悠釣亭のつぶやき -431ページ目

JAL516便炎上事故

正月気分が吹き飛ぶ衝撃映像がテレビから流れた。
2日午後5時55分頃、東京都大田区の羽田空港C滑走路で、
乗客乗員379人を乗せた日航機(エアバスA350)が着陸後
爆発炎上するシーンはお屠蘇気分を一気に覚ましたな。




直後に、着陸時に地上にいた海保機と衝突したという報道が
あり、更に驚きが追加された。
「何をやってるんだっ!」というのが率直な感想。

次々と入る情報で、日航機側の乗員乗客は全員脱出に成功した
という報に、胸を撫で下ろすとともに、海保側は一人が脱出した
ものの残りの5人は消息不明との報で、暗然となる。


旅客機の設計においては、通称「90秒ルール」というのがあって、
万一このような事故が起こっても、90秒以内に乗客乗員全員が
機外へ脱出できるよう機体を設計しなければならない。
日航機は衝突炎上したものの、滑走路上に静止できたし、客室
部分には大きな損傷は無かったようだから、これが有効に機能
したようだ。

一方、地上にいた側は、部位にもよろうが、大型機に衝突され
れば、恐らく大破は免れないだろう。
能登半島地震の救援物資を積んで離陸待ちだったというが、
気の毒としか言いようがない。

海保によると、今回日航機と衝突したのは羽田航空基地に
所属するMA722固定翼機で、カナダ・ボンバルディア社の
ボンバル300型(全長約27メートル)であるという。
結構大きな飛行機だから、エアバスも大きなダメージを受けた。
衝突直後に燃料タンクが破壊され火災が発生したと思われる。





さてこの事故、原因はすぐに分かるんだろうけど、大きくは3つ。
①日航機が着陸滑走路を間違えた。
②海保機が誤って滑走路に進入した。
③管制ミスで海保機を滑走路に入れたうえ、日航機に着陸許可
  を出した。
どれも起こり得るが、基本的なミスとしか言いようがない。

地上管制レーダーで、海保機が滑走路に進入したことは確認
されたはずだと思うが、適切な処置が取られなかったのも
悔やまれる。


ランウェークリアの確認は機長の責任ではあるが、夜の着陸で、
滑走路端に居る飛行機は進入してくる飛行機からは直前まで
視認できないだろう。
気付いた時には回避は不可能だ。
海保側に至っては、衝突するまで気付かなかったし、衝突後も
何が起こったか理解不能だったろう。


ところで、この事故で、ワシには今までにない違和感を感じる
ことがあった。
エアバス機の燃え方である。
通常の航空機は燃料や内装の火災で機体のアルミ板が溶け、
ポッカリと穴が開いて、そこへ注水することで鎮火出来る。

今回の場合、機体の外板そのものが炎上しているのだ。
そして、機体は骨組みを残したまま燃え尽きている。
鎮火には翌朝まで掛かったようだ。




エアバスA350機は胴体もCFRPで出来ている。
構造は炭素繊維を熱可塑性樹脂で固めたもので、炭素繊維は
このくらいの熱では溶けないし、樹脂は難燃性ではあっても
燃えるから、樹脂だけが燃え、骨組みは残った訳だ。

消火活動も、通常なら消火剤入りの水を大量にぶっ掛けるん
だが、今回はどうもそうではなかったようだ。
燃えている複合材を急激に冷やすと炭素繊維が粉みじんに
なって飛散するから、それを抑制したのか?


炭素繊維の燃え殻はアスベストと同じように、ミクロン単位の
細い針状の繊維になるはずで、安易に壊したり吹き飛ばしたり
すると、別の問題を発生させてしまう。

複合材機体の消化について、特別なマニュアルがあるような
話は聞いたことが無いが、乗員乗客が全員脱出したあの時点で、
大量の水を掛けなかった事には特別な意味があるように
思った。

まだ、複合材構造は高価だから、航空機などにしか適用されて
いないけど、今後は自動車などにも拡大して行くはずだが、
火災に対する処置法を確立しないと、新たな問題が発生する
恐れがありそうだな。


様々な教訓を残す今回の事故だが、原因究明と再発防止、
複合材機体の火災処理など、今後の改善が強く望まれる。
人間の単一ミスが事故に直結しないという仕組みも含めて。