昨日の名人戦第四局は初手2六歩で始まりました。
「棋は対話なり」と言いいます。初手▲2六歩は二手目が△8四歩なら相掛かり、△3四歩なら▲7六歩と指して横歩取りとなります。
今回の名人戦はどちらでもなく矢倉になりました。おそらく森内名人は相掛かりか相掛かり以外の場合は矢倉にすることを決めていたのでしょう。
二手目△3四歩に対して、森内名人は▲2五歩として、△3三角を強要しました。この時点で横歩取りにはなりません。力戦形に進むかと思いきや森内名人は角道を止めました。
その後、森内名人は早矢倉へ玉を動かし始めます。藤井矢倉にするのかと思いましたが、▲8八玉へと進みました。金矢倉を組み立てるつもりなのでしょう。ここまでは森内名人の作戦通りに進んだと思います。
森内名人の研究に嵌ることを恐れたのか、羽生三冠は32手目で早々に△7五歩を突きました。飛車の援護もないのでおそらく軽くジョブを突いたつもりなのでしょう。7筋の歩を交換した後、森内名人は3筋の歩の交換を試みます。その後、羽生三冠が2時間半の長考を経て1日目が終わりました。
まだ序盤なので、明らかにどちらかが悪いとは言えませんが、35手目▲3五歩の後の長考は気になります。羽生三冠が三筋の歩の交換に応じれば脇システムへと進みます。
脇システムは先手有利で結論が出ていた戦型です。しかし、電王戦第5局の三浦vsGPS戦で新しい定跡の可能性が探られています。名人戦が脇システムへ進み新しい試みが早速なされるのであれば、電王戦をキッカケに将棋に興味を持ち始めた新しいファンにとっても面白い棋戦になりそうです。
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