岸田総理の訪米演説 | 悠釣亭のつぶやき

岸田総理の訪米演説

岸田首相は9日から国賓待遇で米国を訪問し、14日に帰国した。
この間、10日にはバイデン大統領と会談、11日には上下両院
合同会議に出席し、英語でスピーチを行った。
その日、日米フィリピン3ヶ国による首脳会談を初めて開いた。
12日には米国のトヨタ自動車やホンダ航空を視察、13日に
帰国の途に就いた。

今回の訪米については評価する意見が多いようだが、ワシは
大きな懸念をもって見るしかなかったな。
日本の総理って、ここまで対米従属で良いのかってのが真先に
感じる違和感なんだが、他にも、そこまで言って良いのかってな
危なさも感じたな。
大局観の欠片も感じない、感情的な尻馬乗りというのが妥当か。


総理の英語は子供のころアメリカで過ごしたというだけあって、
テンポは非常に遅いけど、正確な英語を話しているから、米人
には聞きやすい語り口だったと思う。

問題はその内容。
バイデン氏に招待されたんだから、バイデン氏の政策を奉るのは
良いだろう。
でも、次はトランプ氏かも知れんぞ。
暗に批判するならまだしも、米国はバイデン流じゃなきゃダメと
でも言うような口振りは辞めるべきだったな。

「もしトラ」の懸念は多くが共有してるんだし、共和党員も多い議会
でだったからね。


中国に対しても然り。
自由と民主主義が日米両国の国是なのは当然だろ。
それで良いじゃないか、敢えて米国議会で中国はけしからん
って言ったって、米人は拍手喝采だろうけど、言われる方の
ことも少しは考えたらどうか。
少なくとも、敢えて敵対する必要は皆無だろう。

フィリピンとの会合もあったから、共通の懸念事項ではあろう
けれど、全体主義国家はそれが一番良いと考えている訳で、
日米が民主主義を良いと考えるのと大きな違いはない。
そんな中で、いかに争いを無くすかが問われているんだろ。
この人は米国での受けしか考えてないのかと疑う。

広島出身の氏が「核兵器のない世界」を目指すのは勝手だが、
核禁条約も結ばず、米国の核の傘に守られている現実を
どう理解し評価しているというのか。
北を名指しで批判すれば済むものでもあるまい。
ヒョッとしたら、米国の核は良い核、北や中露の核は悪い核と
思ってないか?


「米国の最も親しい友人、トモダチとして、日本国民は、自由の
存続を確かなものにするために米国と共にあります。」
これって、一緒に戦争しますって事かいな?
ワシは知らんし、その積りも無いけどな。

氏はどうやらその積りのようで、日本での米国の存在に大きな
期待を抱き、日本での作戦を容易にするための統合作戦指揮
の事も視野に入れているようだ。
近い将来、米軍の先兵として戦う覚悟があるという意思表示した
に等しいな。

極めつけは、
「世界中の民主主義国は、総力を挙げて取り組まなければなり
ません。
日本は既に、米国と肩を組んで共に立ち上がっています。
米国は独りではありません。
日本は米国と共にあります。」
全体主義国との戦争において、米国とともに戦うから、皆んなも
集まれって煽ってるって事ですな。


「日本はかつて米国の地域パートナーでしたが、今やグローバルな
パートナーとなったのです。
日米関係がこれほど緊密で、ビジョンとアプローチがこれほど
一致したことはかつてありません。」
って、思い込みが激し過ぎね?

「今日、日米同盟の抑止力は、かつてなく強力であり、それは
米国の日本への拡大抑止によって強化されています。」
ってのも同じで、単に日本国が思い込んでるだけで、米国に
とって好都合だから、反対はしないだけ。

米国は決してそうは思ってないでしょう。
米国の国益にかなうから、日米安保を結んだだけの話、お前が
パートナーと思ってるんなら好都合だから、それでエエけど。
ちょうど門口に日本国があり、中国封じ込めの先兵として、
戦略的に前進基地を置くに適当で、ヒョッとしたら初戦で自衛隊が
使えるかもなってな程度にしか考えてないはず。


「日本は世界最大の対米直接投資国です。
日本企業は約8000億ドルを投資し、米国内で約100万人の
雇用を創出しています。
これらは良質な雇用であり、製造業だけで50万人の雇用を
生んでいます。」

愛いやつだけど、USSは日本製鉄には売らへんで。
ロックフェラーセンターが買われた時の屈辱は忘れへんからな。
トランプ氏になったら、トヨタの米国法人にも強い風が当たる
可能性もあるのにな。


どこまで対米従属を強め、米国のために働こうとしてるんかいな。
米国国会での演説はほとんど公約と言ってよいもので、あとあと
あの約束はどうなったって問われることになろう。

米国人にとって、今回のスピーチは心地よいもので、「おおっ、
そこまで考えてるのかいな。じゃぁ、何でもしてくれるんね。」
ってなもんで、スタンディングオベーションもしたくなろうという
ものだったな。


このスピーチは絶対に米国人が書いたものだな。
米国人の痒いところに手が届いてるし、日本国はこうあるべき
という内容になってる。

何で、自分の原稿を翻訳させなかったのか大いに疑う。
英文原稿を見た時に気持ち悪いって思わんかったんかいな。
それだけで、日本国の宰相として相応しくないとワシは思う。
少なくとも、読解力はかなり低そうだな。


外交的成果を言う人も居るけど、ワシから見れば、今回も
ただ単に靴を舐めに行っただけの事だったな。
どころか、米国とともに戦うという、ほとんどコミットメントに近い
約束をしてきたようなもんでしたな。
畳みかけてきまっせぇ、それが米国人ですがな。