息子達を、前夫ように、クリスマスが大好きにしてやりたかったんです。
年に一度やってくる、わくわくでき、顔を輝かせれる時期を作ってやりたかったんです。
私にとって最初のクリスマスが、たった一度だけの、前夫とのクリスマスだったからでしょうか。
その後のクリスマスが、とても悲しいものだったからでしょうか。
それとも、私の中で、幸せなクリスマスが、
私が夢見てきた幸せな家族の象徴となっていたのかも知れません。
でも、容易いことではありませんでした。
私達夫婦には、この国には一人も親戚がいず、
息子達の友達は、お祖母ちゃんちに行ったり、いとこ達が集まりして、わいわい楽しいのに、
わが家は、クリスマスと言っても、いつもと変わらない家族四人だけです。
おまけに、主人はディズニーワールド勤務ですから、
クリスマスからお正月にかけては一年で一番忙しく、クリスマスの日は大抵出勤です。
一人駆け回り、限られた時間内で、特別の時間にするのは大変なことでした。
それに、主人も私もクリスマスを祝う習慣がない国で育っていますから、
何をどうしたらいいのか、わかりませんでした。
クリスマスツリーや飾りを買い集め、星型や雪だるまの形のクッキー・カッターを買い、
ナット・キング・コールのクリスマスソングのCDを買い...
窓枠をライトで飾り、ツリーの下にギフトを並べ、クリスマス・ディナーを用意し、
「くるみ割り人形」 のバレーや 「クリスマス・キャロル」 を観に連れて行き...
見よう見真似で、やってきました。
息子達の心の中に、クリスマスの喜びと興奮を育ててあげたくて、
私は、あの一度だけの、前夫のクリスマスを、ひたすら追ってきたのです。
長男、一か月後に、カリフォルニアに引っ越して行きます。
ここから直行便でも五時間かかる、三時間時差がある、外国のように遠い、大陸の反対側です。
当分の間、クリスマスに帰って来ることはないでしょう。
どんなに辛い時でも、どこをさ迷っていても、一度も手放したことなどなく、
抱っこし、手を握り、あの過去を一緒に乗り越えた息子です。
今年のクリスマス、遠い街で社会人を始める長男に、私がしてやれる最後のクリスマスとなります。
「お母さん、ちゃんとクリスマスをしてあげれましたか?」
「楽しいクリスマスの思い出を作ってあげれましたか?」
「クリスマスを大好きにしてあげれましたか?」
.....
「お母さん、いいお母さんでしたか?」
いろんな気持ちや感情、いろんな思い出や記憶が、ごちゃ混ぜになり、
息子に問いたい質問が、涙と共に、湧き出て止みません。
メリークリスマス in 天国。