人種差別を減らす@スーパー | グローバルに波乱万丈




昨日のこと。

腹ぺこの次男に、タイ風カレーのランチを作ってやろうと、料理を始めたのはいいけれど、

ココナッツミルクが切れてることに気づき、

慌てて、うちから二、三分のところにあるスーパーに行きました。


このスーパー、小さいんですが、値段はいいし、野菜は新鮮だし、お気に入りなんです。

それに、働いている人も、買い物客も、親切なんです。


でもそれは、たまたま親切な人が集まっているのではなく、

親切にしてもらうから、自分も人に親切にしたくなり... と親切が伝染し、

皆が親切モードになっているからなんですよ。



例えば、ドイツ系のスーパーなので、ショッピングカートにコインを入れて鍵を外し、

返す時にコインが戻って来るシステムなんですが、





お店の外で、カートを戻しに行く途中の人と、カートを取りに行く途中の人が出くわすと、

「これ、使う?」、「それ、使わしてもらうわ。」 とカートとコインを交換します。

お互い、カート置き場まで行かなくていいからです。


時々、カートを渡す人が、「いいよ、いいよ。」 とコインを受け取らないことがあるんです。

私は、「いえいえ、受け取ってください。 親切な気持ちだけで十分嬉しいですから。 ありがとう。」

とコインを渡します。


たかが25セント (20円くらいかな?) をめぐってのことですが、とても気持ちがいいんですよ。



で、昨日、そのスーパーにココナッツミルクを買いに行ったわけですが、

当然、ココナッツミルクだけでは済まず、

美味しいイタリアンブレッド、次男が好きなピナコラーダ・アイスバー、4ドル引きの挽肉など、

カートにたくさん入れてレジの列に並んでいると、

後ろに、アップルジュースだけ持っている女性に気づき、

「それだけ? 私、たくさんだから。」

と先に行かせてあげました。



アメリカではそれは普通のことなんです。

もしレジの列で、たくさん買い物をしている自分の後ろに、少しだけの買い物の人がいたら、

待たなくてもいいように、自分の前に行くことを勧めます。



すると、私の後ろにいた白人の女性も、

彼女の後ろにいた、ナッツミックスだけを手にした黒人の青年に、

「先に行っていいよ。」 と勧めました。


青年が私の後ろになったわけです。

私の番だったのですが、まだレジの人はカウンターの私の物をスキャンし始めてなかったので、

私も、その青年に 「先に行っていいよ。」 と勧めました。

青年、かなり後ろにいたのに、あっという間に自分の番が来たわけです。


列の後ろの方にいた、本来、彼の後ろだった白人の中年男性も、

冗談っぽく、「よかったなぁ。 君はいい列を選んだよ。」 と言ってました。


その青年、全くの他人の私達の親切に、少し恐縮した様子でしたが、

払い終わって、くるっと振り返り、私達皆にお礼を言って去って行きました。



黒人の人達には、白人から差別されているという被害妄想を持ち、白人に対して敵意を抱き、

それが人種差別の発端となっていることもあるんですが、

きっとこの青年は、この出来事で、そんな妄想は持つことなどないような気がします。

こんなスーパーでのちょっとした親切が人の心を変え、人種差別も減るのかも知れません。



そんなことを考え、にんまりしてたのですが、

料理の途中で、腹ペコ次男が待っていることをふと思い出し、

幸い、もう私の後ろは買い物が数が少ない人ではなかったので、さっさとお金を払い、

駐車場で、カートを取りに行ってる人にカートを渡し、

(コインを受け取ってしまいましたが。)

家路を急いだのでした。