国会図書館を使えば世界最強の漫画生成AIができる | 牧村しのぶのブログ

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生成AIは人間の作ったコンテンツを世界中から集めて巨大なデータセットを作り、それを使ってユーザーの望む形に作り変える技術です。人間の創作物がなければ成り立ちません。自動車を作る時に馬車は使いませんし、印刷する時に絵を潰してインクにするわけではありません。しかし生成AIは人間の創作物を直接使用しています。開発した海外企業は無断で、海賊版まで集めて使っているために訴訟を起こされています。中には児童ポルノや無修正ポルノ、盗撮画像や医療写真まで入っており、だからプロンプトを書けばポルノが作れてしまいます。誰かの肖像写真やイラストも元のデータが分かる形で出してしまうことがあります。

 

特定の人物やイラストを安定して出せるモデルもあります。

 

国会図書館には日本中の出版物が集められており、1948年以降に国内で刊行された漫画(雑誌を含む)も網羅的に収集、収蔵され、戦前の漫画もあります。デジタル化も進んでいます。

 

少年漫画や少女漫画ばかりでなく青年誌もレディコミも学習漫画もあります。それが全て生成AIのデータセットに使われれば世界最強の漫画生成AIができるでしょう。

もう漫画家はいらない、プロットもコマ割りもネームも作画も仕上げもAIを使えばコスト削減できる、人間には1枚300円で修正させるだけで良い、何もプロの漫画家を使う必要はない、という未来も想像できます。何もしなくても守ってもらえることはありません。予測してアーカイブの利用に関するパブリックコメントを送りました。参考になる本や記事を読むにも時間がかかり苦心しました。しかし発言する機会が今後あるかどうかわかりません。もしあればもっと大勢の方々に自分のこととして考え、自分の意見を発信してほしいと願っています。

国会図書館のデジタルアーカイブはこちらで検索できます。タイトル、著者名や雑誌名で検索してみてください。既にデジタル化されている作品が出ます。

漫画を生成するために漫画だけが使われているわけではありません。写真も絵画もイラストも、一般の人々の肖像も学習に使われています。すでに実用化されている漫画生成AIは人物の肖像写真やイラストを漫画のキャラクター生成に使っています。漫画家がそれを使う場合も、学習元の著作権や肖像権、パブリシティ権を無視して良いわけがありません。

 

生成AIの成り立ちと問題について、今さら聞けない、という人にお薦めの動画があります。

1時間弱ありますが冒頭の15分でなぜ問題なのかの基本はわかります。15分だけでも…。きっと続きが見たくなります。

 

これを5分にまとめた短縮版です。

作者は生成AIの開発、利用に反対しているわけではありません。盗用、悪用、それに対する規制ができていないことを問題にしています。私自身もクリーンなら補助ツールとして使える可能性はあると思っています。

 

こちらは問題点をまとめた漫画です。

イラストレーターよー清水さんのnoteです。