これは以前Twitterに投稿した話とかぶりますが、ブログの方がまとめて読みやすいのであらためて書き留めておきます。
ある漫画を著作権侵害で訴えるので協力してほしいというメールをいただいたことがありました。数十人賛同人を集めて準備中だということでした。しかしメールをくれた人も賛同人もその漫画を読んでいない、というのに驚きました。ただ信頼している友人が著作権侵害だから訴えろというので決めたそうです。
その前に事実確認をすべきだと思いましたが、漫画に興味のない人々なので、読むのも嫌だったのでしょう。
私はその漫画を読んでいたため気になって何が問題にされているのかメールを元に自分で調べて確認しました。
その結果、著作権侵害にならないことがわかりました。
漫画が盗用しているという小説は既に著作権保護期間を過ぎています。
さらに漫画の巻末に参考文献一覧が上げてあり、その中に問題の小説も入っています。参照したことを隠さずに明記しています。
著作者の人格的利益を尊重しています。
漫画には生まれる前の時代を描いている部分があり、小説も含む資料を参照しています。必要な時代考証であり、倫理的な問題もないと思いました。
著作権は文章表現や写真、絵などの「表現」に認められるものです。絵や写真をそのまま載せたり、独創的な文章を書き写したりすれば問題になります。しかし気候、住宅事情、食糧事情、方言などは事実であり、事実には著作権はありません。
資料から事実を拾って使っても著作権侵害にはなりません。
法的に問題なく、倫理的な問題もないので、私は著作権侵害ではありませんと返信しました。
それに対する返信は「漫画家が!!」でした(汗)。
私の指摘を認めず、漫画家だから漫画家を擁護したと受け取られました。
しかしそもそも著作権保護期間を過ぎているのですから、誰が見ても問題外です。
そんな基本的なことすら確認せず、恐らく著作権法も知らずに、思い込みだけで訴訟の準備を始める人がいることを知り、勉強になりました。
もっと言えば、漫画家などバカにしている人です。言葉の端々に差別意識がにじんでいます。
いかに高邁な言葉を口にしていようと、二度と関わりたくないと思いました。
後日その訴訟は沙汰止みになりました。
別の人からも問題にならないと言われたのでしょう。
訴える、という人々は必ずしも漫画や小説の読者でなく、関心もないということです。ネットで「訴える」という文字列を見ても直ちに反応しない方が賢明です。
にわかに数を集めて示威行動をしているだけで、中身はないかもしれません。