Davos会議の報道をいろいろ見ていて、米欧関係にも少し(というかかなりの)変化が訪れているように感じました。
関税やグリーンランドでトランプ批判の急先鋒に立つイギリスやフランスに対してイタリアとドイツはもう少しマイルドな反応だと言われています。メローニ首相はトランプの政策には反対だが、対話路線を崩してはいけないといいます。問題は地政学的重要性を持つわけで、トランプ批判をヨーロッパが強めることはプーチンを喜ばせるだけであるという点はもっともだと思います。
ただ、トランプがウクライナやガザの和平を達成できれば彼にノーベル平和賞を与えても良いという発言にはちょっと・・・そもそもそのようなことをトランプができるのかが疑問ではないでしょうか。トランプを正面から批判することは避けています。日本も何一つ批判めいたことは言っていません。
しかし、トランプがアフガニスタン戦争の時NATOは後方に退いて何もできなかったというとんでもない発言をしたときには、まずイギリスが非常に怒り、イタリアもこの発言には真っ向から反発を示していました。イギリスもイタリアも、NATO五条を発動してアメリカの戦争を支持して兵を送った経緯や、かなりの兵士が亡くなったことなどを指摘しています。
さらに、グリーンランドをめぐってアメリカに反対する国に関税を課すというトランプの政策については、EUは批判を強めています。EU,そしてドイツとフィンランドは自由貿易を支持し、アメリカを回避してインドと貿易協定や安全保障上のパートナーシップを結ぶ動きを見せています。日本もこういう時こそインドとの外交関係を強化すべきではないかと思います。
ヨーロッパ中央銀行総裁のChristine Lagardeは、反トランプを明確にしました。欧州委員会委員長のUrsula von der Leyenも同様です。
特に、Lagardeは、トランプが財務長官のJerome Powellを犯罪捜査の対象にするなどと言った時、各国中央銀行総裁とともにPowell氏支持の声明を出しています。政治が金融政策を左右することは中央銀行の独立性を否定するものであり、そんなことをしようものなら、国際金融システムが崩壊しかねません。Lagardeのトランプに対する怒り、よく理解できます。
ドイツの議員たちが、$100billion以上の金を直ちにアメリカから引き上げろと政府に要求しているとの報道もあります。ドイツ連邦銀行は従来ニューヨークの連邦準備銀行とは強い信頼関係で結ばれていましたが、トランプの最近の政策を見てアメリカはもはや信頼に値するパートナーではないとの見方を強めているようです。
NATO事務総長が、ヨーロッパ各国の国防費が増額されたのはトランプの圧力があってのことで、トランプがいなかったら実現できなかったと述べていました。トランプのおかげで・・と言うのですが、本当にそうなのかな?隣でフィンランドのStubb大統領がニヤニヤしていましたが、Stubb大統領は、フィンランドはこれまでソ連・ロシアの脅威の正面に立ってきた、誰に言われるまでもなく国防に資源を割いてきたわけで、もちろん他のヨーロッパ諸国が国防費増額に踏み切ったことは喜ばしいが、それをトランプのおかげでという気には全くならないと言わんばかりの発言をしていました。さすがStubb大統領です。常に的を射る発言をするStubb大統領、私は密かなファンです。
ともかくいろいろ書き並べてきましたが、国際政治は大きく変わりつつあります。ヨーロッパを視野に入れて日本もこれまで以上に自国の外交・安全保障、そして財政・金融政策を国際的な観点から考える必要があるのではないかと感じています。