全ての絵はパクリではない | 牧村しのぶのブログ

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全ての絵はパクリだという人がいますが、幼い子供がふすまや壁や道路に描く落描きはパクリではありません。

パクリはウケたくてやるのですよね?

しかし子供は最初からウケを狙って描くわけではありません。

 

初めてクレヨンを持たされた時、誰かの絵を真似たか、ウケようと流行りを狙ったか、思い出してください。

ふすまや壁に落描きして親に引っぱたかれた皆さん、描いて何か良いことがありましたか?(笑)

叱られるとわかっていても、ただ描くことが面白いだけです。

 

そして写生です。家族や庭の草花を描く時、何かをパクって描くわけではありません。ただ描きたかっただけです。

飼っていた文鳥の絵も描きました。文鳥を描いた絵は見たこともありませんでしたが、ただ似せて描きたかったのです。

身近に見える何もかも、ただ描きたくて、そんなものの名画など見たこともなくても描いて形を憶えていきました。

私は子供の頃狭いアパート住まいで、銭湯に連れて行ってもらっていました。そこで大人の体を観察し、家に帰ると藁半紙や広告の裏に鉛筆でスケッチしていました。

ただ描きたかったからです。

その頃はまだダ・ヴィンチもミケランジェロも見たことがありません。巧いも下手もなく、ただただ描きたかったのです。

 

全ての絵は何かのパクリ、というのは生成AIを擁護する人のテンプレートです。人間もコンピュータも同じだと強弁しています。

 

しかしそれでは描きたいという絵心を説明できません

 

確かに学校で評価を得るため、或いは教育されて型を意識するようになります。しかし同時に反発を感じることもありました。

先生の褒める絵のどこが良いのかわからないこともありました。

長じて絵が仕事になってからも、こんな風に描いてほしいと指示される人気のある絵が好きでなく、苦しむこともあります。少しでも自分の好きな自分だけの絵を描きたい、その思いが心の奥にあります。少なくとも今の機械にはそれがありません。

 

他人の絵の影響は勿論受けますが、なぞることはありません。

なぜならどんなに下手くそでも、自分の絵が好きだからです。

人気作家の絵をそっくりになぞって描いて、仮に少し受けたとしても、面白くも何ともありません。人気作家でも、自分ほど好きではないからです。

今人気は萌えですが、昭和生まれでして、萌えが好きではありません。描けといわれても気持ちが入りません。

何とかして自分の好きな絵を描きたい、特徴を出したいと苦心しています。

 

人気作家の絵を混ぜるような真似は、恥ずかしくはあれ、誇らしくありません。第一、好きでもないのに嫌です。

 

パクリを恥じない人は全く自信がないのだろうと思います。

だから萌えに頼りたいのかもしれません。本当に好きかどうかは知りません。

 

それでも、人の絵をパクるだけならまだしも、体型を誇張したり薄着や裸にする人には、やめてくれ、としかいえません。

嫌がらせでやられた日にはたまりません。

個人的に絵を勝手に使われたくない最大の理由です。

ですから保護ツールを使います。

新しい武器が間もなく配布されます。