲーム機用に変換するとか、そういった種類のものが多いだろう。フリーソフトであれ、パッケージソフトとしてお店で売られているようなものであれ、従来からある「ソフトウェア」の概念の範疇にあるものだ。
それに対して、iPhoneやiPad、Androidでいう「アプリ」というのは、もちろんツールもあるが、単なる電子書籍や、ジョークソフトのようなものも含んでいる。
仮に、HTML5による「Webアプリ」の世界が、iOSやAndroidでの「アプリ」の世界に対抗していくのだとすると、従来の「ソフトウェア」という発想ではなく、iOSやAndroidでの「アプリ」のように見える必要がある。そのために「Webアプリストア」というものが注目され始めているのだろうし、グーグルはChrome OSを押していると思う。Chromeストアのトップに「Angry Birds」が出てきて驚いていたという人も少なくないとは思うが。
そして、iOSやAndroidがアプリストアだけでなく、「コンテンツ配信」、「広告」、「決済」などを統合的に提供しているのに対して、HTML5では、それらはネットの中でバラバラに拡散しているものを使うことになるのだろう。ゆりかごから墓場までのアプリの世界に行くのか、それは国家に似た貫禄を備えることになるのかもしれない(だって放送やお金までからんでくる)。それとも、ユーザーが相応のリテラシーを備えてWebアプリ(HTML5)の市場のようなごちゃごちゃした世界に向かうのか、ということだ。
【遠藤諭、アスキー総合研究所】
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