新人時代にお手伝いした先生方の中で、誰も何も言えない最強の先生のことを思い出します。
若いうちに売れて高収入の男性と恋愛結婚、子供を二人産み育て仕事も続け、半分ご自身の出資で家二軒と別荘を買い子供を成人させています。その間介護が必要になった認知症の義母も兄嫁と分担して介護しました。
新人時代編集者の紹介でアシスタントに行き、その後も忙しい時に声をかけられて長年お手伝いしていましたが、いつでも家の中は綺麗に片付いています。ご自分で注文して建てた家で、家具が作りつけになっており、家財道具は綺麗に収納されて掃除をしやすいこともあり、家事は全て先生がなさっていました。勿論料理もです。その上着ているものもセンスが良く、スッキリしていました。
子育ての愚痴を吐くこともなく、元気溌剌に見えました。
世の中にはそういう人もいます。
一体どれだけ体力があるのでしょう?
それでいて少しも偉そうな気取った感じのしない人でした。
話の面白い親しみやすいおばちゃん、という印象です。
アシスタントに来る人は独身もいれば、仕事に挫折して結婚し、自己嫌悪に陥っている人も、地方出身で田舎の話をする人もいましたが、先生は誰の話も面白がって聞き、意地悪いことは言わず説教もしませんでした。
ネットには、独身をバカにする、子供のいない人をバカにする、専業主婦をバカにする、家事育児の愚痴をバカにする、収入の少ない人をバカにする、マウンティング好きな人がいますが、先生にはかないません。全部クリアしていますから。
その先生が子供を育て上げてから「生まれ変わったら二度と結婚しない」と言い切りました。好きになってしまったから結婚したけれど、結婚がどういうものかわかっていたら、一人で思い切り好きなことをしたかった、とおっしゃいました。
それは本心だと思います。本心でなかったとは思いません。が、
アシスタントには結婚を望んでもできず独身の人もいました。
結婚して子供を育てて仕事して稼いで介護もした私が偉い、などと言わず、独身が羨ましい、とおっしゃったのは、思いやりかもしれません。
意地悪な人に会うと、意地悪をしない人を思い出します。
意地悪な人にも辛いことがあるのかもしれません。
しかしその意地悪が人にどんな傷を与えるかわかりません。
いじめはいけない、暴力はいけない、と皆言いますが、意地悪はしてもいいのでしょうか?
意地悪もされた人にとってはいじめであり暴力です。
軽い気持ちで使った言葉によって深い傷を負うこともあります。
ましてネットなど、見知らぬ他人の集まりです。そんなところで無神経な言葉を吐き散らす人と関わりたくありません。
他人に絡まずに自分の問題と向き合ってほしいと思います。