参院選が近づいてきました。うちの近所でも大通りの交差点で例のあのオレンジの政党が演説をしていました。

 

トランプ(=the orange guy!)と同じオレンジですよね。言っていることも。排外主義も。

 

こんな政党が日本にあって、しかも躍進しそうだと言うからひっくり返りそうになりました。日本みたいに少子高齢化が急激に進んでいる国では外国人を入れずに経済が成り立たないことくらいわかりそうなものなのに。

 

コンビニ、工事現場、介護や看護の世界でどれだけ外国人の力が日本を支えているか、普通に暮らしていればすぐにわかります。インバウンドで外国人が訪れてお金を落としてくれて日本が好きだと思って帰ってくれることはいいことではないですか?

 

もちろん、外国人による土地買い占めとか、外国人の犯罪とか、外国人観光客がどっと押し寄せたことで観光地が経験している不都合とか、色々あるでしょうが、外国に国を開いて受ける利益と比べてどのように考えるのかを判断しなくてはいけないと思うのです。基本的に外に国を開いて多くのエネルギーを取り入れることが経済の発展につながると私は思っています。

 

なぜ外国人をめぐる問題が生じるのか、その対応策を考えることは重要ですが、排外主義は百害あって一利なしだと思います。

 

それで、あのオレンジの政党を見るたびにムカムカしている最近の私です。自民党は敗北を見越して高市早苗さんなどはこのオレンジ政党と連立を組むことを考えていると言うような記事を見かけました。こう言うところに自民党の限界が現れていると思います。もうダメじゃないですか??

 

こんなことをつらつらと考えているときに、排外主義を批判する古舘伊知郎さんのYouTubeを見ました。古舘さんには特に興味を持っていたわけではないのですが、彼の見解は非常にもっともだと感心してしまいました。古舘さん、正直言ってこれまではペラペラ喋る人というイメージしかなかったのですが、最近ちょっと見方が変わりました。

 

あのように脳をフル回転している人はよく眠れるのだろうかと思っていましたが、やはり睡眠薬にずっと依存してきたそうです。睡眠の専門家の柳沢正史さんとの会談をYouTubeで聞いてなるほどと思いました。私自身、中途覚醒やぐっすり眠れないという問題を抱えているので関心を持ってYouTubeを視聴しました。古舘さんは私と同い年なので、余計に親近感を覚えた次第です。

 

前回のNATO(同盟)の話を受けて、今回は日本について考えてみたいと思います。

 

日本にとって日米同盟関係は自国の安全保障に不可欠の重要な要素です。最初にトランプが当選したときの日本の総理大臣は安倍晋三さんでした。安倍さんは経済もそうですが、外交に深い知識と理念と実行力があった政治家で、真っ先にトランプに会う機会を作ったのは今でも記憶に残っています。一緒にゴルフをしたり、とにかくトランプの信頼を勝ち取ることに全力を上げました。

 

当時、あんなものになんでそこまで媚びるのか、などと思ってしまった私は浅はかでした。トランプのような大統領に対して下手なことを言ったりやったりしたら、どうなるかわかったものではありません。たとえトランプを蔑んでいたとしても(安倍さんがそうだったと言っているわけではありません。私が蔑んでいるだけの話です)、慎重に対応を考えないといけません。日本もNATOと同様、アメリカの軍事力がなければ自国を守り切ることはできず、日米同盟はなくてはならないものなのです。特にアジア太平洋における中国の力の増大を考えればますます重要にこそなれ、関係強化の努力を怠るなんてことは考えられません。

 

いくら、「あんなもの」が大統領であっても、です。

 

そこで重要になるのは安倍さんのようなトランプの上をいく作戦、戦略なのではないでしょうか。

 

それなのに。

 

今の総理大臣は、関税交渉の最中に、Japan should not underestimatedと発言したそうなのです。Japan Todayのサイトで知りました。高圧的なトランプに対して一矢を報いたつもりかもしれませんが、トランプのアメリカをunderesimateしているのはどっちですかね?

 

この総理大臣、外交がわかっているとはとても思えませんし、日米関係の重要性を今の時代にどう捉え、日本が安全保障政策として何を打ち出して実行しなくてはいけないのかも全然理解できていないようです。トランプ政権から防衛費増額を迫られて、自国の防衛費は自分で考えると言い返したらしいですし。この人、防衛大臣もやっているはずなのに、センスがないこと甚だしい。

 

NATO諸国がヨーロッパの軍事情勢や国際政治の現状と自分たちに向けられた脅威を真剣に捉え始め、そのためにアメリカの力が依然として必要であり、その力をヨーロッパ防衛に振り向けるために自分たちが何をすれば良いのか、それを具体的に考え始めたことは前回紹介しました。同様のことを日本もやらなくてはならないのに、本当にやっているのか甚だ心もとないと言うほかありません。

 

日豪の防衛大臣がアメリカ側と会談した際、アメリカの政策担当国防次官が、台湾をめぐって米中が戦争になった時、日豪はどのような役割を果たすのか明確にせよと迫ったらしいことがフィナンシャルタイムズで報ぜられたそうです。(今日のJapan Todayのサイトより)総理大臣はこの問いにどう答えるつもりなのでしょう。

 

もちろん、日米の軍事レベルでの日頃の関係では、こういうことも含めて様々な意思疎通や考えのすり合わせのようなことはしていると思いますが、この総理大臣の言動を見ると非常に不安になってきます。私だけかな?

 

 

 

トランプは権威主義者なのかヒトラーのような独裁者なのかという議論をよく見かけます。いずれにしてもトランプのような政治指導者に対してどのような対抗策を講じて自国の利益を守るかということは、最近ますます重要になってきています。関税をめぐって、EUとメキシコには30%かけるらしいし、日本も交渉中ではあるけれど25%などと言われています。経済でも安全保障でも、一方的な要求を突きつけて脅しをかけるトランプをどう扱ったら良いのか。

 

雑誌New YorkerのJoshua Yaffaは、私が最も関心を持って記事を読んでいるライターの一人です。ロシア、ウクライナについて良い記事を数多く発表しています。6月30日号のNew YorkerにはCollective Punishment: Why is Donald Trump upending America's commitment to NATOという記事を投稿していて、大変面白く読みました。

 

NATOといえば、冷戦期の対ソ同盟として重要な機能を果たしてきたわけですが、最近トランプはアメリカはNATOから脱退するとか、ヨーロッパに駐留している米軍を引き上げるとか、国防費をもっと増やせとか圧力をかけまくっています。それに対するヨーロッパ諸国の対応を追っているのですが、これが抜群に面白いのです。

 

冷戦期はアメリカの軍事力がソ連の脅威からヨーロッパを守ることは自明でしたが、実はアメリカはアイゼンハワーの頃から決して好んでヨーロッパ防衛に携わっていたわけではないというのです。そのような負担を負いたくないし、核の時代にヨーロッパ防衛のためにロシアの核攻撃をアメリカが受けるリスクを負うことなど絶対に嫌だというのは有名な話です。それでもアメリカのNATOへのコミットメントは変わることがありませんでした。ソ連に対抗するための軍事力はなんといってもアメリカが担うしかなかったからです。

 

冷戦終結とともにNATOはなくなるとリアリストの国際政治学者たちが考えたことは記憶に新しいのですが、でも、NATOはなくなるどころかチェコ、ポーランド、ハンガリーなど新たに加盟したい国が出てきてそれを受け入れ拡大していきました。ロシアの脅威を一番受けるバルト三国(リトアニア、ラトビア、エストニア)も加盟を承認され、ジョージアとウクライナはペンディングとなりました。あまりにもロシアを刺激しすぎるという理由です。

 

冷戦終結後もロシアの脅威は残り、大きくなっていくことすら考えられたのですが、ヨーロッパ諸国のNATOの捉え方は冷戦期と全く変わらず、圧倒的なアメリカの軍事力を前提として自国の安全保障を考えるというものでした。

 

アメリカはオバマ政権やバイデン政権でさえ、はっきり口に出さずとも国防費増大などヨーロッパにさらなる努力を求めたかったそうです。ブッシュ、オバマ政権で国防長官を勤めたRobert Gatesは、NATOはソーシャルクラブではなく、厳しい現実世界における義務の世界なのだということ、そして、将来の大統領はアメリカがNATOに投資する価値はないと考えるかもしれないという警告を発していたそうです。

 

ところがロシアがウクライナに侵攻すると、今までのようなアメリカ依存型のNATOではやっていけないということをヨーロッパ諸国も意識するようになりました。特にトランプが2期目の当選を果たすと、バイデン大統領と違って明確なプレッシャーをNATOにかけるようになりました。国防費の増大要求やアメリカのNATOからの脱退の可能性や兵力引き上げなどはその現れです。

 

こうした露骨なプレッシャーに対して、NATO諸国の中にも国防費を増大させる国が出てきました。ドイツの首相Friedrich Merzは、できる限り速やかにヨーロッパを強化してアメリカからの自立性を確保しなくてはいけないと発言しています。何よりも、ロシアのウクライナ侵攻以後、NATOのこれまでの軍事的活動(ロジスティックや情報収集をアメリカに依存しつつ少数の軍を派遣して地域の安定を確保する)が一変し、集団的自衛のための活動に迫られたことがNATO自身の考え方の変化につながったとYaffaは分析しています。

 

アメリカの軍事力は依然として突出したものであり、strategic enabler(戦略的実現要因とでも訳すのでしょうか)である情報収集能力や警戒監視体制、長距離の打撃力、輸送能力特に空輸、空中給油能力などはアメリカなしには手に入りません。ヨーロッパ防衛にはアメリカが絶対に必要なのです。この現実を踏まえ、冷戦期からの惰性(安価なロシアの資源、安価な中国製品、安価なアメリカの軍事力)から脱却しない限り自分たちの防衛はあり得ないことをはっきりと自覚したのがヨーロッパなのです。

 

結局はトランプの突き付けた要求に応じたことになるわけですね。

 

では、このように同盟の根本的な仕組みを捉え直したヨーロッパに対して、日本はどうなのか?その点を次のPart 2で考えてみたいと思います。Yaffaの記事はいつもの通り、読み応えのあるものでした。