主人と私、今まで 『アメリカン・アイドル』 や 『アメリカズ・ゴット・タレント』 みたいな番組を、鼻で笑ってたのですが、
『ザ・ボイス』 にはまっています。
言い訳としては、この番組は挑戦者はかなり上手な歌手だし、審査員が絶対に貶すことがないので気持ちがいいんです。
「ニコラスの歌い声ってユニークだし、見た目もユニークだし、スター性があるから彼が最後まで残ると思うなぁ。」
「でも、トラバスの声もすごいわよ。 スローな曲を歌い上げれば、彼が残るかもよ。」
専門家みたいなことを言っては、二人で盛り上がっています。
でも、複雑な気持ちでもあります。
挑戦者の背景がビデオで紹介されるのですが、その辺の歌手よりよっぽど上手なのに、
時給の低い、庭掃除の仕事をして二人の子供を育ててる30代の男の人、
14歳でソニー・レコードと契約の話があったにも関わらず、今ではスパの受付をしてる女の子、
バーやクルーズで歌を歌って生活をつないてきた50代の女性...
人気歌手になることを夢見て、その夢を捨てきれずここまできた人達、選ばれず、消えていきました。
主人の友達の息子さんと重なってしまうのです。
その子とうちの長男は、同級生の22歳です。
小さな頃からその子は作曲、歌うこと、うちの息子は絵を描くことが人より長けていました。
うち夫婦も友達夫婦も、それぞれの息子の才能を信じ、夢を叶えてやるためサポートしてきました。
その子はパフォーマンス・アートのプログラムがある高校、うちの息子はグラフィック・アートのある高校、
友達夫婦も私達も、遠い学校への送り迎えを何年もしました。
高校卒業後、その子は音楽関係のプライベート専門学校、息子は総合大学の3Dアニメーション科へ。
その専門学校の授業料は、総合大学の四倍以上する高い学校です。
決してお金持ちとは言えない友達夫婦には、きつかったと思います。
そんな高い学校に行った甲斐があり、卒業後、すぐにレコード会社から契約が入り、
レコーディングをし、ミュージックビデオもYOUTUBEに載っています。
でも、その経費全額、レコード会社が出したのか、親が出したのか、不明です。
契約から三年以上経ちますが、今はクラブハウスとかで時々ライブをしてるくらいのようです。
専門学校で音楽の勉強しかしてないので、就職は難しいと思います。
切り替えるなら、早めにカレッジに行って学歴をつけた方がいいのでしょうが、
もちろん、その子本人も、親も、まだ諦めることはできないのでしょう。
いつまで、ヒットを待つのでしょうか? 後5年? 10年? 20年?
英語的な表現ですが、才能を持って生まれるということが、CURSE(呪い)になることがあると思います。
もし、その子に才能がなかったら、普通に高校に行き、大学で何かを勉強し、今では就職していたかも知れません。
もちろん、それが幸せなことがどうかわからないし、夢を追い続けるのも充実した人生と言えるのでしょうけど。
消えていった 『ザ・ボイス』 の挑戦者達と重なり、なんだか切ないのです。
主人、その友達と顔を合わせても、お互いの息子の話は出さないようにしているようです。
うちの息子は、その後、ゲームデザインの大学院のアート科に進み、
ビデオゲームのコンセプト・アーチストになる夢を抱いているのですが、
昨日、帰ってきて、
「教授達、僕が来年三月、サンフランシスコでのビデオゲーム会社のコンベンションに参加すると話したら、
その場でゲーム会社に引き抜かれ、僕が学校を辞めることが心配だって言ってたよ。
僕ならブリザード社 (『ワールド オブ ウォークラフト』、『ディアブロ』) からも、話が来るかも知れないって...」
私は嬉しくて嬉しくて、すぐに主人に電話して伝えました。
まだ、わかりませんが、息子の夢はなんとか叶うのかも知れません。
(やっぱり息子の自慢になってしまいました。 ごめんなさい。)
息子は、今の世の中で必要とされているデジタル・アートを選んだので、なんとかなりそうですが、
でも、もし、油絵とかの画家になるのが夢だったとしたら、友達夫婦のようにとことんサポートしたか、自信はありません。
でも、やっぱり... 不安を隠しながらもサポートしたのかも知れません。
親ですから、子供の夢にため、CURSEだなんて思わず精一杯サポートし続けるのでしょう。
主人の友達の息子さん、両親のためにも、早くヒットが出ますように...