関税について | 悠釣亭のつぶやき

関税について

トランプ氏が中国に60%の関税をかけるって吠えてますが、
一体、米中貿易をどうしたいんでしょうかねぇ。
もしホントにそれをやるとどうなるのかを考察してみた。


関税は、目的の違いによって「財政関税」と「保護関税」の
2つに分類される。
財政関税は、税収入(国庫収入)を目的とした関税で、一般的に、
奢侈品(ぜいたく品)や国内で生産されないものなど、国内産業の
保護を考慮しなくてよい物品に課されるもの。
対して、自国の産業保護を目的とするのが保護関税。
現代社会では保護関税が大半で、これが今回の焦点。

関税には、国内産業を保護して市場経済の混乱を防止する
役割がある。
海外からの安価な製品について、税金を課さずに輸入して
しまうと、自国の製品が売れなくなり、国内産業が衰退してしまう。
そこで、税金を課すことにより輸入品の値段を上げ、国内製品と
価格の均衡を図ろうとするのが関税の主な目的だ。

もちろん、過度な関税や恣意的な関税は貿易を妨げるから、WTO
の施策はなるべく低い関税を要求するし、様々な貿易協定も
関税の低下が目的となっている。
トランプ氏はそんな事はまったく意に介さないんだが。


関税は、基本的に輸入しようとする者が輸入国に対して支払う
ことになる(輸入関税)。
だから、米国の輸入業者が米国政府に関税を払う事になる。

これは、とりもなおさず、国内消費に対する増税に他ならない。
なぜなら、輸入業者は関税分を上乗せして国内販売する訳で、
値上がりした分はそっくり国庫に収まる訳だから。


そもそも、貿易というものは生産の役割分担によって自然発生的に
起こる活動である。
相手国の製品の方がコスパが良いから売れるんであって、自国で
同じものが安く作れるんなら、そうすればよいだけのお話し。
自国産業保護のための関税が必要なら、抑制的に実行すべし
というのがルール。

特に、米国内の日用雑貨の非常に多くの部分が中国製であること
を鑑みると、高関税=国内物価上昇という図式は免れない。
じゃぁ、国産にするかと言っても、インフラは無いしサプライチェーン
も俄かには整わない。
他国からの代替輸入も供給能力の点から、短期的には不可能だ。
増税分の多くは米国民が支払う事になる。


で、結局は一部製品を除いて、恣意的な関税が適用されるという
事になるし、相手国も報復関税を課すから、泥仕合にならざるを
得ない訳だ。

2019年に起こった関税合戦を思い起こせば分りやすい(下記添付)。
トランプ氏の復帰で、同じ事が再び繰り返される可能性は高いが、
当時と比べて、米国の中国頼りは相当に軽減されてるから、
今度やれば、中国にとっては大きな痛手になるのは確実で、
多くの国内企業が業績悪化になって、中国経済が致命的な
ダメジを被るのは明らかだ。
それがトランプ氏の目的ではあるんだが。

切羽詰まった国は他の経済圏を強化するとともに、何らかの

強硬手段に訴える可能性もゼロではない。
世界的な2極化の進行と、紛争の可能性の拡大が避けられない
状況に至るんだろう。


これらは米国の産業構造の問題なのであるが、その根本的な
問題の解決にはまった手を付けず、安易に実行できる関税の
強化だけをやる事が摩擦を生んでいる事にまったく思いが至って
いない。
これこそが自国ファーストの最大の問題なんだろう。

米国は程々の政策を取らぬ限り、多くの敵を作る結果となるのは
明らか。
それでも強行するのがあの政権で、程々という手加減をやる
組織も意図もないようだ。
かくして、米中貿易戦争の第2幕が始まるんだろう。
行き着く結果はおよそ想像がつくんだけどな。