これは何でしょう?
バイクですね! どう見てもバイクにしか見えません。力学的に大事な部分だけ抜き出しました。バネ
の下にバネ下、バネの上にバネ上。バネ上の重さは必ず一旦はスプリングを介してバネ下に伝えられ
ます。動的な状態であればスプリング+ダンパーを介すのですが、静的な状態であればダンパーに
かかる力はゼロなので全てスプリングにかかります。ダンパーはサスペンションが動いていない時は
仕事をしません。走行中はサスペンションが静的な状態と動的な状態を行き来することになるので、
一旦はスプリングを介すということになります。
プリロードをかけるとは、どういうことか?一つはフロントフォークでプリロード調整機構のあるバイクで
プリロードをかけた場合、一つはプリロード調整機構が無いバイクでカラーを入れた場合を考えます。
プリロード調整機構とプリ調整カラーの重さは同じとしてバネ上に含まれているものとします・・・まあ
両方、バネ上に比べたら無視できるぐらい軽いので重さは無いものとしてもいいのですが。またまた
余計な部分は省いて力学的に大事な部分だけ抜き出します。
こうです。かつて、こんなに単純な図でプリロードで車高が変わることを説明した例があっただろうか?
いや、ない!サスの構造面からだったり、グラフだったり、バイク用語満載だったりの巷のプリロード
説明とは別の切り口でいきます。小学生の理科風に!
話を戻す。(A)プリロードがかかってない状態・(B)プリロード調整機構でプリをかけた状態・(C)カラーを
入れてプリをかけた状態。(A)も(B)も(C)もスプリングの上にはバネ上しか載っておらず、新たな荷重も
発生していません。バネ上の重さはプリをかける前後で変わりませんからスプリングの長さは変わりま
せん。スプリングはバネ上やバネ下にめり込んだりしませんし、バネ下が路面にめり込む事もないです
からバネ上の高さ=車高が上がるしかないです。
またプリロードをかけた前後でバネ自体が変わっていないので、例えば新たに10mm縮めるのに必要な
荷重は10kgで変わりはありません。感覚的に“サスペンション”が硬くなったと感じる事はありそう(後述)
なのですが、力学的に“スプリング”が硬くなることはありません。
プリロード調整機構のネジを回してプリをかける、カラーを入れる、リアサスのロックナットを回す、どの
作業をしてもバネ上が押し上げられて車高が上がる。車高が上がったということは?プリロードをかける
前後でサスペンション以外の箇所が動いたりはしませんから、サスペンションの全長が伸びた。つまり
フロントフォークのインナーチューブやリアサスのインナーロッドが出てきたということになります。それ
以外に車高が上がる原因はありません。バイクに装着されたショックユニットで試してみましょう。但し、
ショックユニットをバイクから外してプリロード調整した場合はサスペンションの全長は変わりません。
インナーチューブやインナーロッドが出てきたということは車高以外にも変化したことがあります。続く。
(次回からは多少はサスっぽい図も入ってしまうけど見れば分かる感じにする予定!)