ダウン症→オランダへようこそ  自閉症→〇〇へようこそ | 言語聴覚士(ST)のつぶやき

言語聴覚士(ST)のつぶやき

小児のST(言語聴覚士)をしています。
訓練方法などはあまり書く予定はなく、訓練室での出来事を書いています
※個人情報がわからない様に書いています。

発達のゆっくりなお子さんの言語訓練をやらせてもらっています。



ダウン症児を育てる経験を説明して!と言われて書かれた詩が、有名な「オランダへようこそ」

どんな詩か要約すると、

イギリス(作者の家)からイタリアに旅行に行こうと楽しみに飛行機に搭乗していたら、飛行機が着陸するや機内アナウンスがこう言った。


「オランダ🇳🇱へようこそ」‼️。


いやいや、イタリアに行くはずなんだから別便に乗らないと、、、

しかしながら、飛行機はもう2度と飛ばない事と、イギリスにも戻れない事、オランダで生きていかなければならない事を告げられた。

絶望の中、初めはイタリアのことばかり考えて生活していたのが、ある日、オランダもなかなか悪くない、と意識が変わっていく、という詩です。

とても素晴らしい詩で、旅行に例えると健常児を持った方々にもイメージしやすいです。


一方で、言語訓練に来られている自閉症児を持った親御さん達はこう言ってました。

「うちはオランダではなく、アフリカのサバンナ🦁です。」

「うちはボルネオ島のジャングル🌳」

「うちは砂漠🏜️のど真ん中」

などなど、不思議と国じゃない名前がどんどん出てきました。


その中で、Susan F. Rzucidloさんというアメリカ人(おそらく)の方が自閉症児を育てる経験を「ベイルートへようこそ」という詩に書かれました。

サバンナだったり、ジャングルだったり、初めて国名が出てきたと思ったら、内戦激しいところ。

 ※訂正:ベイルートは都市名でした。レバノンの都市です

やっぱり自閉症児育児は毎日がサバイバルです。

私も自閉症児の親なので、「サバンナやジャングル」で生活していました。

今だに、その頃の記憶がフラッシュバックし、苦しくなり、大泣きする事があります。本当に戦場でした。


「ベイルートへようこそ」

前半部分は拉致される場面で、一般の方が読んだらビックリするでしょうが、自閉症児の親御さんは共感するはずです。

後半は、「戦場で出逢う理解人」の事が書かれています。

オリジナルはとても長いのでかなりカットしました。オリジナルを知りたい方はこちらまでどうぞ。


http://nakarimama.blog.fc2.com/blog-entry-125.html


ベイルートへようこそ(要約)

WELCOME TO BEIRUT  by  Susan F. Rzucidlo

ある日のこと、誰かが後ろから近づいてきて、あなたの頭に黒い袋をかぶせる。
そいつらは、あなたのお腹を蹴飛ばし、あなたの心臓を引き裂こうとする。
あなたはおびえ、暴れたり叫んだりして逃げ出そうとする、
あなたは打ち負かされ車のトランクに詰め込まれる。
ぶつけられ、茫然として、自分がどこに居るのかも分からない。
あなたはベイルートに居る、戦争の真っただ中に放り込まれて。
あなたは言葉も分からず、何が起こっているかも分からない。
「生涯続く診断です」「神経学的な障がいです」といった爆弾が投下される。
今すぐ!抜け出したい。あなたの辞職願を引き受けてくれる人は誰もいない


(中略)


あなたと似た悲しみを知る人はほとんどいないだろう。

それでも喜びにまさる喜びを知るだろう。
公園で、あなたの子どもに対して、そう言われたわけでもないのに親切に接する、汚れた顔の天使にも会うだろう。
少数ではあっても、あなたの子どもに敬意をもって接し、あなたを心配し、愛してくれる看護師や医者もいるだろう。
レストランやショッピングモールで、分かっているよというまなざしに出会うこともあるだろう、
彼らは似た経験をしてきているから理解してくれるだろう
そうした人たちに対して、あなたはずっと感謝し続けるだろう。

間違わないで。 これは戦争だし、おそろしいことだ。
解放されるということはないし、あなたが居なくなったら誰かがあなたの代わりに闘わなくてはならない。
でも、銃弾が飛ばなくなり爆弾が落ちてこなくなる時、戦争の小康状態というのはある。
花々が見えるし、摘むこともできる。生涯にわたる友情も築かれる。
良い時もある。

そして悪い時がどんなに悪いかを知っているから、良い時はずっと良いものに感じられる。

人生は良いものだけど、あなたの人生が再び普通になることはない。

それでも、普通って何が面白い?