悠釣亭のつぶやき -48ページ目

経済対策__CPIと需給ギャップ

日本経済は今インフレ状態にありますか?それとも
デフレが続いてますか?
これをどう見るかで、経済対策は180度違うものに
ならざるを得ない訳だ。


さて、インフレの定義は、「モノやサービスの価格が
全体的に継続して上昇し、それによってお金の価値が
相対的に下がる状態」ということ。

コロナ期には価格が低迷していて明らかなデフレ状態
だったが、ウクライナ侵攻を契機に、燃料価格や食糧価格、
原材料費などが軒並み上昇した。
企業もそれを理由に製品価格に上乗せを始め、価格が
全体的に上昇し始めている。

だが、これが継続的かと問われれば、そうでもないかも
知れない。
即ち、ウクライナや中東の紛争が収まれば、近々にでも
物価が下落する可能性が高い訳だ。
だから、トラジイも紛争解決に奔走している訳だ。


インフレには大きく二つの形態があって、Cost push 型
インフレ(C型と呼んでおこう)と Demand pull 型インフレ
(D型としておく)。
現在は明らかにC型のインフレであろう。
CPI(消費者物価指数)が3%近辺にあるから物価高
なのは間違いない。

一方、需給バランスを見ると、政府統計ではやっと
この4半期で需要が供給を上回る状態に来たことが
示されている。
その程度は、需給がバランスする状態よりはほんの少し
需要が勝る(+0.3%)程度で、まだデフレから
十分に抜けきっていないと思える。




民間の推計ではもう少しプラスに転じたというものも
あるが、庶民の感覚では、こんなに物価高で需要が拡大
しているとは思えないって感じなんだがねぇ。
コロナ禍以来の緊縮財政と労働人口減で供給が大きく
毀損した結果と言えなくはないんだが

そして、D型ならば、供給が追い付かないから企業は
設備投資し、給与を上げて人材確保に奔走する筈で、
コロナ禍明け以来、人材不足が顕著になり、ここにきて
ようやく設備投資が拡大しはじめたという状況である。





政府の政策はいわゆる「責任ある積極財政」ということで、
まだ抜けきってないデフレ状態を確実に成長に繋げる
ためのD型インフレ喚起政策と言っても差し支えなかろう。

そのための財政出動を可能にするため、最悪のタガである
PB黒字化目標を破棄する方向に動いている。
PB(プライマリーバランス 経常歳出を税収内で賄う)
のでは成長投資が出来ないからね。

その代わりに、PB/GDP比を下げることを目標にする
というから、経済成長こそが指標になる良い環境が出来る
わけだ。

 

 


一方、日銀はと言うと、物価目標(+2%)を越える状態
だから、こりゃ、インフレだ、金利上げなくちゃと躍起。
元々、日銀は金利という政策手段を持ちたいから、
低金利が嫌で仕方なかった所に、物価高だから、これで
念願の金利上げの口実が出来たってことになるな。

しかし、今の時点で金利を上げたらどうなるかを想像して
みるが良い。
やっと設備投資をしようと思った企業に冷や水を浴びせ、
購買意欲が上がってきた庶民の可処分所得を下げてしまう
という最悪の結果になってしまうんだろう。


今やるべきは、アベノミクスで力なく落ちてしまった
第3の矢を元気よく飛ばして、デフレからの完全脱出
あるのみである。
そのために、PB/GDP比を下げぬ程度の積極的な
政府支出は必須であろう(ワシ自身は、良い施策なら、
当面は下げても良いという考えだが)。

もちろん、投資先は厳選し、成長につながるものに
重点配布するのは当然だが。
経済回復とともにC型インフレが収まって来れば、
日本経済は劇的な回復へと転化して行くのは明らかだ。


問題の一つは円安で、輸入物価を押し下げる力を削ぐが、
世界的な燃料と穀物の供給力が回復してくれば、少々の
円安は支障にならないだろう。

むしろ、輸出企業には追い風になるし、高関税で毀損
しそうな輸出競争力を回復させる力になり得るだろう。
ロシア産原油に代わって、少しは高いが米国産の原油が
出回って来れば、燃料価格も収まってくるはずだしな。


ワシが感じるのは、今、日本経済は分水嶺にあると思う。
ここでインフレ抑制策をとれば奈落へ落ちるのは、
これまでの数十年が如実に物語っている。
今こそ、D型インフレを喚起し、需要を拡大し、企業が
利益を回復し、庶民の給料が追随して行くという、良い
循環に転ずる正念場と言えそうだ。
そのためにも庶民の可処分所得を増やす減税、給付、
給与上昇策などを実施すべきだと思うんだがね。