ようやく、2020年1月8日、うたたねの初の全国流通盤「ぼくらのおんがく」が発売となった。
1年前から準備を進めてきてから迎えたこの日、実際に店舗に挨拶にいってポスターにサイン書いたり、コメントを書いたりした。SNS上で、全国中の店舗さんが展開している様子をアップしてくれた。
個別でインストアライブをしてほしい、とメールをくれた店舗さんもある。
ずっと過去のリリースも応援してくれて今回も個別でやりとりしている店舗さんもある。
自分たちがたくさんの人の協力を得て汗を流して作りあげた作品が全国中に流れていると思うと、胸がいっぱいになった。
全国流通という言葉はずっと対極みたいな存在だった。
したいともあまり思ってこなかった。
活動を始めた2013年から、「アルバムを作ろう」とメンバー間で話し合うまでの約5〜6年間、自分たちは選んでくれた人たちだけに届いてくれたらいいと、ごくローカルに、ごくマイノリティな活動をしてきたし、それで満足もしてきた。
自分たちの手の届く範囲内だけで活動してきて、
いつからだろうか、もっと聴いて欲しいという欲が出てきた。
思えばずっと自分に言い訳をしてきた。
仕事をしながら、オフの時間に音楽をする。
それをみんなで第一に考えてきた。
土日祝しか動けなくても、遠征はできるし、レコーディングもできる。
ツアーみたいに長期で動くことはなかなかできないけど、いくつか定期的にいける場所があるだけで、楽しみに待ってくれる人がいるだけで十分だった。
アンダーグラウンドって言葉が好きだし、尊敬している。
自分たちがいる場所もそう。
だけど、アンダーグラウンドって言葉を隠れ蓑にしている自分にも気付いていた。
全国流通って、勝手にイメージでただ「しゃばいな」とか思ってたし、
いわゆる売れ線みたいな音楽を批判もした。
でもそれは自分を守るための言い訳だった。
理屈ばかり並べて、いかにも現実主義のように振る舞ったりしていたのは、
実のところ自分が傷つかないようにしていただけだ。
全国流通をしたからアンダーグラウンドから抜けたわけでもないし、抜けたいというわけでももちろんない。
ただアンダーグラウンドという言葉を自分で再定義する必要はあるだろう。
それに、今でもメンバーは社員として働いてるからうたたねの活動はこれからも同じように進んでいく。
自分たちが人気になったわけでもないし、お客さんはまだまだ少ない。
でもこうやって、ちょっと頑張ってお金も自分たちで出し合って、時間をかけて、いいものを作ったねって話し合って、その上で発売日、いろんな店舗さんのアップする展開の写真や、「買ったよ!」という報告が、トータルで、こんなに嬉しいなんて思わなかった。なんか大スペクタクル巨編みたいなすごい言い方が、偏差値低いけどしっくりくる。
自分たちの手の届く範囲内での活動の中においても、こと制作においては一切妥協はしてこなかった。常に自分たちのピーク・パフォーマンスを模索してきたし、曲を作るために最大努力をしてきた。
寝れない夜は数しれず、毎晩頭はごちゃごちゃして、部屋は荒れて、気分も腐って、何かにあたり散らしたり、泣いたりした。
今作のリードトラックになっている「ハレルヤ」という曲ができたのは数年前、「ヒューゴとヴァンカ」を制作する時に、学生時代に使っていた合宿所でうたたね合宿をした時のこと。
その時、今ではFacebookで繋がってるけど、佐藤先生率いるクラシック音楽の団体さんも合宿をしていて、佐藤先生がフラフラして休憩している自分たちを誘ってくれてその団体の演奏会に参加させてもらった。
「普段みんな真剣にクラシックばかりしているんだけど、今夜はみんなが好きなことをする会」ということで、数人がグループを組んでスウィングジャズをやってみたりして、みんなで笑いながら飲みながら聴くという会だった。
その出来事がすごく幸せで、その後の休憩時間に思いついてひとりになって照明の落ちた合宿所のロビーで書き上げた。
この曲はその後しばらく封印されて、日の目をみたのはあだち麗三郎さんがプロデューサーとして参加した昨年のスタジオでのことだった。
あの時流れた音の感動は今でも忘れられない。
「この時のために存在したのだ、すべての出来事は」とさえ思った。
大袈裟にいうけど、大袈裟じゃないのよ。
あの時の合宿での出来事や、その他の思い出やら辛かった出来事がフラッシュバックした。
音楽には、影に潜んだ物事さえも照らす力がある。そして、同時に何かを影に潜ませる力がある。
今回の最大の収穫は「とにかくやってみること」だった。
これはあだちさんとやったから得られたことだった。
めっちゃ売れてー!という感覚ではない。
でも、いいものを作ったから、たくさんの人に聴いて欲しい。
だから、そのためにめっちゃ売りたい。
全国の店舗で手塩をかけてポップを作ってくれた店員さんたちがいる。
楽しみに聴くのを待ってくれてる人たちがいる。
そしてたぶん、この音楽をまだ知らないけど、これから出会ってくれる人、大切にしてくれる人、求めてる人がいる。
そう信じてる。
かつてCDショップやレンタルショップで知らない盤に手を出して感動した小野少年のように。
この音楽が出来る限りたくさんの人に届いてくれますように。
今、日本だけでみても大変なことはたくさんあるし、世界でみたらものすごい激動の日々だ。
その上自分の生活のことでも大変なことなんかみんなそれぞれあるわけなんだから。
何について考えを巡らせたらいいのかわからないくらい複雑に世界は絡み合ってる。
自分には、自分にできるごくシンプルなことから始めたい。
小さなことが、その積み重ねでやがて大きなうねりに変わると信じている。
自分だって、中学生の時に音楽に触れて、今こうしているなんてわからなかったくらいなのだから。
4人ではじめたことが、こんなにたくさんの人を巻き込んで、協力も得て、今店舗の人が広めようとしてくれてるみたいに。
だから自分も飛び出す準備を進める。
今夜もまたきっとすぐには眠れない。
みんなで、身の回りをまず愛することから始められるような世界になったらいいな。
ああ、明後日はレコ発か・・・。
すべてがはじまる。
ここからはじまる。
〜〜〜〜うたたね「ぼくらのおんがく」発売記念ライブスタート!〜〜〜〜
1月11日(土)昼@東京三軒茶屋GRAPEFRUITMOON
「ぼくらのおんがく」
出演:うたたね
開場12:15/開演13:00
前売¥2800/当日¥3300
ご予約 https://eplus.jp/sf/detail/3147230001-P0030001P021001?P1=1221
〜〜〜〜店舗別特典一覧〜〜〜〜
👇タワーレコード
限定音源「大停電の夜に〜小淵沢セッション〜」
👇ヴィレッジヴァンガード
アーティストフォトポストカード
👇HMV
ジャケットデザインステッカー
👇more record
限定音源「たましい」
〜〜〜〜うたたね1st Full Album『ぼくらのおんがく』 〜〜〜〜
発売日:2020年1月8日
収録曲:
1. はじまるまえに#1
2. うつくしいもの
3. ハレルヤ
4. 二時の雨
5. ヴァンカ
6. たとえばのはなし
7. うたたね
8. 焼け跡
9. 地球はまわる
10. 栞
11. 桜の咲く頃に
12. ヒューゴ
13. はじまるまえに#2
品番:IMSP-005
価格:¥3,000+税
発売元:OSABORI RECORDS
販売元:PCI MUSIC
バイオリン 柴由佳子(チーナ)
チェロ 佐藤遥香
トランペット 三浦千明
スチールギター 宮下広輔
サックス 村上大輔
〜〜〜〜お問い合わせ〜〜〜〜
うたたね
小野雄大
Mail:bonod.jp@gmail.com