KAAT神奈川芸術劇場<ホール>で「SHELL」を観てきました。
神奈川芸術劇場は少し行きづらいので足が遠のいているのは確かです。
近年は<スタジオ>の方で上演された作品は観ていますが、<ホール>は久しぶりで、少なくとも長塚さんが芸術監督になってからは観た記憶がありません。
この作品は「リムジン」を観に行った時にもらったチラシに入っていて、作:倉持裕さん、演出:杉原邦生さんという組み合わせに興味を持ちました。
観たことがあるのは岡田義徳さんくらいだと思いますが、若い俳優さんが多く出演していて、瑞々しさや勢いのある作品でした。
開演前から出演者がひとり、またひとりと登場して舞台奥へと向かっていきます。
席は中央列くらいでしたが、舞台の奥行きがあるので、このまま演じられると観づらいなぁ・・・と思っていましたが、開演後は普通に前の方で演じられました。
高校を舞台に特殊な人が存在する世界を描いたファンタジーです。
静水学園高校を希望して着任したはずの松田先生が突然学校に来なくなったことから、未羽(秋田汐梨)と希穂(石井杏奈)を中心に同級生による話し合いが行われています。
咲斗(石川雷蔵)が希穂に告白したり、同級生の間でいくつかのグループが存在してぶつかり合ったり、この時期(アオハル)だからという要素も加味されつつ進んでいくのですが、話の本筋はそこではありません。
ある日、未羽はビルからマネキンが落ちてくる現場に遭遇するのですが、そのマネキンを抱えている中年男の高木(岡田義徳)が希穂に見えるという体験をします。
翌日、希穂にその話をしますが彼女はその場にはおらず、ふたりの話は平行線のまま。
実はひとりが年齢や性別が異なるいくつもの人生を同時に生きており、希穂もそんな特殊な人間で高木や盲目の女性(原扶貴子)でもあるのです(別の人物でありながら、お互いが身に起こったことを共有している)。
このことは、役所の人など一部の人だけが知っていることなのですが、未羽にはそれがわかってしまい、そのことで他者であるはずの人々の融合が始まってしまいます。
そして消滅?(ここは、良く分からなかったけど・・・)。
出演者が教室、ビル、ラジオDJブース、盲目の女性の自宅などのセットを動かして場面を創り上げていきます。
結構大きめのセットなので大変だろうと思いますが、とてもスムーズで、ダンス要素も入っており、若い俳優さんが活き活きしていてとても魅力的でした。
歌手役の香月彩里さんが良いなぁと思って検索したら、「シブヤデマタアイマショウ」にも出演していました。
この作品は豪華メンバが揃っていたのでそちらに目が行ってしまい見落としていたなと・・・これからはしっかりチェックします!
これまで観た倉持作品とは少し異なりましたが、神奈川芸術劇場の今年度のメインテーマである「貌~かたち~」を意識したものなのかもしれません。
ファンタジー作品として観ていましたが、考えてみれば人は誰しも異なる顔(貌)を持っているはずですし、そこはリアルに繋がっていくのだろうと思いました。