ウクライナ情勢は?(24)__反撃 | 悠釣亭のつぶやき

ウクライナ情勢は?(24)__反撃

4月末、アメリカのバイデン政権は、ウクライナに対し、
防空システム「パトリオット」ミサイルやATACMSミサイルなど、

支援額としてはこれまでで最大の60億ドル(9,400億円余り)
の追加軍事支援を行うと発表した。

それに先立って実施された欧州の支援(戦車、弾薬、ドローン
など)がウクライナに届き始めている。
枯渇していた武器が少しずつ補給され始めた。

緊急支援予算案を米下院が可決したことを受け、ウクライナの
ゼレンスキー大統領は20日のビデオ声明で「待ちに待った
決定だ」と述べ、予算案の可決に尽力した全ての関係者に
謝意を表明した。


ロシアはクリミアと東部一帯(ヘルソン、ザポリージャ、ドネツク、
ルハンシク)の占領地強化の他に、最近になって新たに北部
ハルキウ州の一部に対し国境を越えて侵入を始めた。
国境付近に緩衝地帯を作るというが、新たな侵略の拡大と
見るのが妥当だろう。

ロシア軍の攻撃は航空優勢の下で戦車を主体とする歩兵部隊
および砲兵部隊による攻撃で地域確保を進めるやり方。
これに対して、ウクライナ軍は劣勢の中、ドローンによる敵武力
を各個撃破するという地道な作戦だった。


しかし、今回の支援に含まれるATACMS地対地ミサイルが
ウクライナ軍に大きな力を与え始めた。
ATACMSは様々なヴァージョンがあるので、どんなものが供与
されているのかは明らかではないが、最近は長射程のものが
含まれるようだ。

ロシア軍機の攻撃に晒されぬ遠方からの攻撃で成果を上げて
いるという事。
ATACMSは多数の子爆弾を放射し、広い範囲にダメージを
与える兵器で、ロシア軍陣地やレーダー施設、航空基地など
の戦力を奪い始めている。
クリミアの航空基地への攻撃はロシア軍戦闘機に大きな
ダメージを与え、前線への航空機進出を躊躇わせている。


欧米各国が供与したF16戦闘機が配備されたはずで、その
運用が間近になっている。
いよいよウクライナの反撃が本格化すると思われる。

ATACMSによる陣地攻撃と軍事施設への攻撃、ドローンによる
戦車部隊や兵員および後方施設への攻撃、パトリオットによる
ロシア戦闘機の迎撃などに加えて、F16による後方陣地や
施設への攻撃が加われば、侵攻戦力が著しく削がれることに
なると思われる。


これらの強力な補強によって、ウクライナは今までのジリ貧状態
から、少なくとも均衡状態に押し戻せる体勢になったと思える。
恐らく、北東部の占領地域への集中反撃で西部への補給を断つ
作戦が間もなく展開されるんだろう。

ロシアの継戦能力はまだまだ健在ではあろうが、消耗が増えれば
必ず綻びが出て来る。
今まさにその門口に立っていると思われる。
欧米のウクライナ支援がどこまで継続されるのかがカギになる
のは何も変わっていないが。