エプロンが嫌いだった正月 | 牧村しのぶのブログ

牧村しのぶのブログ

漫画家牧村しのぶのブログです。
新刊、配信情報、創作関連の記事を投稿しています。
Xもご覧ください。https://twitter.com/buncho108

昭和生まれで白い割烹着を着たことがあります。

給食当番の時は必須でしたし、家庭でも子供用割烹着やエプロンを作る母親がいました。子供の頃はそれが嫌でした。

なぜならエプロンをつけるとその間料理人、給仕、掃除人となり、自由に動けなかったからです。年末年始は仕事です。

少女漫画にも正月は女性陣だけが台所にいて座って食べることもできない描写がありました。葬式も家庭で行ったので同様です。

 

しだいに役割分担も緩やかになりましたが、エプロン嫌いは治りませんでした。1人暮らしで必要があってエプロンを買ったものの、つけずに洗い物をして服を濡らすことはざらでした。もう誰にも何も押しつけられることはなく、ただ汚さないためにつけるだけなのに、もはや病的でした。

 

最近になってようやく抵抗が薄くなりました。気に入って買った服を汚してダメにするのが嫌だからです。エプロンはありがたいものです。長年嫌って申し訳ありませんでした。

エプロンが嫌なのではなく、役割の固定が嫌だったのです。

エプロンはいわばその象徴でした。

 

エプロン、割烹着だけでなく、それを着ることで束縛を受ける服はあります。囚人服は最たるものです。制服もそうです。

特定のグループの着る改造服も、所属を露わにして束縛します。

 

私は昔から絵に描く服装は自由で良いと考えていました。

服を脱いでいればわいせつということはありません。服を着せることによる束縛もあります。大切なのは人間の意思です。漫画の場合は何を考えてその服を着ているか心理ごと描きます。1人の人物が変化することもありますから、自由に描けることは不可欠です。そこに服の露出度を制限するような規制があっては、人物の心の動きを表現することができなくなります。

絵はただのおもちゃではなく、思想、感情の表現です。

私は今も変わらず表現の自由を尊重しています。

 

昨年の5月から生成AIを問題にしているのは、考えて描いた絵や写真が無許諾でデータセットに入れられ、意思を踏みにじる使い方をされるからです。写真を無断でディープフェイクヌードに変えることは昔から行われてはいましたが、生成AIで簡単に裸体化できるようになったため、刑事罰のない13歳未満の犯行が増えています。子供でもできるために学校で同級生を弄んでいます

イラストも裸体化されています。望まない体形や服装に変形されることもあります。それに対して現在の時点では規制がなく使用拒否もできません。ですからデータセットを作成する段階からの規制(オプトイン)を求めています。

 

AI術師アンケートも参照しましたが、男女比では男性が78.2%と多く、年代は30代・40代合わせて69.5%、Stable Diffusion利用者が75.8%、ジャンルは女の子メインが62.4%、うちセンシティブ(18禁)も描く人が38.1%と最多です。

現実によく目にする投稿と印象が一致します。絵を描く人間には

そこに素材として使われることを拒否する権利がありません。

 

私にはエプロンも囚人服もディープフェイクヌードも剥ぎコラもR18も同じです。表現は自由ですが、押しつけは拒否します。

他人の意思を蹂躙する行為を認めることはできません。

役割分担の強制も表現規制も絵の無断学習も同じ理由で反対しています。

 

ちなみにAIを使った掃除ロボットや配膳ロボットは支持します。

反AIではありません。人を助けるAIは支持します。