◾️ ボーダーレスなヘミングソンの世界と魅力



Artist:Merit Hemmingson🇸🇪

Title:Mother Earth Forever

Year:2024

All Songs written by Merit Hemmingson

Produced by Roine Stolt & Merit Hemmingson

(Roine Stolt - Guitars, Bass, Percussion)


ロイネ・ストルトのTFK以前からの悲願のプロジェクトだと言うので、当然ストルト・フェチとしては気になって聴いてみました。


一言で表現すると「ハートウォーミングな優しいサウンドのシンフォニックな音楽」です。

期待どおりストルトのギターもたくさん聴けました✌️


【収録曲】

(当初発表されたトラッキングタイムが変更になっていました)

1 ’Vigorous Mind’ - 3:11

バグパイプ、パイプオルガン、そしてギターのアンサンブルが印象的なフォーキーでシンフォニックな曲です。

Folky, symphonic piece with bagpipes, pipe organ, and guitar ensemble


2 ’Dreams of the Universe’ - 5:06

メリットさんの天使のようなヴォイスとパイプ&ハモンド・オルガンに、ギターが絡む優しい曲です。

A gentle song with Merit's angelic voice, pipe and Hammond organ with Stolt's guitar.


3 ’The Planets Are Calling Us’ - 3:25

柔らかいエレキギターの音色。そして中間部では少しアップテンポに。目まぐるしい展開がプログレ的です。

Soft electric guitar tones. Then in the middle section, the tempo is a bit up. The dizzying development is ‘Proggy’.


4 ’Power from the North’ - 4:47

ハッセ・ブルニウソンが刻む力強いドラムとパーカッションの小気味よいリズムにオルガンの調べ。中間部からストルトのエレキギターが活躍し、終盤にもギターソロがあります。力強くもエモーショナルな曲です。

The organ is played over the strong drums and percussion rhythm by Hasse Bruniusson. Stolt's electric guitar plays an active part in the middle section, and there is also a guitar solo at the end of the song. This is a powerful and emotional song.


5 ’Oh, So Fragile’ - 4:01

メランコリックなメロディのサックスの調べから、メリットさんの気だるいヴォイス。歌詞はなく、アルバムを一貫して声はあくまでもひとつの楽器のように使われています。終盤部には叙情的なギターも。

Merit's languid voice after the melancholic melody of the saxophone. There are no lyrics, and the voice is used consistently throughout the album as an instrument. There is also lyrical guitar in the final section.


6 ’Shadows in the far Distance’ - 2:33

冒頭からストルトのギターソロが泣いています。終盤はメリットさんの多重ヴォイスのパートへ。

Stolt's guitar solo is weeping from the beginning. The last part of the song is a multiple voice wall by Merit.


7 ’People of the Four Winds’ - 5:35

スキャットで始まり、パイプオルガンと重なる讃美歌のようなゆったりとした曲。終盤に盛り上がり、ギターも登場しますが、最後は静かに終わります。

A slow, hymn-like tune that starts with scat and overlaps with the pipe organ. It picks up towards the end, with the guitar making an appearance, but ends quietly.


8 ’Ocean of Organs' - 4:25

オルガンの重厚な調べにギターが被る冒頭から、優しいオルガンのパッセージへ。サックスも活躍しています。情感溢れるメロディが印象的。終盤に泣きのギターも。

The beginning of the piece, in which the guitar is covered by the heavy organ tone, leads into a gentle organ passage. The saxophone also plays an active role. The melody is full of emotion. There is also a weeping guitar towards the end.


9 ’Resting Arctic Ice’ - 4:17

あくまでもオルガン調べとヴォイスの穏やかなサウンドは一貫しています。サックスのサウンドも印象的です。最後の最後にギターが顔を出します。

The gentle sound of the organ and voice is consistent. The saxophone sound is also impressive. Guitar appears at the very end.


10 ’South Pacific Paradise’ - 4:35

特徴的なカリンバの楽しげな南洋のリズムで始まる曲。アコーディオンの音も聞こえます。途中ギター(アコギ&エレキ)はあくまでも脇役に徹していますが、終盤にギターソロがあります。

The song begins with a joyful South Pacific rhythm on the distinctive kalimba. Accordion sounds can also be heard. The guitars (acoustic & electric) play only a supporting role in the middle of the song, but there is a guitar solo at the end.


11 ’Brighter Future’ - 4:05

軽やかなオルガンにエレキ・ギターが絡みます。途中リズム・チェンジが何度かあります。ノリが良い曲。

A nimble organ is intertwined with electric guitar. There are several rhythm changes during the song. A song with a nice groove.


12 ’Hymn from the Mountains’- 4:12

最後は厳かなパイプオルガンの出だし。中間部からストルトのエレキギター・ソロも堪能できます。アルバムは荘厳なオルガンのサウンドで幕を閉じます。

The last tune of the album starts out with a solemn pipe organ. You can also enjoy Stolt's electric guitar solo from the middle part. The album ends with the majestic sound of the organ.


フォーク、ジャズ、ロックというジャンルにとらわれない、ボーダーレスなヘミングソン・ワールドでした。

自分は大好きなストルトのギター目当てに聴きましたが、メロディアスでシンフォニックなプログレやフォーク・ロック、トラッド・フォークのリスナーにも好意的に受け入れられるでしょう。



スウェーデンでの彼女の知名度は抜群なようです。

国内の媒体では初期カイパのサウンド、特にルンディンのオルガンにヘミングソンの影響を指摘する記事も複数目にしました。


参加アーティストを丁寧に見てみたら、過去関連があるミュージシャンが居るのがわかりました。

ハッセ・ブルニウソン以外にも例えばベーシストのOwe Erikssonはトマス・ボディンのアルバム『An Ordinary Night In My Ordinary Life』(1996)や、ストルトが参加したWennmanの作品などにも登場しています。

またChrister Jansonはストルトが80年代によく仕事をしていたドラマーだと以前語っていました。


今月スウェーデンジャズの生涯功労賞を受賞


本作はどのようにして生まれたのか?


このアルバムの一部は、メリット・ヘミングソンとロイネ・ストルトのチームが1993年に始めた古いレコーディングで、ロイネのカイパ時代のバンドメイトであるインゲマール・ベルグマンがこのプロジェクトを提案し、同じくカイパのメンバーであるトーマス・エリクソンと彼のスタジオも加わった。


2024年、 『マザー・アース・フォーエヴァー』がオリジナル・ミックスから蘇り、最終的にマスターからデジタル・トランスファーされ、いくつかの新しいサウンド・レイヤーが丁寧にスパイスされている。

驚くほど最新のサウンドと新鮮でユニークな『マザー・アース・フォーエヴァー』の録音がついにリリースされる時が来た。


ロイネ・ストルトは語る。

「メリットの最高の瞬間のひとつだ。とても個人的で、とてもユニーク。そのサウンドとアイデアは時代を超越し、境界はない。

フォーク、ワールドミュージック、シンフォニック、ささやき声、方言、そして華やかさ。好きなように呼べばいいが、私はエピック(大作)と呼んでいる。

本作品に参加できたことを誇りに思う」


「私は15歳のときに自作ベースで『Huvva』と『Trollskog』のベースラインを全部覚えて以来、長い間彼女のファンだ。1972年、大聖堂でメリットのライヴを見たとき、サインを貰うために震える手でLPを手渡した」


「私たちはこのアルバムを世界と分かち合いたい。オープンハートとオープンマインドで受け止めていただければ幸いだ。そして本作はあなたの中で成長するだろう」




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