日本語では、“植物人間” と言いますが、
脳にダメージが起った状態の人は、植物みたいに動かないわけでははないんです。
前夫も、目を大きく見開き、口を歪めてヨダレを垂らし、
体を硬直し、片足をひきつらせ、手や指を丸め、時に震えながらゆっくりと体を動かせ、
恐ろしい姿で、
ハンサムでスタイルの良い、お洒落な人でしたから、
元気な頃の前夫を知る人達は、ショックで、思わず目を避るほどでした。
前夫には当時14歳になる弟がいて、
前夫に負けないほど、クリスマスが大好な子でした。
クリスマスなのに、お兄ちゃんのそんな姿を目の前にし、悲しい思いをしたくない、と言い、
前夫の交通事故以来、一年半、辛い思いをしてきた精細な年頃のその子の気持ちを考慮し、
クリスマスイブの夜に、数時間だけ、前夫に彼の実家に連れていくことになりました。
頭の支え付きの車椅子を車に乗せ、義父が息子を担ぎ...
(自分が悲しむ姿は自分で見えなかったから、当然、記憶にないですが、
義父達、他の人の悲しむ姿を思い出し、あの悲しい出来事を振り返るのはしんどいです。
あの夜の詳しいことを書くのは、悲しくなるので止めておきます。
せっかくのクリスマスですから。
もし、よろしければ、まだ読んで頂いてない方は、
数年前に勇気を出して全て書き留めた、回顧録 「息子への手紙」 をお読みください。)
前夫の実家で皆と食事をし、アパートに戻って少しすると、ドアベルが鳴り、
外に義父母、義弟妹三人が立っていました。
14歳の義弟、私達が去った時、
乳児の息子と二人だけでプレゼントを開かないといけない私のことが可哀想になり、
まだイブだけど、プレゼント交換をしようと、プレゼントを抱えてやってきたのでした。
クリスマスの朝に、パジャマ姿で、お互いへのプレゼントを、皆が注目する中、一人ずつ、一つずつ、
順番に開いては、お礼のハグ、キスをするのが楽しいものです。
前夫が、相手のことを思って選んだプレゼントを、その人が開き、喜ぶ顔を見るのが、
クリスマスの最高の部分だと、言っていたのを思い出します。
つづく