安住せよ。時が解決する。 | yotaのブログ

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羽生結弦選手を始め、フィギュアスケート競技のファンです。
選手は全員リスペクト。
イメージ先行のど素人フィギュアスケート観戦術。
フィギュアと関係無いことも。つれづれ日記です。

いつも、いいね!やコメントを、ありがとうございます!
先日の記事にはたくさんの感想をいただき、とても嬉しかったです。
本当に書く力になっております♡

今日は、シーズン大晦日であるにもかかわらず、
スケートの話を小休止するyotaブログ(笑)。

なぜかと言えば…
タイトルにもしている言葉があまりにも素敵だったので、紹介したくなってしまった。
yotaブログなりの大晦日の締めは、きっとこんな形がらしいのだ(笑)。
おそらく、シーズン初めもゆるゆるやっとるな、この分だと。
というわけで、お付き合いいただけると嬉しいです…


NHKスペシャル再放送
足元の小宇宙「絵本作家と見つける生命のドラマ」




85歳の絵本作家・甲斐信枝さんの言葉。
植物と、ごく自然に会話をする甲斐さんの姿が、とても尊く思えた番組でした。
心打たれた言葉が沢山あったので、いくつか書き留めておきたいと思います。

時間をかけてじっくり観察するのが甲斐さんのスタイル。
その詳細な観察眼や科学に基づいて作る作品たちは「科学絵本」と呼ばれている。



誰も見向きもしない雑草の生き方から、命のドラマを見つけ出す甲斐さん。

「いーーーっぱい、おもしろいことある。事件が」

ノゲシのスケッチに、草原に5時間うずくまる。
朝日に光る七色の夜露を見るために、明け方キャベツ畑に寝転がる、なんてお手の物。

「ものすごくきれいですわ。私独り占めではもったいない!」


甲斐さん語録。

「今日はお天気いいから、みんなよく働いてる。このヒト、今大売出しだから、
お日様が、光合成するために。コイツらもいっぱいやってる、やらいでかって感じするでしょ」

(たんぽぽを見て)


「ああいいもの見た。こんなにだって。人間でいえばお産だものね。同士に会った気がする。
同士、がんばっとるかって気がしない?あんたもがんばってるねって思わない?」

(カラスノエンドウの種が弾けているのを見て)




「やってるやってる、わやわやわやわや草が騒いでる感じがする。
私にはぼうぼうじゃなくて、元気よくやってるようにしか見えない」

(夏、草ぼうぼうの空き地を見て)


「申し訳ないですよ。こんな立派なお手本があるのに。
訳のわからない絵を描いてしまって。これであきらめて。
この次はうまく描いてやろうというのがダメなんだ。相手に近づこうとしないと。
こういう連中はどこまで行ってもおいでおいでするから。永久に追いかける」

(子供の頃から大好きな彼岸花のスケッチが上手くいかなかった時)

「あーーー!舞い舞いしてる」
(ノゲシの綿毛が飛ぶ様子を見て)




「足元の雑草を見るときは、相手と目線を揃える。そうするとすごく美しく見えます。」
(雑草の中に寝転がって)


40歳で絵本作家デビュー。順風満帆かに思えたが、隣の家の火事が燃え移り、自宅が全焼。
描きためたスケッチ70冊も一緒に燃えてしまう。
しかし、この時支えてくれたのも、植物だった。


「私、人生観、変わったの。草を観察しているうちに…。
草が教えてくれたのは、安住せよ。
自分たちは生きてきた長い長い歴史の中から安心を知っているんだって。
細かなことでガタガタ思うな、安住せよ。ちゃんと時間が解決する。
…それはもう大変な財産でしたよ」




この後に描いた代表作「雑草のくらしーあき地の5年間」は30年を超えるロングセラー。
その内容から、この可愛らしくも微笑ましく見える、田舎の草花好きのおばあちゃんが、子供の頃から筋金入りの雑草好きというだけでなく、草花と話す術を得た人間なのだと気づかされる。




それは絵本作りというより壮大な実験。舞台は70平方メートルほどの空き地で、植物がどんな営みを繰り広げるか、5年をかけて毎日のように通って観察した。
創造の物語ではなく、観察から生まれ出た絵本。科学絵本と言われる所以だ。
結果は想像をはるかに超えていた。

いろいろな草が混在するかと思いきや、

1年目は、メヒシバが空き地の王者に。

2年目は、種が風に乗ってきて、オオアレチノギクに乗っ取られた。

3年目はカラスノエンドウが蔓を伸ばして入り込んだものの、
クズとヤブガラシが上から覆い尽くして天下を取ってしまう。


いつも同じように見えていた雑草の世界は栄枯盛衰。戦国時代さながらの様相だった!



「もおお〜それは熾烈な戦いを見せてくれました。
…これだって(足元の雑草を指し)何も遊んでるわけじゃありませんからね。
考えてんだよ、きっと。この連中も。
考えてるったって、人間と同じようにじゃないかもしれないけど(笑)」


そして、5年目、ほったらかしてあったあき地を、さら地に戻した後に顔を出したのは…

さあ、誰が来ると思う?(上記の中のどなたかです♪)


京都・嵯峨野の里山に暮らす甲斐さんのくらし。
甲斐さんの見ている世界を再現しようとするNHKの映像も素晴らしく、
タイムラプスを使って、甲斐さんの文に映像と音楽をつけたパートは美しい…。



雑草…植物の歴史は、哺乳類と比べるとはるかに先輩。
何億年の歴史の中で培われた光合成という素晴らしいシステムを使って、ここまで逞しく繁栄している。

光を感じる能力…先に持っていたのは植物たちの方。

悠久の時さえ感じる甲斐さんの生活。違う植物同士の種の大きさの比率さえ正確なその絵は、写実的でありながら、暖かくもあり…そして、植物に対する愛と尊敬の想いを感じました。

「安住せよ。ちゃんと時間が解決する」…とても心に残る、美しくも奥行きのある言葉。

甲斐さんのおおらかさ、明るさ、85歳と思えないエネルギー溢れる人柄が、
番組全体を彩っていて、とても癒される番組でした。







画像はお借りしたもの、画面取り両方です。ありがとうございます。