コロナ禍は「天災」か | イエティの常熟日記

イエティの常熟日記

江蘇省常熟市での駐在員生活を徒然なるままにお伝えするブログです。

当社に新規設備が届いて、早3か月半。

それを組み立てる外部企業の作業者は

未だ日本から来られずにいます。


 

コロナ禍なかりせば、4月から設備の組み立て

でしたが、そのままの状態で工場に置いてあり、

高度な設備なので、素人は組立できません。

 

ここにきて、やっと短期(90日)の一次ビザが発給

されるようになり、我々も技術者と組立作業者の

招聘状を申請、ビザはゲットできた状態です。

 

組立作業者の派遣には、中国と日本でそれぞれ

14日間の隔離・待機期間の確保がネックとなって

いました。

 

当初、設備業者側は、隔離や待機がなくなったら

常熟に作業者を派遣します、と言っていました。

何とか常熟に来てくれませんか、と交渉すること

約1か月・・・。

 

その間、隔離・待機の緩和は一向に進展せず、

やがて、隔離・待機込みで派遣しても良いです、

ということになりました。

 

ただしその間の費用負担をお願いしますとの

こと。

 

派遣側の企業にしてみたら、貴重な人材を

約1か月稼働させることができない訳で、その

分の費用は負担してほしい、というのは、まあ

理解はできます。

 

我々にとっては大幅なコストアップですが、しかし

組立を先延ばしして設備が稼働しなければ困り

ます。

 

同じような状況の日系会社はいくつもあるのでは

ないかと思います。

 

いつまでも組立前の設備を棚ざらしにしておく訳

にはいかず、また設備が稼働しないことには

想定した方法での生産ができないので、隔離・

待機期間中のコストを我が社が負担することを

総経理が覚悟を決めて、作業者の中国派遣が

決まりました。

 

派遣費用や経費の支払い方法を両社で詰めて

いくうち、購買責任者の中国人副総経理Xさんが

隔離・待機中の費用を、全て我が社が負担する

のはいかがなものか?と言い出しました。

 

Xさんの考えは「コロナ禍は『天災』であるから、

設備組立の遅れに関しては当社に非はない。

非のない当社が、隔離期間中の費用負担を

全額払うのではなく、設備を納入した会社は、

組立を全うする責任を果たすため、それなりの

費用を負担して中国に来るべきである」という

もの。

 

組立を完了しなければ、設備代金の残金を

当社は払わないので、設備業者も早期に

残金を回収したければ、交渉に応じるのでは

ないか、とのことでした。

 

うーん・・・。正論か?

 

Xさんの意見をそのまま設備会社に伝えて

「じゃ、行きませーん」と言われても困りますし、

費用負担額と、設備が稼働しないことでの機会

損失想定や、設備稼働を前提に準備した各種

材料の在庫の滞留を天秤にかけて、やっぱり

当社全額負担で作業者に来てもらった方が

良いのでは、と説明して何とか納得してもらい

ました。

 

そして、コロナ禍が収まった中国とは違って

日本はまだ感染者も増加しているし、国内での

移動も感染リスクがあるので、出張者にとって

中国出張はハードルが高いことを伝えて終了。

 

一連の話が終わり、私は「コロナ禍は『天災』」と

言い切ったXさんの言葉を聞いて、私は自分の

中にも「コロナ禍は中国発」という、一種のわだ

かまりのようなものがあることを、改めて自覚した

のです。

 

日常生活が戻っている常熟と、一方で感染者が

再び増えている日本・・・。

 

なかなか互いの実情を理解するのは難しいと

思います。

 

出張者がどのような気持ちで中国に来るかは

わかりませんが、少しでもこちらでの不安や

不便を解消しないと、自分の中のわだかまりも

解消しない、そんな気がします。