2023ー2024公演の6月公演でした。

6月8日 (土) 18:00  NHKホール

指揮      原田慶太楼

ピアノ   反田恭平

コンサートマスター  郷古 廉

 

スクリャービン  夢想   作品24

スクリャービン  ピアノ協奏曲 嬰ヘ短調  作品20

スクリャービン  交響曲第2番   ハ短調   作品29

 

といったオールスクリャービンプログラムでした。

 

ステージ上にこの3人が並ぶと、やはり若い方の思いのようなものが伝わってまいります。

こういった若い方に引き継がれていくもがあるのですね。

 

もしかするとこの3曲は今まで聴いたことがない曲のように思います。

聴いていても、積極的に覚えておこうと思わないとどんどん忘れてしまうので、スクリャービンの曲といって思い浮かぶのは、曲ではなく、調性には色彩があるという彼の考え方を形にして、色というか光で視覚化した実験のようなものがあって、「ヘエ〜」と思ったことがあったくらいであまり音の記憶というものはないのです。

 

今回は、解説にあった文章がしっかりと心に残りました。

〜この《ピアノ協奏曲》はロシア風ショパンともいえる作品なので反田にうってつけ。だが実は初挑戦だというから楽しみである〜

 

ふーむ、ロシア風ショパンとは?

なるほど………

 

以前は彼の音楽は「神秘主義」の名のもとに解説されていたものが多かったと記憶していますが、これがちんぷんかんぷんでしたので、今回の解説の方がより具体的でした。

彼の手がライバルのような存在のラフマニノフの手より小さく、1オクターヴにもなかなか届かなかったとのこと。

解説に、彼とラフマニノフが向かい合って手のひらを合わせている絵が載っていたのです。

そこにはモスクワ音楽院で同じピアノの先生に習っていて、卒業試験はラフマニノフが1位でスクリャービンが2位であったとあります。

 

そんなことが彼をオカルティズムや、神秘主義にのめり込ませたのではないかという想像が出てきます。

 

ショパンを尊敬し、その影響をうけていたということはよくわかりました。

しかしピアノ協奏曲は、例えばショパンのピアノ協奏曲が前段で作り上げたものを一つづつ積み上げて、中間部の展開にいたるという構築のもとに作られているのに対して、スクリャービンはいきなりそういった部分に至ってしまったというなぜかちょっと居心地の悪い感じがいたしました。曲の構成力なのでしょうか……

ずーっと初めから同じような緊張状態を持続されているような感じといいますか、そんな気持ちがいたしました。

曲の持ち味なのか、演奏の影響なのかよくわかりませんが……

 

しかしながら会場はかなりの人数で、休憩時のトイレの混み具合がいつもに比べてかなりのものがありました。反田人気でしょうか。

ソリストアンコールで反田さんがグリーグの〈トロルハウゲンの婚礼の日〉を弾き始めた時「ああ美しい音」とまず感じてしまいました。

何故、ピアノ協奏曲の時の音の感触と違うのでしょう………

 

交響曲第2番も神秘主義という感じの曲ではない、結構具体的な感じがする曲でした。

指揮者の身体がずっと緊張状態をというか、目一杯、頑張ってますという感覚がみなぎっていて、よくわからないのですが、指揮者の指示から出てくる音が、指揮者の振りからいくともう少し強く出てくるであろうと思うように感じる場面がありました。

うーん難しいことです。今までの指揮者で、そんなに大きく振らなくとも驚くようなフォルテが出ていた印象があるので……

 

何はともあれ、スクリャービンの曲という印象が今までと変わったことは確かです。