郵便事業会社摘発
イランでの紛争や関税問題の陰に隠れた格好で、国内の
重大な問題がかすれてしまっているが、この影響は甚大に
なりそうだ。
25日、国土交通省は運転手への不適切な点呼の横行が
発覚した日本郵便に対し、貨物自動車運送事業法に基づき、
同社のトラック約2500台の一般貨物自動車運送事業の許可
を取り消す処分を行なった。
併せて、再発防止の徹底を求める「安全確保命令」も出した。
点呼とは、省令によって、運送業の運転手に対し、乗務の
前後に、運転手の健康状態や飲酒の有無を確認するなどの
点呼を義務づけ、安全な運転ができない恐れのある運転手の
乗務を禁止することで運送の安全を確保しようという趣旨の
ものである。
発覚の大本は内部告発だったようで、朝日新聞がこれを取上げ、
国交省が調査していた。
事象は近畿地方に多く、兵庫県のある局では、数年間にわたり
点呼を実施していないことが発覚、かつ、点呼したかのように
虚偽を記録した虚偽記載も判明した。
近畿支社内で同様の事案が約8割の局に及んだという。
全国でも、郵便局の75%で点呼の実施が不適切だったという。
この処分により、集配拠点間の輸送や都市部の大規模局の
荷物収集を担う約2500台のトラックやバンが5年間、使用
できなくなる。
近場の輸送に掛かる軽トラックなどは届け出制のため、処分の
対象外。
このような事案の場合、注意→勧告→再犯→処分というような
流れになるようで、初犯の場合は普通は60日間の車両使用
停止処分が課されるようだが、今回の事案はやり方が悪質と
いうことなんだろうか、一発事業取り消しの処分となったようだ。
日本郵便はこの処分に対する対応として、軽貨物車の活用で
代替するともに、、2500台の輸送量の約58%を子会社の
日本郵便輸送のほか、ヤマト運輸や佐川急便、西濃運輸などに
委託することを調整中という。
他社も人手不足の状態だが、うまく委託できるのかは今後の
調整次第というところだろう。
同社ははがきや手紙などの他、宅配のユーパックや冷凍冷蔵
輸送などの貨物輸送の国内需要の約20%を手掛けている。
そうでなくても、24年問題などで輸送が逼迫している昨今、
3番手の業者であるとしても、貨物輸送に甚大な影響が出る
のは必至である。
この問題、実際問題として、日本郵便が悪いのは自明ではある。
そして、常態的にそういう状況を許した組織的な問題であり、
重い罰も当然ではある。
ワシから見れば、それを長い間放置した国交省とて罪がない
訳じゃないと思うが。
そして、日本の物流に甚大な影響がある貨物輸送の一角を
拙速に、ほとんど潰してしまうようなやり方で、後は知らんで済む
問題なんだろうか、しかも5年の長きにわたって。
温情を求める積りはないが、物流量の確保やトラック運転手の
生活や郵便事業の維持確保や会社の再建と物流への寄与の
再建など、単に処分した会社の責任で何とかしろで済む話なん
ですかと思うんだな。
民営化で3分割された会社の一つを潰す積りなら、そして、
大人しく郵便事業だけやってろってんなら、このやり方は
合理的だろうが、郵便事業は多分に公共的役割を持ってる
訳で、簡単に潰せばよい事業ではないのだ。
一番儲からない分野だけを義務付けて、他は潰すんかという
やり方なんだから。
貨物輸送とて増えるばかりで、低級配達員による不祥事や
置き配などによるサービスの低下が常態となっている昨今、
能力を拡大するならともかく、20%を削ぐことが必然なのかと
大きな疑問が残る。
他も余裕が無いから、簡単にはカバーできようも無かろう。
点呼だけの問題なら、それを改善し、監査頻度を上げ、うまく
改善出来たところから順次復活させるようなやり方もあろう。
いきなり5年間の営業停止って、復活が非常に困難になると
思う。
不要となる資産をそのまま保持する余裕があるとは思えぬ。
トラックを動かすことなく5年間保管は出来ぬだろうし、運転手
たちは散逸するだろうし、荷物の保管施設や冷蔵庫の廃棄、
あるいは譲渡なども必要だろうし、大方のノーハウも消滅する
だろう。
再開が容易じゃないのは明らかだ。
国交省とて、自らの管理不行き届きが招いた事案と自覚すべし。
ならば、再建の道筋やロードマップを指導すべきだし、ただ潰して
終りには出来まいと思うが、何とも理不尽な処分に見えて仕方が
ないんだな。