日銀のマイナス金利解消 | 悠釣亭のつぶやき

日銀のマイナス金利解消

18日、日本銀行は、金融政策決定会合の結果、マイナス金利
政策を解除することなどを決め、利上げに踏み切った。
マイナス金利が解除されるのは実に17年ぶりのことになる。

植田総裁は会見で、今回の決定の理由について、日銀が目指す
2%の「物価安定の目標」が持続的・安定的に実現していくことが
見通せる状況になったと判断した、と説明した。


短期金利については、これまでは金融機関が日銀に預ける
お金の一部にマイナス0.1%の政策金利を適用していたが、
これをプラスに変更し、短期金利を0から0.1%程度に誘導する
こととした。

また、長期と短期の金利を低く抑えるイールドカーブ・コントロールを
撤廃した。
金融緩和政策において、「異次元は必要がない」との事であり、
金利のある普通の金融政策への入り口に立ったという事である。


ま、長らく続いたマイナス金利がゼロになって、今後は金利が付く
との期待感はあるんだろう。
しかし、ワシに言わせれば、ほとんど変化は無いし、今後の経済
次第では、再びマイナスにせざるを得ない場面も出てきて、却って
大きな失望感を与えかねないから、「今かい」ってな感じがしない
訳でもない。

ま、伝家の宝刀の鯉口を切ったというよりも、掛けていた封印を
外したって所かな。
一応、いつでも抜ける準備をしておくってところかな。


大幅な金利上昇だと、住宅ローンなどに影響が出ようが、今の
状態で上げれば顰蹙だろう。
でも、金融機関の利が薄かったから、上げる事を考えるローン会社
も出てきそうな雰囲気。
シッカリ監視して欲しいもんだ。

銀行の貸し出しが増える事への期待もあるようだが、低金利でも
借りる所が少なかったのが問題なのであって、これが俄かに改善
する筈もない。
今はまだまだ供給過剰であって、鍵になるのは旺盛な消費なんだ。


日銀が金利をプラスにしようとするのは景気が上向くと読んでいて、
その準備はしておくという事なんだろう。
春闘の第一次集計は、平均賃上げ率が33年ぶりの高水準で、
良いインフレへの道が開けたと考える向きもあろうけれど、問題は
中小企業において、物価上昇以上の賃上げが可能か、に尽きる。
ワシは大変懐疑的である。

日経平均株価が最高値をずっと更新してきて、4万円を超えたって
騒ぐが、円安による特需と、中国逃避マネーによるバブルの様相
でしかないように見えるんだが。
これで儲かるのは株屋だけで、キャピタルゲインが使われない限り
景気は良くならない。

アメリカなどのインフレが鎮静化し、景気はソフトランディングの
方向だが、米国ではまだ金利を下げる機運は高まっていない。
そりゃそうだろうな、いっぱい懸念要素があるもんな。


中国経済が一番の懸念事項だろう。
不動産崩壊の影響はこれから大きく出てくるだろうし、経済への
波及の影響は大きいだろう。
一応5%の成長を謳ってはいるが、なかなか難しかろう。
チャイナリスクは強まるばかりだし。

国内の個人消費が弱いのも問題だなぁ。
2極化が進んで、ちょっとでも高いものは売れないし、原材料価格
上昇はまだ十分に価格反映されてないから、多くの消費者は
今後の値上げに注目している状態だもんな。
ホントに物価上昇以上の賃上げがあるのならまだしも。

政治の状況の不安定さは与党が招いたものだし、今後も、まともな
政策が行われるとも思えない。
ちょっとでも経済が上向けば、即刻の増税もありそうだし。
それでなくても、「経済は上向き始めた」ってはしゃいでるんだしね。

中期的には、アメリカの大統領選挙も大きな懸念材料だな。
虎さんが勝つような事になれば、国家負担がグンとのしかかりそう
だから、また「原資が無い、原資がない」って騒ぎになるのが
目に見えるようだ。


日銀はこの1ヶ月の様子を見て(特に賃上げの状況を見て)、
今後の金融政策を議論することになるんだろう。
次の政策決定会合は4月26日に予定されており、賃上げが
物価上昇に迫るようなら、いよいよ鯉口を切る事になるのかな。

とはいっても、いきなり数%も上げるような景気過熱が起こる
はずは無いから、チマチマと様子見上昇が出来れば御の字って
ところだろうな。
逆の場合の方が事態は深刻ではあるが。