何度か一緒にコンベンションの仕事をしたことがある、
ニューヨーク出身、20数年パリ在住後フロリダ在、娘24歳... の50歳後半の人、
裏表のない、素直な感じのいい人なのですが、
休憩時間や暇な時、二人でお喋りをすれば、13歳年上のフランス人のご主人のことを、
愚痴り始めるんです。
フランス人って、ぶつぶつ不平が多いと知られる人らですから、
(うちのフランス人の親戚も友人も、文句が多い、多い。 汗)
彼女もフレンチ化されて愚痴ってるんだろうと、「ふーん。 そうなん。」 と聞いてたんです。
で、仕事の後、車で彼女を迎えに来たご主人に、従業員駐車場まで連れてもらったんですが、
ご主人、楽しい、とってもいい人そうな人なんですよ。
それに、彼女が愚痴ってることは、第三者の私からすれば、深刻なことじゃあないんですが、
彼女本人はかなり辛そうなんです。
バックシートから見る二人のやり取り、お互いへの苛立ちが感じられ、
なんだか、気の毒になってきて...
三十数年後、当時IBMのエンジニアだったご主人、アメリカ出張中に彼女と出会い、恋に落ち、
彼女はフランス語を一切喋れなかったのにも関わらず、
ご主人と一緒に暮らすためにパリに移った、というラブストーリーの過去があるんです。
思うに、夫婦って歯車みたいなところ、ありますよね。
二つの歯車、両方、クォリティーが良くても、
小さな砂粒が挟まったり、些細なことで、いつの間にか上手く回らなくなってしまってる。
一生一緒に過ごしたいとまで、感じあった仲なのに。
夫婦のことって、人にはわからないことが多いですから、
関わらないことにしているんですが...
ランチ休憩の時、私、前後なくぼつっと、
「私ねぇ、日本に帰っても、実家には二泊くらいしかしないのよ。
私が小さな頃から、母親に父親の愚痴を聞かされて育ったから、
せっかくのバケーションなのに、そういう雰囲気を感じたくないのよね。」
それと、仕事中、暇な時、
「モロッコ人って、ちょっと変わった文化の人でしょ?
主人が理解できなく、頭にくること、しょっちゅうなのよ。
でもねぇ、離婚しないんなら、この先出来るだけハッピーで過ごす方がいいじゃない。
見ない方がいいことには目を瞑り、出来るだけ深刻に取らず、流してるわ。
それはきっと、お互い様なんだと思うけどね。 わははは。」
とだけ言ったんです。
そしたら、彼女、少ししてやってきて、
「ヤヤが言ったことを考えたんだけど、
娘にヤヤと同じような思いをさせたくないし、もっと私、努力しないといけないわ。」 と。
歯車に挟まった小さな砂を取り除く手伝い、少しでも出来たのならいいのですが。
先日、うちの蜂のハチミツを買いたいと、彼女から連絡があり、
今週、カフェで待ち合わせをすることになってます。
長年の間にそうなってしまった夫婦のことは、そう簡単に解決するものではないでしょうが、
彼女の愚痴に、同情するばかりの友人達ではなく、
そうじゃない私とお喋りをしたい、と感じてくれてるのかな、なんて思ったりして。
...なんて、出来た人間かのように、人の夫婦のお節介を焼きながら、
主人が買ってきた、塩入キャラメルのアイスクリームをスクープしてて、
「それ、“MY” アイスクリーム?」 と主人が言ったのに、カチンっと来て、
「“YOUR” アイスクリームでしたね! 失礼しました! 」
小皿のアイスクリームを移し返し、冷蔵庫に戻した私です。
それも、次男の前で。
その以来、わが家では “MY (食べ物)”、“YOUR (食べ物)” が、
流行り言葉になってます。 (笑)