プリロードとは? 棒なのかサスなのか編 | 黄色のトパーズ

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そのバイク、何cc?
俺も昔はバイクに乗ってたんだよ。
スズキのグースってヤツでさ・・・

ショックユニットを外してプリロードをかけてもサスの全長は変わらない ことが分かりました。
ではバイクに装着した状態でプリロードをかけると何故サスの全長は伸びる=車高が上がるのか?

とりあえずバイクに装着する前に、プリロードがかかった状態のフロントフォークの上に重りを載せて
みます。バネレートを1kgf/mm・プリロードを10mmで固定、調整はしないのでカラーを入れてフロント
フォークは縦に固定します。アウターチューブは固定されているので動くのはインナーチューブ、動く
方向は縦方向。なのでインナーチューブが受ける縦方向の力を見ていきます。インナーチューブは
縦方向で接しているものから力を受けます。

黄色のトパーズ  甘いレモン
(H)は何も載せていない状態。スプリングはフロントフォークを伸ばそうとしています。10mm縮んでいる
ので力の大きさは 1kgf × 10mm = 10kgf 。下方向にフロントフォークは伸びないので上方向、つまり
スプリングからカラー、カラーからインナーチューブへ上向き10kgfの力。引っかかり部でアウター
チューブからインナーチューブへ下向き10kgf。この二つの力がつり合っています。ちなみにフロント
フォークを分解しようとすると、アウターチューブからインナーチューブへ下向きの力はなくなって、
インナーチューブにかかるのは上向きのスプリングの反発力だけとなりインナーチューブは飛び出ます。

(I)は5kgの重りを載せた状態。重りからインナーチューブへ下向き5kgf。スプリングの縮みは10mm、
同様にインナーチューブへ上向き10kgf。アウターチューブからインナーチューブへ下向き5kgf。この
三つの力がつり合っています。

(J)は10kgの重りを載せた状態。重りからインナーチューブへ下向き10kgf。スプリングの縮みは10mm、
同様にインナーチューブへ上向き10kgf。アウターチューブからインナーチューブへ0kgf。この三つの
力がつり合っています。

(K)は20kgの重りを載せた状態。重りからインナーチューブへ下向き20kgf。スプリングは20mm縮んで
スプリングからカラー、カラーからインナーチューブへ上向き20kgf。サスの全長が10mm縮む、この
位置で二つの力がつり合います。インナーチューブはアウターチューブと縦方向で接していないので
力を受けません。


よくプリロードをかけると初期荷重を超えるまでは動かないと言われますが、これが(H)~(J)の状態。
重りが10kgまでは、ただの棒として機能します。10kgを超えるとサスは沈み始めます。

バイクに実際に取り付けた場合はどの状態か? バイクをジャッキアップして降ろせばフロントフォーク
は沈むでしょうし、その状態から人が乗ったら更に沈みます。 沈んでいるという事は(K)、つまり静止
状態であれば必ず(K)になります。インナーチューブとアウターチューブが接していない(K)であれば
スプリングが受ける力は上に載っているもの=バネ上からのみ、となると最初のこの図。 バイクに取り
付けた状態でプリロードをかければサスペンションの全長は伸び車高は上がります。


どの程度の力をかければ(J)の状態を超えて(K)になるのか?自分のグースのバネレート・プリロード
等のデータからは計算上、あらゆる抵抗が無いとして約26kgf。この場合に用いるプリロードは初期
値からのプラマイではなく、純粋なプリロードの値。社外スプリングを買ったりサス屋でOHすれば
データが付いてくる事があります。グースのバネ上重量と前後配分からすると、多少の抵抗が増えた
としても静止状態ではやはりサスは沈んでいる(K)の状態だと言えます。バイクが動いている場合に
ついては別の機会に。


次回はようやくバイクに取り付けて、車高以外に変わるのは何か?を見ていきます。