「ストレンジャー・シングス」元ネタ傑作が絶版 | 牧村しのぶのブログ

牧村しのぶのブログ

漫画家牧村しのぶのブログです。
新刊、配信情報、創作関連の記事を投稿しています。
Xもご覧ください。https://twitter.com/buncho108

今配信で大ヒットしているドラマ「ストレンジャー・シングス」を見始め、シーズン1ではまってしまいました。80年代の米国を舞台に、80年代のSF、ファンタジー、ホラーを参照して練り上げたストーリーは、80年代に青春を過ごした昭和生まれにとっては懐かしく、怖いながらも童心に返って楽しめます。大友克洋の「童夢」や「AKIRA」の影響も見えます。

 

殊にスティーブン・キングの影響は多大です。製作者はキングの「IT」の映像化を企画したこともあり、それが本作の製作に繋がったと語っています。

4人の少年が線路を歩く場面で名作「スタンド・バイ・ミー」を想起する人も多いでしょう。

 

CIAが極秘に行った人体実験MKウルトラは陰謀論扱いされたこともありますが、現実にあったことで、亡くなった犠牲者もおりいまだに全容が明らかにされていません。キングの「ファイアスターター」は、人体実験の犠牲者の子供が超能力を持って生まれ隠蔽をはかる権力と闘う骨太な傑作です。

「ストレンジャー・シングス」にもMKウルトラの犠牲者の子供と思われる超能力を持った少女が登場します。まだ視聴途中で、最終シーズン製作中ですが、「ファイアスターター」を意識していることは間違いありません。

 

宮部みゆきの人気作「クロスファイア」もキングへのオマージュとして知られています。内外で傑作を生み出したキングの小説をぜひ読んでいただきたいと思うのですが、残念ながら絶版です。人気作家の代表作の多くがすでに手に入らない現実が残念です。

私にできることはご紹介することくらいですが、中古でも図書館でも探して手に取っていただきたいと思います。

 

影響を受けた、パクリと言われようと、新しい作品が過去の名作を思い出させ、再評価に繋げてくれることは大歓迎です。