Artist:Peter Banks

Title:Two Sides Of Peter Banks

Release:2024年8月2日

Guest:Phil Collins, Steve Hackett, Jan Akkerman, John Wettonほか


ピータ・バンクスのファースト・ソロアルバム『Two Sides Of Peter Banks』(1973)がCDでCleopatraから再発されます。(アナログはリリース済み)

https://cleorecs.com/products/peter-banks-two-sides-of-cd

バンドキャンプはデジタルファイル付き

https://cleopatrarecords.bandcamp.com/album/two-sides-of


ピクチャーディスクです


「(レコードの)A面が聴きどころ」

2010年2月7日 [前回再発時のレヴュー]

By John Kelman(All About Jazz)


ピーター・バンクスは気の毒だった。ギタリストのピーター・バンクスは、大成功を収めようとしていた共同創設者のグループから不本意にも追放され、フラッシュを短期間で脱退した後、無名になった。

後任のスティーヴ・ハウのような瞬発的なカリスマ性や圧倒的な名人芸は持ち合わせていなかったかもしれないが、このソロデビュー作『Two Sides of Peter Banks』が、途中で力尽きたにもかかわらず、十分に証明しているように、彼は素晴らしいギタリストだった。


このアルバムの矛盾は、そのタイトルに至った経緯に由来する。

1973年リリースのオリジナル盤の第1面は、バンクスと当時オランダのフォーカスのギタリストだったヤン・アッカーマンのコラボレーションによるもので、彼はアルバム『Moving Waves』(1971年)とメガヒット曲「Hocus Pocus」で大ヒットを記録し、その斬新さにもかかわらず、アッカーマンのハイオクでフュージョン風の演奏を世界中の聴衆に知らしめた。

一連のつながった曲は、作曲された曲の横長の組曲を作り出しているが、両ギタリストによる逞しいソロの余地は十分に残されている。


幽玄なもの(「Vision of the King」)からジャズ中心のもの(「The White House Vale」)まで、様々なスタイルの曲で幕を開けたバンクスは、アルバム最初のハードエッジなトラック 「Knights 」で、フラッシュ仲間のレイ・ベネット(ベース)とマイク・ハフ(ドラム)を起用した。

ベネットはイエスのクリス・スクワイアをあからさまに引用しているが、これはフラッシュが失敗する運命にあったことを示唆している。

ハフは、ビル・ブルフォードの影響は残っているものの、直接的な言及は少なく、バンクスの作曲とアッカーマンとのインタープレイがこのサイドの真の主役となっている。

フュージョンを取り入れた「Battles」では、より個性的なフィル・コリンズがアルバムの残りのドラムを担当しているが、これはフラッシュがイエスのワナビーであることを改めて浮き彫りにしている。

ベネットとアッカーマンに代わってキング・クリムゾンのベーシスト、ジョン・ウェットンとジェネシスのギタリスト、スティーヴ・ハケットが参加した 「Knights 」の再演は、1曲目のような逞しいギター・ソロはないものの、より説得力のあるものとなっている。


折衷的であったかもしれないが、もしディスクの第2面が第1面ほど良かったら、と振り返って思う。

バンクスがキーボードと追加ギターを重ねる短いアコースティック・ギター・デュオに続き、この面のバランスはスタジオ・ジャムから抜粋されたもので、明らかにアイデア不足でフェードインしては消えていく。

13分の 「Stop That!」は、両ギタリストがジャズ趣味を発揮したモーダルなジャムで、その瞬間もあるが、エンディングの 「Get Out of My Fridge 」は、バンクスとアッカーマンがカントリー調のビートの上でリリックを交換するだけの強引な曲だ。


バンクスが片面だけにしかこだわらなかったのは残念だが、『Two Sides of Peter Banks』は、バラエティに富み、はるかに説得力のある第1面を聴く価値がある。


出典:

https://www.allaboutjazz.com/two-sides-of-peter-banks-peter-banks-esoteric-recordings-review-by-john-kelman



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