以前、カリフォルニア州には “PROPOSITION 8” という同性結婚を禁止する改正法がありました。
キリスト教の宗教団体が何十億円もお金をかけてその改正法を守ろうとするのに対し、
トム・ハンクス、ブラッド・ピットやスティーブン・スティルバーグなど多数の有名人達が、
改正法廃止の運動をサポートし、寄付をしたというのは有名な話です。
映画、テレビ製作関係のクリエイティブな人達には、ゲイの人達が多いですから、
ゲイの人達と仕事をし、ゲイの人達が自分達とは変わらない普通の人達であることを実感し、
俳優や映画監督の人達も、同性結婚を禁止するなどバカらしいことと、腹立たしく思うのでしょう。
芸能関係者だけではなく、APPLE、GOOGLE、eBAY、FACEBOOK、YAHOO、TWITTER...
カリフォルニアに本社を置く会社も多額のお金を寄付をし、廃止キャンペーンに参加しました。
ゲイの人達を差別し、結婚する権利を取り上げることは間違っていると信じてのことでしょうが、
もうひとつの理由は、才能があるゲイの人達が、結婚できないカリフォルニア州からできる州に移るため退職したり、
就職時点で、結婚できないカリフォルニア州の会社を選ばなかったりし、
“PROPOSITION 8” のせいで、優秀な人材を失ってしまうからなのでそうです。
隣りのワシントン州で、去年の11月の選挙で同性結婚を認める法律が決まった後、
カリフォルニア州のシリコンバレーのライバルになりつつある、
マイクロソフトやアマゾンなど本社があるワシントン州のシアトルに、人材が流れることを恐れ、
カリフォルニアのテクノロジーの会社が一緒になり、“PROPOSITION 8” について考慮してほしいと、
州に申立書を提出したという話を、ニュース雑誌で読みました。
ユタ州のモルモン教徒も参加し、宗教団体も必死で頑張ったのですが、
ハリウッドとシリコンバレーの団結に勝てるわけはなく、
今年の6月から、カリフォルニア州でも同性愛者は結婚できるようになりました。
うちの姪っ子もゲイなのですが、
モロッコからフランスの大学に行き、大学で出会ったフランス人の今の奥さんと、南フランスで暮らしていましたが、
数年前に、ゲイの人達に対するサポートが遅れているフランスから、
もう十年以上前に同性愛の結婚が認められている、ゲイの人達には住み心地のいいカナダへ移民しました。
カナダのケベックへの移住が、比較的簡単なフランス国籍のゲイの人達は、
姪っ子達と同じ理由で、カナダ、特にモントリオールに移る人が多いようです。
すっぴんとは言え、私の顔ってここまで黒くないです。 ないはず。 (TωT)
姪っ子達には、一歳の誕生日を迎えた女の子がいるのですが、
誕生日パーティに集まった友達には、やはりフランス出身のゲイの人が多く、
それも、皆まだ30歳そこそこなのに、分子生物学の博士号を持つ人、中世期を専門とする哲学の博士、
弁護士、教授と、才能のある頭のいい人達ばかりです。
そういうのもあって、モントリオールは才能があるクリエイティブな若者が多く、企業が集まるようで、
大人気のビデオゲーム “アサシン・クリード” シリーズも、モントリオールで開発されてます。
フランス、反対者を押し切り、無理やり同性結婚を合法化したようですが、
一般市民はまだまだ閉鎖的な考えで、カナダに優秀な人達と取られてしまっているようです。
私の住むフロリダ州は保守的で、宗教熱心な年寄りが多いので、同性結婚はまだ禁止です。
この街を東海岸のビデオゲーム業界のメッカにしようという、市の計画があるのですが、
同性結婚を認め、ゲイの人達が住みやすい街にしないと、優秀な人材も集まらないんじゃあないかと思うのです。
面白いなと思ったのは、保守的な日本社会では、まだまだゲイの人に対する認識が低いのに、
カリフォルニア在の日系人は、“PROPOSITION 8” を反対する人が多かったんだそうです。
アメリカで多かれ少なかれ、自分達自身が差別を受けている日系人は、
ゲイの人達に対してを含めて、差別への批判的な考えが強いのかも知れません。
悲しみを知るほど人に優しくなれる、ですね。