2026年9月29日(火)
現在、独立行政法人大学支援・学位授与機構で2026年10月期の学位(学士)取得のための申請が受付されている。申請料は現在32000円であるが、2027年度より39000円になり7000円ほど値上がりする。今回の申請が、値上げ前の最後になるわけである。
このブログでは私の体験記として、学位授与機構での学士(理学)修得について多くを書いてきた。しかし、学位授与機構の認知度がいまひとつで、知らない人が多いと思う。そこで、このブログを改めて書いておこうと思った。
申請条件の第三区分の基礎資格として申請できるには、大学に2年以上在学して64単位を修得したものである。第一区分として申請できるには、2年制の短期大学の卒業生、高等専門学校の卒業生、認定の専門学校の卒業生、一定の条件をみたす高等学校の専攻科の卒業生、専門職大学に2年以上在学して62単位以上修得したものなどである。何れも2年以上まとまった正規の教育機関での学習歴があることが申請には必須である。それらの人がその後どこかの大学で2年以上にわたって科目履修生などで単位修得を積み重ねたあと、単位内容と単位数ともに小論文を提出して申請する。(高等専門学校の認定専攻科の修了生は、修了見込みで、小論文・小論文試験なしで学校から一括申請する。)そして、単位に関する認定と小論文試験に合格すると、学位授与機構から学士が授与されるという仕組みとなっている(注1)。詳しくは学位授与機構が発行している
『新しい学位への途 学位授与申請案内』(平成8年度版)
を見てほしい。
現在学位授与機構で取得できる学位は、専攻区分ごとに次の通りである。
専攻の区分ごとの詳しい申請条件は、 『新しい学位への途 学位授与申請案内』(平成8年度版)を見ていただきたい。
また、どれだけの人がどのような学位を授与されているかについて、下の資料を参考にされたい。
これを見ると、毎年取得の多いのは学士(工学)である(注2)。毎年、1500名前後の人が授与されている。次に多いのは学士(看護学)であり、次いで学士(教育学)である。私が授与された学士(理学)や放送大学を卒業すると授与される学士(教養)は、毎年1桁である。申請者も少ないので、合格者も少ないのだろう(注3)。
学位授与機構が授与する学位について、機構自身がはっきりと次のようの述べている。
機構が授与する学士の学位は、「大学卒業者と同等以上の学力を有することを証明するもの」であり、「大学院入学資格や人事院規則においても、大学卒業と同等として認められて」います。
機構は大学ではありませんので、機構の「学士」の学位を取得しても大学卒業の学歴にはなりません。
その意味は、学位授与機構で得られた学位(学士)は、国が「大学卒業と同程度の学力がある」と認めるものである。数学・情報系で学士(理学)を授与された私は、「理学部数学科を卒業したのと同程度の学力がある」と認められたことになる(注4)。ただし、学位授与機構は大学でないので、大学卒の学歴にはならない。それでも、大学院入学、国家公務員や各種国家試験などの受験資格、1種教員免許状の取得等は、大学卒業と同じように扱われる。言わば、学位授与機構で得られた学位(学士)は、大学卒の学歴にはならないが、大学卒と同程度に扱われるということである。高等学校卒業程度認定試験(旧大学入学資格検定)とある意味に似たような制度かも知れない。
現在、学位授与機構で2026年10月期の学位申請の受付が始まっている。最終締め切りは、10月5日(月)である。これにあわせて、余り知られていない学位授与機構での学位(学士)授与に関して書いてみた。多くの人がこの制度を理解して、申請されることを願っている。
(注1)
第一区分・第三区分の受験資格については、私もわからない部分がある。大学に2年以上在学しての中退者(第三区分)・短期大学卒業者・高等専門学校卒業者(第一区分)、また私のように既に大学を卒業している場合(第三区分)は、申請の基礎資格を満たしていることはわかる。しかし、それ以外にはよくわからない部分がある。必ず、『新しい学位への途 学位授与申請案内』(平成8年度版)で確認していただきたい。 なお、認定高等専門学校専攻科(2年)については、高専側が一括申請して学位授与構認が一括認定する。各省庁所管の防衛大学校などの場合とほぼ同じである。これらの大学校は大学でないので学位を授与できないので、学位授与構認が学位を授与する。
余談だが、高等専門学校卒業生に準学士(○○)を与えようとする文科省の方針がある。この方針は、大変よいことである。しかし、高等専門学校は大学でないので、現行法は学校が卒業生に学位を授与できない。となると、学位授与構認が学位を与えることになるが、一万人近くもいる高専卒業生に各省庁所管の大学校の卒業生と同様に、学位授与構認が学位記を作成して渡すことは現実的でない。何らかの法的・実務面での工夫が必要であろう。
(注2)
高等専門学校卒業生が卒業後に、自校の学位授与機構から認定された専攻科に入学して修了して申請するする場合や、通信制を含む大学で単位を修得して申請する場合が大部分だと言える。学士(工学)の取得者が多いのは、2025年10月期だけで認定高等専門学校専攻科修了者(270名以上)や高等専門学校卒業者(500名以上)の学士取得者を含むからである。
(注3)
例えば放送大学の「情報」コースを卒業した人が学位授与機構に学位を申請する場合、学士(理学)は難しいというイメージがあるのか数学・情報系の専攻分野で学士(理学)を申請するのでなく、情報工学の専攻領域で学士(工学)を申請して取得する人が結構いる。その人のブログを読んでいると、その事がよくわかる。
(注4)
私自身は中学校1種・高等学校1種の数学の教育職員免許状取得のために、玉川大学岐阜大学や岐阜聖徳学園大学などで多くの数学関連科目の単位を修得した。教育職員免許状取得後も、岐阜聖徳学園大学や放送大学等で、数学の学習のために受講して単位を修得した。しかし、諸事情によってその単位の多くは教育学部の数学系のものである。理学部数学科の授業と教育学部数学(教育)専攻(専修)の授業と大きく変わることがないと思うが・・・。私自身は、理学部数学科で一般的に開講されている科目の多くの領域に渡って学習したわけでない。また、科目履修生として理学部数学科の授業を聴講したこともないし、単位の取得もない。理学部数学科の授業の雰囲気がわからないわけである。その意味で、「理学部数学科を卒業したのと同程度の学力がある」とは言いがたいのかも知れない。しかし、今までの数学学習の積み重ねとしての成果を、学士(理学)の取得という形に残せた意味は大きいと自負している。また、 放送大学で卒業論文を書かなかった私が本文でA4用紙17枚の数学関連の小論文を学位授与機構に提出して高評価を得たことは、大きな自信につながった。
